さけ(酒)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 複合語では、多く「さか」となる )
① 米を発酵させて製するアルコール分含有の飲料。日本酒。上代は濁酒が主で、室町時代頃から清酒もつくられるようになった。現代は主に清酒をいう。古くから、さまざまな異名で呼ばれる。三輪(みわ)、三木(みき)、ささ、九献(くこん)、霞、三遅(みめぐり)、般若湯、硯水(けんずい)など。
古事記(712)上「汝等は八塩折(やしほをり)の酒を醸(か)み」
万葉集(8C後)五・八五二「梅の花夢(いめ)に語らくみやびたる花と吾(あ)れ思(も)ふ左気(サケ)に浮かべこそ」
徒然草(1331頃)八七「下部に酒飲まする事は、心すべきことなり」
② 一般にアルコール分を含有する液体飲料をいう。合成清酒・焼酎(しょうちゅう)・みりん・ビール・果実酒類・ウイスキー類など多くの種類がある。 天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「ソノ ヒトガ カエリサッテ saqe(サケ) サメテ ノチ」
さかもり。酒宴。 俳諧・炭俵(1694)上「上張(うはばり)を通さぬほどの雨降りて〈岱水〉 そっとのぞけば酒の最中〈利牛〉」
[語誌]( 1 )①については、上代の「古事記」「日本書紀」「風土記」のほか、「魏志‐東夷伝」倭人条にも記事がある。その種類は判然としないが、米を原料とするものが主であったと考えられる。
( 2 )令制では宮内省に造酒司が置かれ、「延喜式‐四〇・造酒司」には酒にかかわる多様な規定があり、同じく米を原料としながらも製法の異なる数種の酒の記載がある。
( 3 )上代の「酒」の訓は、「サケ」の他にキ(ミキ)、クシがある。クシは明らかでないが、クスリと関係があるものと思われ、キは後代に神祭・儀礼に関するものに限られるようになった。
( 4 )上代には醸造の施設と見られる「酒屋」があるが、「類聚国史‐一七三」によれば、左京・右京・山崎津・難波津に「酒家」(「三宝絵」に「さけの家」)があり、売買の行なわれたことが知られる。鎌倉時代、酒家は増え、幕府は沽酒(酒の売買のこと)を抑制する発令を行なった。室町時代、遅くとも応永年間には洛中洛外の酒屋は三百軒を超え、土倉を兼業して金融を営むものも多かった。室町幕府は明徳四年(一三九三)以降、土倉役とともに酒屋役を賦課して有力な財源とした。
( 5 )室町時代には酒の製法も大きく展開し、後期には、大和、後に伊丹の産として著名な諸白(もろはく)も現われ、酒の主流として濁酒から清酒への転換を促した。
広辞苑 名詞 (サは接頭語、ケはカ(香)と同源)
①米と(こうじ)で醸造した、日本特有のアルコール含有飲料。日本酒。
「熱燗の―」
②アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称。 「―に酔う」「―が回る」「―に溺れる」
③酒宴。さかもり 「―の席」
大言海 名詞 〔稜威言別、四、ニ、(シル)()ノ轉ナリト云ヘリ、しるけガ、すけト約マリ、さけト轉ジタルナラム((スス)む、すさむ。さかしま、さかさま。 丈夫 (マスラヲ)モ、まさりをノ轉ナラム)酒ヲ、(シル)トモ云フ(其條ノ(二)ヲ見ヨ)上代ニ、酒ト云フハ、獨酒ナレバ、自ラ、食物ノ部ナリ、萬葉集、二 三十二 御食 (ミケ)向フ、 木⿺瓦缶 (キノヘノ)宮」ハ、()()ナリト云フ、土佐日記ニハ、酒ヲ飮ムヲ、酒ヲ(クラ)ふト云ヘリ、今モ、酒くらひノ語アリ、或ハ、さハ、發語ニテ、さ()ノ轉(さ衣、さ山。(キヨラ)、けうら。()ヲ、けトモ云フ)卽チ、さ()ト通ズルカ、沖繩ニテハ、さきト云フ((サカエ)ノ約トスル說ハ、理窟ニ落チテ、迂遠ナリ)〕
古言、又、 ()ミキ。ミワ。シル。ミヅ。アブラ。飮物ノ名、上代ニ、さけト云ヒシハ、 濁酒 (ニゴリザケ)ナリ、(其條ヲ見ヨ)今、單ニ、さけト云フハ、卽チ、 淸酒 (スミザケ)ニテ、後世ノ製法ノモノナリ、白米ヲ蒸シテ、麴ト、水トヲ加ヘ、搔キマゼテ、(タクハ)フルコト數日ナレバ、醗酵シテ、泡ヲ盛リ上グ、以上ヲ、(モト)ト云フ、酒母 酵母
又、日ヲ定メテ、白米ノ蒸飯ト、麴ト、水トヲ加フルコト、三度ナリ、以上ヲ、(ソヘ)ト云フ、
其閒、常ニ搔キマゼテ、熟セシメ、コレヲ袋ニ入レテ、 酒槽 (サカブネ)ニ入レ、榨レバ成ル、其手續、日限、等、極メテ繁雜ナリ。凡ソ、酒ヲ作ルヲ、(カモ)すト云フ、成レルモノハ、澄ミテ、淡黃色ナル水トナリテ、人、コレヲ飮メバ、醉フ。以上ハ、從來ノ釀法ノ大略ヲ述ベタルニテ、此外ニモ、數法アリキ、殊ニ、近年ニ至リテハ、又、種種ニ變ジタルモアリ。異名、 九獻 (クコン)。ササ。 狂水 (キチガヒミヅ)。百藥の長。天之美祿。 竹葉 (チクエフ)。杜康。下若。般若湯。大乘水。 玄水 (ケンズヰ)。歡伯。
右ノ外、酒精ヲ含ム飮料ニ、 何酒 (ナニザケ) 某酒 (ソレシユ)ト云フモノ、極メテ多シ、果實ニテ造ルモノ、蒸溜シテ造ルモノモアリ。
古事記、上 廿九 「釀 八鹽 (ヤシ)(ヲリ)之酒
萬葉集、三 三十二 價無 (アタヒナキ)、寳ト云フトモ、 一坏 (ヒトツキ)ノ、 濁酒 (ニゴレルサケ)ニ、豈ニ(マサ)ラメヤ」(代匠記「アタヒナキ寳ハ、法華經云、以無價寳珠、繫其衣裏」)
倭名抄、十六 十三 酒醴類「酒、佐介」

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附箋:名詞 食物

最終更新:2024年08月25日 19:31