さむ(覚・醒)

広辞苑
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 夢や眠りの状態、また、眠くてぼんやりした状態から現実にかえる。 日本霊異記(810‐824)上「夢より醒(サメ)驚きて思ひ怪しび〈興福寺本訓釈 醒 左无〉」
日葡辞書(1603‐04)「メガ sameta(サメタ)」
覚・醒
② 眠らないでいる。 更級日記(1059頃)「昼は日ぐらし、夜は目のさめたる限り」
③ 気を失った状態から、正気にかえる。 日本霊異記(810‐824)中「地に躃(たふ)れて臥し嘿然(しづか)なり。曰(ものい)はず。良(やや)久にありて蘇(サメ)起ち〈国会図書館本訓釈 蘇 サメテ〉」
④ 迷いがとける。物思いがはれる。 拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋二・七一六「あひ見ても猶なぐさまぬ心哉いくちよねてか恋のさむべき〈紀貫之〉」
⑤ 酒の酔いが消える。 大和物語(947‐957頃)一〇三「行きて有様も身づからいはむ、かつ文もやらんと、酔ひさめておもひけるに」
⑥ しっかりと自覚する。めざめる 女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉一四「醒めよ! 技術家たる前に先づ人たれ」
大言海 自動詞 (一)(ウツツ)ニ、カヘル。人事不省ノモノガ、 正氣 (シヤウキ)ニナル。ヨミガヘル 景行紀、四十年十月、日本武尊至膽吹山「山神化大蛇道、云云、跨蛇猶行、云云、失意如醉、因居山下之泉側、乃飮其水 醒之 (サメマシヌ)、故、號其泉、曰 居醒 (ヰサメノ)也」
靈異記、中、第十緣「躃地而臥、嘿然不(イハ)、良久蘇起」訓釋「蘇、サメテ」(集韻「躃、倒也」玉篇「嘿、與默同」)
覺・醒
(二)眠リタルヨリ、起ク。メザムネザム 拾遺集、十二、戀、二「夢ヨゆめ、戀シキ人ニ、逢ヒ見スナ、さめテノ後ハ、ワビシカリケリ」
伊勢物語、六十九段「君ヤ()シ、我レヤ行キケム、オモホエズ、夢カ(ウツツ)カ、寐テカさめテカ」
(三)物思ヒ、晴ル。迷ヒ、()ス。 拾遺集、十二、戀、二「逢ヒ見テモ、ナホ慰マヌ、心カナ、幾千夜寐テカ、戀ノさむベキ」
源、十三、明石 四十六 「人知レヌ物思ヒ、さめヌル心地シテ」
同、廿、朝顏「今日ハ、(オイ)モ忘レ、憂キ世ノ歎キ、皆、さめヌル心地ナム」
動詞活用表
未然形 さめ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 さめ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 さむ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 さむる も、かも、こと、とき
已然形 さむれ ども
命令形 さめよ

広辞苑は同じ見出し語の扱い。「さむ(冷)」を参照。

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附箋:下二段 自動詞

最終更新:2024年09月16日 20:52