くる(繰)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① 糸など、ひも状のものを物に巻きつけて少しずつ引き出す。また、それを巻きつける。たぐる 万葉集(8C後)七・一三四六「をみなへし咲き沢の辺の真葛原いつかも絡(くり)て我が衣(きぬ)に着む」
神楽歌(9C後)早歌「〈本〉深山の小葛(こつづら)〈末〉久礼(クレ)久礼(クレ)小葛」
② 綿繰り車にかけて木綿(きわた)の種を取り去る。 浮世草子・好色二代男(1684)一「世をわたる業とて、木綿(きはた)をくり習ひ」
③ 順々に送りやる。また、つまぐる。 〔日葡辞書(1603‐04)〕
④ 謡曲で上音からクリ節(ぶし)で高音にうたう。 申楽談儀(1430)曲舞の音曲「ただ甲の物一つにてやがてくるは悪(わろ)き也」
⑤ 浄瑠璃節の節章用語の一つ。ある音程から一段上の音程へ上げて語る。高潮場面に用いる。
⑥ 順々に数えてゆく。
⑦ 書籍などのページをめくる。また、めくって必要なことがらを探し出す。 一言芳談(1297‐1350頃)上「如形(かたのごとく)往生要集の文字よみ〈略〉念仏往生のたのもしき様など、時々はくり見るべき也」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「筆を啣へて忙し気に帳簿を繰るもの」
⑧ 演劇で、俳優が頭の中で台詞(せりふ)の順序をつけ、その順に述べてゆく。
広辞苑 他動詞 ①細長いものを引き寄せる。また、引き寄せて物にまきとる。たぐる 万葉集7「 女郎花 (おみなえし)生ふる沢辺の 真田葛原 (まくずはら)いつかも―・りてわが衣に着む」。
古今和歌集雑「清滝のせぜの白糸―・りためて山分け衣織りて着ましを」。
日葡辞書「ツナヲクル」「イカリヲクル」「イトヲクル」
繰る
②綿繰り車にかけてワタの実から種子毛(綿)を取り離す。
③順々に送り動かす。つまぐる 平家物語12「御数珠を―・らせおはしまし候ふが」。
東海道中膝栗毛10「雨戸を―・るやら、窓をしめるやら」
④順々に数える。 「日を―・る」
⑤書物などのページを順にめくっていく。 「植物図鑑を―・って調べる」
⑥(演劇用語)俳優が脳裡で 台詞 (せりふ)の順序をつけて次第に繰り出すのにいう。 「台詞を―・る」
大言海 他動詞 次條ノ語ト通ズルカ〕
(一){(メグ)ラシテ、引出ス。タグリヒク。
箋注倭名抄、六 六十一 「縿、絡繭取絲也、久流」
神樂歌、早歌「 眞山 (ミヤマ) 小葛 (コツヅラ)、久禮久禮小葛」
(二)順ニ、送リ遣ル。遞送 「雨戶ヲくる」(繰戶 (クリド)ノ條ヲ見ヨ)くり出ス」くり入ル」くり上グ」くり越ス」
(三)順ニ、數ヘ行ク。推算 「曆ヲくる」日ヲくる」年ヲくる」
動詞活用表
未然形 くら ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 くり たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 くる べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 くる も、かも、こと、とき
已然形 くれ ども
命令形 くれ

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2024年06月23日 17:26