さす(映)

日本国語大辞典
辞書 品詞 解説 例文 漢字
広辞苑 自動詞 (「刺す」と同源)ある現象や事物が直線的にいつのまにか物の内部や空間に運動する意。
①(「射す」とも書く)光が照り入る。映ずる。
万葉集10「朝日―・す春日の山に霞たなびく」。
日葡辞書「ヒガサス」「ヒカリガサス」。
「西日の―・す部屋」
差す
②草木が()える。伸び出す。 万葉集8「いかといかとあるわがやどに 百枝 (ももえ)―・し生ふる橘」
③雲が立ちのぼる。立つ。 万葉集3「八雲―・すいづものこらが黒髪は吉野の川の沖になづさふ」
④あげ潮になる。 新後拾遺和歌集雑「―・す汐に汀やかはる小夜千鳥鳴きつる声の近くきこゆる」。
日葡辞書「シヲガサス」
⑤熱などが出る。 日葡辞書「ネッキガサス」
⑥ある状態があらわれる。生ずる。きざす 日葡辞書「アカミガサス」。
「ねむけが―・す」
⑦水などがしみこむ。 「水が―・して床下が湿気る」
() 「魔が―・す」
⑨さしつかえる。さしさわる。 浄瑠璃、薩摩歌「いや事介は()とお寺に―・す事ある、母様の今、蔵に御座るまに、早ふ出たい」
⑩気がとがめる。 「気が―・す」
大言海 自動詞 前條ノ ()ト、同義ノ語ナリ〕
光ヲ放ツ。 (ウツ)
萬葉集、一 十二 渡津海 (ワタツミ)ノ、豐旗雲ニ、入日 沙之 (サシ) 今夜 (コヨヒ)(ツクヨ)、明ラケクコソ」
源、七、紅葉賀「入方ノ日景、サヤカニさしタル」
金葉集、三、秋「月影ノ、さすニマカセテ、行ク舟ハ、明石ノ浦ヤ、泊リナルラム」
新古今集、四、秋、上「敷島ヤ、高圓山ノ、雲閒ヨリ、光さしソフ、弓張ノ月」
動詞活用表
未然形 ささ ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 さし たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 さす べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 さす も、かも、こと、とき
已然形 させ ども
命令形 させ

日国は同じ見出し語の扱い。「さす(指)」を参照。

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附箋:四段 自動詞

最終更新:2024年09月07日 19:12