さが（性）

辞書	品詞	解説	例文	漢字
日本国語大辞典	名詞	① 生まれつきの性質。もちまえ。	大和物語（947‐957頃）八「おほさはのいけの水くきたえぬともなにかうからむさがのつらさは」 源氏物語（1001‐14頃）椎本「いとくまなきみ心のさがにて、おしはかり給ふにや侍らん」	性・相
		② もって生まれた運命。宿命。	伊勢物語（１０Ｃ前）三一「ある御達の局の前を渡りけるに、何のあたにか思ひけん、よしや草葉よ、ならんさが見むといふ」
		③ ならわし。習慣。くせ。和歌では地名の嵯峨を掛けていうことがある。	古今和歌六帖（976‐987頃）六「夏の夜のこもちからすのさがぞかし夜深く鳴きて君をやりつる」 源氏物語（1001‐14頃）葵「後れ先だつほどの定めなさは、世のさがと見給へ知りながら」
		④ 良いところと悪いところ。人間の善悪。また、特に欠点・短所・悪癖。	評判記・難波鉦（1680）五「たがひに、さがも見へず、いとおしさも、なじむつれてましますゆへに」 俳諧・篗纑輪前集（1707）一「日蓮に鑓こそなけれ妙の髭〈止角〉 善悪(サガ)を込たる人界の常〈同〉」
		[語誌]本来は、善・悪とは無関係な意味の語であったが、その激しさや人間にはどうにもならないものという性質から、諦観に通じる否定的文脈で用いられることが多く、悪い意味としての用法が顕著になっていったと思われる。
広辞苑	名詞	(字音語か。すがた・さまの意) ①もって生まれた性質や宿命。	源氏物語椎本「いとくまなきみ心の―にておしはかり給ふにや侍らむ」。 「悲しい―」	相・性
		②ならわし。習慣。くせ。	源氏物語葵「後れ先立つほどの定めなさは世の―と見たまへ知りながら」
大言海	名詞	〔 然 (シカ)ノ轉ニテ（ 其髮 (シガカミ)、さがかみ。 倒 (サカサマ)、さかしま。 手 (タ) 節 (ブシ)、たぶさ）然アルモノノ意ニモアラムカ、古事記、上 三 「女人先言不 レ 良」ノ條ニ、古事記傳「性ヲ、佐賀ト 訓 (ヨ)メリ、云云、自然ニ然アルコトヲ云フ言ナリ」〕 （一）ウマレツキ。ナリタチ。 生得 (シヤウトク)。 性 (セイ)。	神代紀、上 廿一 素戔嗚尊「 神性雄健 (カンサガタケシ)」 源、四十九、東屋 廿六 「人ニ、 侮 (アナヅ)ラルル御アリサマハ、カヤウニナリヌル人ノさがニコソ」	性
		（二）サトシ。シルシ。キザシ。前兆。前表。（成立ノ意ヨリ轉ジテ、本性ノ意）	垂仁卽位前紀「因 二 夢 祥 (サガ) 一 、以立爲 二 皇太子 一 」 字典「凡、吉凶之兆、皆曰 レ 祥、徐鉉曰、祥、詳也、天欲 三 降以 二 禍福 一 、先以 二 吉凶之兆詳 一 、審吿 二 悟之 一 也」 垂仁紀、五年十月「朕、今日夢矣、錦色小蛇、繞 レ 于 二 朕頭 一 復、大雨從 二 狹穗 一 發而、來之濡 レ 面、是何 祥也 (ノサガナラム)」 仁德紀、元年正月「 吉祥 (ヨキサガ)」 孝德紀、白雉元年二月「 休祥 (ヨイサガ)」
		（三）クセ。シクセ。ナラヒ。ナラハシ。習慣。	六帖、六「夏ノ夜ノ、子持烏ノ、さがゾカシ、夜深ク鳴キテ、君ヲ遣リツル」 後撰集、十、戀、二「鶯ノ、雲居ニワビテ、鳴ク聲ヲ、春ノさがトゾ、我レハ聞キツル」 源、九、葵 四十 「後レ先立ツ程、定メナキハ、世ノさがト見タマヘ知リナガラ」 狹衣、三、中 六 「 實 (マコト)ナラヌ事モ、只、カタハシ出デ來レバ、實シウ言ヒナス人多カル、世ノさがニシテ」

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