ころ(比・頃)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① ある時をおおよそに限定してさす語。その時のあたり。時分。ころおい 万葉集(8C後)一〇・二二六二「秋萩を散らす長雨の降る比(ころ)は独り起き居て恋ふる夜そ多き」 頃・比
② 特に現在を強調していう。動詞に接して、「今は…する」の意で詠嘆的に用いる。 万葉集(8C後)四・五一八「春日野の山辺の道をおそりなく通ひし君が見えぬ許呂(コロ)かも」
③ 時節。季節。おり 枕草子(10C終)二「頃は、正月、三月、四月、五月、七八九月、十一二月、すべてをりにつけつつ、一とせながらをかし」
④ かなり長い一定の期間。多く、「年頃」「日頃」などと熟して用いられる。 古今和歌集(905‐914)恋四・六九七「敷島のやまとにはあらぬ唐衣ころもへずしてあふよしも哉〈紀貫之〉」
⑤ 適当な時。ころあいしおどき 東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉五月暦「花の見頃は矢張五月の始頃で、甲武線では丁度頃(コロ)を計って、各方面から臨時電車を増発して居るが」
⑥ 適切な大きさ。適当な程度。また、おおよそのところ。 源氏物語(1001‐14頃)東屋「まだ、ころの御徳なきやうなれど、おのづから、やむごとなき、人の御けはひのありげなるやう」
広辞苑 名詞 ①時を、その前後を含めて漠然と指す語。時分。また、年齢の程度。 万葉集15「吾が思ふ妹に逢はぬ―かも」。
竹取物語「さをととしの二月の十日―」。
「年の―は」
頃・比
②ある期間。日数。 源氏物語帚木「目さへあはでぞ―も経にける」
③時節。季節。 枕草子2「―は正月・三月・四月…」
④ある事にちょうどよい時機。ころあい 「―を見はからって乗り出す」「食べ(ごろ)
大言海 名詞 〔こハ、け( 來歷 (キヘ)ノ約)ノ轉ニテ((マツ)()、松のけ、()()()しノ意ナルカ( 年來 (トシゴロ)()(ゴロ))ろハ、添ヘタル辭(ノ條ヲ見ヨ)沖繩ニテ、くる〕
(一)其時ノアタリ。コロホヒヲリ 時分 (ジブン)時期
萬葉集、八 廿一 「世ノ中モ、常ニシアラネバ、宿ニアル、櫻ノ花ノ、散レル 比日 (コロ)カモ」
同、十一 廿二 「タマボコノ、 路行觸 (ミチユキブリ)ニ、思ハヌニ、妹ヲ相見テ、戀フル(コロ)カモ」
古今集、十四、戀、四「敷島ノ、やまとニハアラヌ、唐衣(序)、ころモ經ズシテ、逢フ由モガナ」
枕草子、一、第二段「頃ハ、正月、三月、四月、五月」
山家集、上「願ハクハ、花ノ下ニテ、春死ナム、其 二月 (キサラギ)ノ、望月ノころ」
比・頃
(二)接尾語ノ如ク用ヰラレテ、(コロ)に、ノ意ヲナス。 源、三十七、鈴蟲「夏ごろ、(ハチス)ノ花ノ盛リニ」
千載集、十七、雜、中「春ごろ、久我ニマカレリケルツイデニ」
詞花集、十、雜、下「其冬ごろ、云ヒツカハシケル」
(三)其時ヨリ、コノカタ。年來 日來 萬葉集、十二 八釣河 (ヤツリガハ)、水底絕エズ、行ク水ノ、(序)續ギテゾ戀フル、 是比歲 (コノトシゴロ)ハ」
竹取物語「 許多 (ココラ)ノ日ごろ、思ヒワビ侍リツル心ハ、今日ナム、 落居 (オチヰ)ヌル」
(四)物事ノ、(ホド)ホドアヒ程度 源、二、帚木「受領、云云、 階級 (キザミキザミ)アリテ、中ノ品ノ、云云、()リ出ヅベキころほひナリ」
比合 (コロアヒ)ノ年輩」()イころニシテオク」 二十歲 (ハタチ)ごろノ娘」
(五)古ク、ころト云ヒシハ、物事ノ、(ホド)(アヒ)()く意ノ語ナリ、()ノ字ヲ記ス、是レナリ。 詩經、小雅、彤弓之什、彤弓篇、註「( スレバ)物、(ヒトシクスル)其力也」廣韻「比、(タクラブ)也、(ナラブ)也」
神代紀、下 廿 (モコロ) 熛火 (ホベノ) 喧響 (オトナヒ)
萬葉集、九 三十六 如己男 (モコロヲ)」(自己ノ如キ男)ノもころノ、ころナド、稀ニ見ユ、ころふ、ト、動詞ニ作リテ、(ヒト)ころふ(僭)、()ころふ(孛)トモナル、各條ヲ見ヨ。

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最終更新:2024年08月11日 20:23