かく(斯)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 副詞 ① あり得る事態を観念的、限定的にとらえて、それを指示する。「か…かく…」または「と…かく…」と対にしても用いる。こうこうこう ※古事記(712)中・歌謡「かもがと 我が見し子ら 迦久(カク)もがと 我が見し子に うたたけだに 向かひ居るかも い副ひ居るかも」
※蜻蛉(974頃)中「れいのことわり、『これ、としてかくして』などあるもいとにくくて」
斯・此
② 事態を、話し手が自分の立場から現実的、限定的にとらえて、それを指示する。このように。 ※万葉(8C後)五・七九七「くやしかも可久(カク)知らませば青丹よし国内(くゐち)ことごと見せましものを」
※今昔(1120頃か)一九「此く参ぬ。只仰せに随ひて罷り可返き也」
③ 事態を是認し、または納得する気持をこめて指示する。そうこう ※源氏(1001‐14頃)総角「おとづれ給はで日ごろへぬ。まちきこえ給ところは、たえま遠き心ちして、猶かくなめりと心細くながめ給ふに」
④ 事態の成り行きが限界に達したことを認める気持を表わす語。もうこれでおしまいだ。これまで。 ※平家(13C前)灌頂「人々いまはかくとて海にしづみし有様」
[補注]「かく」の「く」は形容詞連用形語尾の「く」と同じであろう。この接尾要素によって、「かく」は「か」よりも副詞として安定した性格を持つもののようである。
広辞苑 副詞 こう。このように。この通りに。かように。 万葉集17「か行き―行き見つれども」。
「―いう私こそ適任だ」「―なる上は」
斯く・是く
大言海 副詞 上ノ語ノ意ヲ受ケテ、下ニ移ス語。()ノ如ク。カヤウニ。音便ニ、()う。如此 神代紀、上 三十五 如此 (カク)
名義抄「斯、カク」

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最終更新:2024年05月08日 20:19