こく(倒・仆)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 倒れる。ころがるころぶすべる 御伽草子・弁慶物語(室町時代小説集所収)(室町末)「河原を走ればおのづから石車に乗りてこけたるは」 転・倒
それるはずれる 雑俳・川柳評万句合‐明和七(1770)礼三「又今日もこけたそうだと諷の師」
③ 下の方へ滑り移る。ころげ落ちる。 仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三「底には大石(たいせき)ながれこけて、若(もし)も渡りかかる人は、足をうたれ」
④ ある人に心が傾く。ほれる。恋慕する。 評判記・色道大鏡(1678)一「こくる 是もほるる心なり。〈略〉是は物を立置て引に、我おもふやうにこなたへこくるやうの心なり」
⑤ ある物事に心が向かう。ある傾向の態度をとる。 絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初)「斯(かふ)したことなれば、斯心を得るやうにせうと云方へこけてゆきたがる」
⑥ 芸妓などが男に身を許す。 洒落本・箱まくら(1822)上「なんぼ、わたしがやうな芸子でも、さふ安ふはこけぬわへ」
⑦ 芝居が当たらなくて客の入りがわるい。転じて、ものごとが失敗する。 二篇おどけむりもんどう(1818‐30頃か)「立ってある芝居をこけたとはいかに、歯もいらずにかぶりつきといふがごとし」
⑧ ( 「こげる」とも ) 悲境、不遇零落の生活をすることをいう隠語。 〔特殊語百科辞典(1931)〕
いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉二「冗談言うない。いくらコゲ(零落)たって、スケコマシ(女を売り飛ばす)をするような俺じゃねえ」
広辞苑 自動詞 たおれるころぶ 滑稽本、七偏人「―・けつまろびつ四五丁程走り」 転く・倒く
②すべり落ちる。ころげ落ちる。 誹風柳多留8「ひとりでに羽織の―・けるひんのよさ」
③なびいて恋いしたうようになる。 色道大鏡「こくる、これも惚るる心なり」
④芝居や映画が当たらなくて客の入りが悪い。
大言海 自動詞 ()くト通ズルカ、倭訓栞、こける「仆るヲ云フ、神代紀ニ、漏落ヲ、くきおちト讀メリ、こけト、くきト通ゼリ」此語、他動ニハ、こかすト云フ〕
(タフ)。コケル。コロブ。(九州ニテハ今モ、こくるト云フ)
名義抄「擿、コク」(こかすノ條ヲ見ヨ)
色道大鑑(延寳、箕山)こくる「物ヲ立テオキテ、引クニ、我ガ思フヤウニ、コナタヘこくるヤウノ心也」
倒・仆
動詞活用表
未然形 こけ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 こけ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 こく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 こくる も、かも、こと、とき
已然形 こくれ ども
命令形 こけよ

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附箋:下二段 自動詞

最終更新:2024年07月14日 20:10