くせ(癖)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 「くせ(曲)」と同語源 )
① かたよりのある好みや傾向が習慣化したもの。かたよった個人的傾向。物事の考え方、感じ方の、その人独自の傾向から、からだの特殊な、また、無意識にでる動きまでを含んでいう。
蜻蛉日記(974頃)上「のどらかにうちおきたるものとみえぬくせなんありける」
源氏物語(1001‐14頃)帚木「心づくしなる事を、御心におぼしとどむるくせなむ、あやにくにて」
② 物事がいつもきまってそのようになること。ならい 頼政集(1178‐80頃)上「あるじがら荒れたる宿のくせなれば、おろしこめても月は見えけり」
太平記(14C後)二九「運の傾く僻(クセ)なれ共、臆病神の著きたる人程見苦き者はなし」
③ 人や表現における欠点。→癖をつける① 新撰髄脳(11C初)「句の末、詞の末ごとにあれどもくせと聞えぬなり」
わらんべ草(1660)二「吾身のくせをばかへり見ず、人のあやまちをば云物也」
④ 曲がったり、折れたり、しわになったりして、もとに戻しにくくなること。また、その状態。 日葡辞書(1603‐04)「Cuxeuo(クセヲ) スル」
竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生富士を観る「眼立って曲(クセ)のある髪で」
⑤ 習慣。習性。→癖をつける② 尋常小学読本(1887)〈文部省〉五「又他の鳥の巣をうばふくせあるものなり」
⑥ 洋裁で、標準とは違った個人の体型の特徴。
広辞苑 名詞 ①かたよった嗜好または習慣。 蜻蛉日記上「のどらかにうちおきたるものとみえぬ―なんありける」。
「なくて七―」「―のある人」「甘やかすと―になるぞ」
②いつもそうであること。ならいならわし 堀河百首雑「はかなき事も雲鳥のあたにかなはぬ―なれば」。
「早朝ジョギングが―になっている」
③欠点。批難すべきこと。 新撰髄脳「一字二字余りたれども、うちよむに例にたがはねば―とせず」
④ある状態になって、もとに戻しにくくなること。また、その状態。 「髪の―」
⑤(動詞の連用形に付いてグセと濁り)そういう傾向になること。 「怠け―がつく」「抱き―」
⑥(「その―」の形で)それなのに。→くせに 「彼は金持だ。その―けちだ」
⑦洋裁で標準とちがう体型。 「―をとる」
大言海 名詞 前條ノ語ノ轉、紀伊國ニテ、こり(凝)ト云ヒ、沖繩ニテ、くすト云フ〕
(一) 嗜好 (スキ) 拘泥 (ナヅ)ミカタヨレル 習慣 (ナラハシ)ノ、性質ノヤウニナレルモノ。
拾玉集(慈鎭)「人每ニ、一ツノくせハ、アルモノヲ、我レニハ許セ、敷島ノ道」
白氏文集、七「人各有一癖、我癖在章句
正字通「癖、嗜好之病」
(二){批難トナルコト。ナンクセ。 源、三十四、上、若菜、上 九十三 ()シモアルマジキ事ニ、カドカドシクくせヲツケ」
(三)物ニ、(アト)ノ、深クツキテ、(ナホ)リガタキモノ。 「髮ノくせ」(髮ノ)くせ毛」着物ノ皺ノくせ」
(四)特ニ、常トナリテ、定マレルコト。特徵 賴政集「 主人 (アルジ)ガラ、荒レタル宿ノ、くせナレバ、(オロ)シコメテモ、月ハ見エケリ」
林葉集(俊賴ノ子、俊惠)三「目モアヤニ、サヤケキ月ノ、くせナレヤ、 今宵 (コヨヒ)始メテ、見ルココチスル」
(五)「子供ノくせニ大膽ナコトヲスル」ナド云フハ、「定マリテアルニ」キマッテアルノニ」ノ意ナリ。 狂言記、居杭「算ハ置カヌくせニ、身共ニ、無實ヲ云ヒカクルカ」
「知ッテルくせニ、知ラヌ顏ヲシテ」

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最終更新:2024年06月09日 23:09