さす(注)

日本国語大辞典
辞書 品詞 解説 例文 漢字
広辞苑 他動詞 (「刺す」の転義)ある物に他の物を加え入れる。
➊《注》
①加え入れる。
万葉集12「紫は灰―・すものそ」 注す・点す
②液体などをそそぎこむ。 日葡辞書「アブラヲサス」。
「水を―・す」「目薬を―・す」
➋《点》
①火をともす。点火する。
万葉集17「 婦負 (めい)河の早き瀬ごとにかがり―・し」。
「行灯に灯を―・す」「灸を―・す」
②いろどりをする。色をつける。 女鏡「ふか爪好み給ふべからず。べにいかにもうすく―・し給ふべし」。
日葡辞書「クチベニヲサス」
③しるしをつける。特に、訓点などをつける。 「朱点を―・す」
大言海 他動詞 〔他ノ物ヲ指しテ入ルルナリ〕
(一) (ソソ) ()。加ヘ入ル。
倭名抄、十六金器類「銚子、佐須奈閇」( 注鍋 (サスナベ)ナリ、其條ヲ見ヨ)
「水ヲさす」油ヲさす」目藥ヲさす」智慧ヲさす」(さしぢゑ)ヲさす」(さし(キン)
(二)入レテ、()ズ。 萬葉集、一二 廿九 「紫ハ、灰指すモノゾ(序)、 海石榴市 (ツバイチ)ノ、 八十 (ヤソ)(チマタ)ニ、逢ヒシ子ヤ(タレ)」(紫ヲ染ムルニハ、椿ノ灰ヲ加フ)
「紅ヲさす」朱ヲさす」
(三)押ス。捺印 內藏寮式「(サス)寮印」(古本訓點)
水鏡、下、大炊天皇、惠 美大 ()臣「私ニ、太政官ノ印ヲさしテ、事ヲ行フ」
(四)定メツク。加ヘツク。 靈異記、下、第廿二緣「( テ) 地作 ()冢、殯以置之」訓釋「點、シ女天」
同卷、第三緣「點地」訓釋「點、左シ弖」
「訓點ヲ」(シヤウ)ヲ」
(五) (トモ)。(火ヲ附クルナリ)點火 萬葉集、十七 四十九 婦負 (メヒ)(ガハ)ノ、早キ瀨每ニ、 篝佐之 (カガリサシ) 八十 (ヤソ)(トモ)()ハ、鵜川立チケリ」(越中國、 婦負 (メヒノ)郡)
源、四、夕顏 廿七 紙燭 (シソク)さしテ參レ」
俚言集覽、さす「灸ヲ(スウ)ルヲ、さすト云フ、火ヲさすト云フニ同ジ」
動詞活用表
未然形 ささ ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 さし たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 さす べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 さす も、かも、こと、とき
已然形 させ ども
命令形 させ

日国は同じ見出し語の扱い。「さす(刺)」を参照。

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附箋:他動詞 四段

最終更新:2024年09月07日 19:14