こと(如)

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日本国語大辞典 副詞 同じ…するなら。どうせ…するのなら。ある個別的な実現のし方をする動作を、それとは異なった実現のし方を仮想して対比し、いずれも動作としては同じであるとみなしつつ、そうした異なる実現のし方もあろうに、と考える時の、同じとみなす気持を表わす。 日本書紀(720)允恭八年二月・歌謡「花妙(はなぐは)し 桜の愛で 許等(コト)愛でば 早くは愛でず 我が愛づる子ら」
[語誌]( 1 )奈良時代の例は、すべて、「こと愛(め)でば」「こと降らば」「こと放(さ)けば」のように、動詞の未然形に接し、全体で仮定表現を構成するもの。
( 2 )平安時代以降、「ことならば」がほとんどで、「ことは」の例も若干見える。意味については、古来諸説があるが、「如(ごと)し」の「ごと」と同源で、「同じ…するのなら」の意を表わすとするのが適切か。
広辞苑 副詞 (助動詞「(ごと)し」の語幹「ごと」と同源)同じく。同じ(…ならば)。 万葉集10「―降らば袖さへ濡れて通るべく」
大言海 副詞 〔ことくノ語根、此語、常ニ多ク、何ノごと、(ソレ)ノごとくト、他語ノ下ニ用ヰラレ、 連聲 (レンジヤウ)ニテ濁ル、サレド、獨立ナル時ハ、淸音ナルナリ(萬葉集古義、七)但シ、淸音ニテ、語尾ノ活用シタルヲ見ズ、古今集ノ歌ノ、ことならばヲ、顯注密勘ニ、かくの如くならば、ノ意ヲ釋セリ〕
(カク)ノ如ク。 (カク)。カヤウニ。カヤウ。コノヤウ。
允恭紀、八年二月、櫻ノ御製「花グハシ、櫻ノ(メデ) 許等愛 (コトメ)デバ、早クハ愛デズ、我ガ愛ヅル 兒等 (コラ)」(()ク愛デバ、早クヨリ愛ヅベカリシニナリ、衣通姬ニカケテ言ヒタマヘルナリ)
萬葉集、十 十四 如是 (コト)ナラバ、イカデ植ヱケム、山吹ノ、(()むノ序)止ム時モナク、戀フラク思ヘバ」
古今集、二、春、下「ことナラバ、咲カズヤハアラヌ、櫻花、見ル我レサヘニ、 靜心 (シヅゴコロ)ナシ」
萬葉集、十 五十九 (コト)降ラバ、袖サヘ濡レテ、通ルベク、降リナム雪ノ、空ニ()ニツツ」
同、十三 三十四 長歌「 琴離 (コトサ)カバ、國ニ離カナム」(殊、琴、借字ナリ、ことさかばノ條ヲ見ヨ)

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最終更新:2024年07月27日 21:34