辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 他動詞 | ① 火の燃焼をとめる。また、明かりを消す。 | 万葉集(8C後)三・三一九「富士の高嶺(たかね)は 〈略〉 燃ゆる火を 雪もて滅(けち) 降る雪を 火もて消(けち)つつ」 | 消 |
② なくす。除きさる。また、否定する。 | 古今和歌集(905‐914)雑体・一〇二八「ふじのねのならぬおもひにもえばもえ神だにけたぬむなしけぶりを〈紀乳母〉」 | |||
③ 他人を軽視する。ないがしろにする。また、悪く言う。 | 源氏物語(1001‐14頃)若菜上「さすがに心うつくしう、人をもけたず、身をもやむごとなく、心にくくもてなし添へ給へる事と」 | |||
④ 価値をそこなう。 | 源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉「この母君のかくてさぶらひ給をきずに言ひなしなどすれど、それにけたるべくもあらず」 | |||
⑤ 他人を圧倒する。 | 源氏物語(1001‐14頃)東屋「宮の御有さまにはえ並び給はじ〈略〉いかばかりならん人か宮をばけちたてまつらむ」 | |||
[語誌]( 1 )上代文献には「けつ」の仮名書き例はない。「万葉集」の「令消」「消」「滅」などは「けつ」と訓じられ、「けつ」は「けす」の古語であるとする説もあるが、平安初期の訓点資料には「けつ」「けす」両形が現われており、いずれが古いか確定できない。 ( 2 )一般に、平安時代の和歌・和文には「けつ」を用いて「けす」を用いず、平安時代後半期の訓点資料では「けす」を用いて「けつ」を用いない。鎌倉時代以降は徐々に「けす」に統一されていく。 |
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広辞苑 | 他動詞 |
(「消す」の古形) ①火の燃えるのをとめる。 |
万葉集3「燃ゆる火を雪もち―・ち」 | 消つ |
②なくならせる。除く。去る。 | 源氏物語少女「世を保ち給ふべき御宿世は―・たれぬものにこそと」 | |||
③驚きや悲しみなどのために心の平静を失う。 | 平家物語7「令旨の趣肝に銘じ、同類の悲しみ魂を―・つ」 | |||
④悪く言う。けなす。 | 源氏物語若菜上「さすがに心うつくしう人をも―・たす」 | |||
⑤おしのける。圧倒する。 | 源氏物語東屋「かたちよき人は人を―・つこそ憎けれ」 | |||
大言海 | 他動詞 |
〔けすニ通ズ、 (一){けすニ同ジ。キヤス。 |
源、四十一、匂宮
五
「世ハ、タダ、火ヲ消ちタルヤウニテ」 伊勢物語、三十九段「 字鏡 六 「謂 二 火滅 一 爲 レ 熸、火介知乎佐牟」 伊勢集「イタヅラニ、溜ル淚ノ、水ナラバ、コレシテけてト、言ハマシモノヲ」 六帖、四「置ク露ヲ、けたデ玉トハ、ナシツトモ、人ノ心ヲ、イカガ賴マム」 |
消 |
(二){ |
源、四十九、東屋 廿八 「貌ヨキ人ハ、人ヲけつコソ憎ケレ、云云、宮ヲバけちタテマツラム、ナド云フホドニ」 | |||
(三)オシノケル。壓倒ス。 | 爲忠百首、下「小夜深ケテ、庭オモシロク、照ル月ヲ、けたレニケリナ、庭ノ初霜」 |
動詞活用表 | ||
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未然形 | けた | ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし |
連用形 | けち | たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても |
終止形 | けつ | べし、らし、らむ、ましじ、まじ |
連体形 | けつ | も、かも、こと、とき |
已然形 | けて | ども |
命令形 | けて |
検索用附箋:他動詞四段