しく(陰)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ( 「時化」は当て字 )
① 空が曇る。
日本書紀(720)神武即位前(北野本室町時代訓)「天陰(ひシケ)て雨氷(ひさめふ)る」
日葡辞書(1603‐04)「Xiqe, uru, eta(シクル)〈訳〉天気が曇る。例、テンキガ xiqeta(シケタ)」
時化・湿気
② 風雨がひどくて、海が荒れる。 読本・繁野話(1766)一「海上に陰(シケ)ては漁利を害す」
③ 金まわりが悪く、不景気になる。ふところがとぼしくなる。また、人がけちである。 普賢(1936)〈石川淳〉一「でも思ひがけず電車賃を稼ぎましたよ。ちゃうどひどくシケてたところなんで…」
④ 生気や活気がなくなる。しょげる。ふさぎこむ。 名語記(1275)六「人の気色のしけたる、しく、如何」
夢を植える(1975‐76)〈清岡卓行〉いやな犬「なんともしけた店だ」
⑤ 失敗する。こける 彼女とゴミ箱(1931)〈一瀬直行〉インチキ・レビュー、万歳、安来節、其の他「どっとばかしに笑った。〈略〉観客はシケル(失敗)のを待ってゐたのだ」
⑥ =しけこむ 黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)中「もう山川は見へさうなもの。ただし切にしけたかしらぬ」
⑦ 湿気を帯びる。しめってくる。しめる。しっける。 ふらんす物語(1909)〈永井荷風〉祭の夜がたり「古い古い石造りの家から湿(シ)けた壁の匂の湧出る闇の中」
広辞苑 自動詞 (「時化る」は当て字か)
①雨風で海上が荒れる。
日葡辞書「テンキガシケタ」
②不漁である。
③転じて、金まわりが悪い。不景気である。また、気持・恰好などが、何となくぱっとしないでいる。 「―・けた店」「―・けた考え」
大言海 自動詞 風雨氣 (シケ)ノ活用語〕
雨風、續ク。(舟人ノ語)
「每日しけテ、魚ガ捕レヌ」
動詞活用表
未然形 しけ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 しけ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 しく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 しくる も、かも、こと、とき
已然形 しくれ ども
命令形 しけよ

大言海では四段活用の記載だが、例文は下一段活用になっている。

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附箋:下二段 自動詞

最終更新:2024年10月06日 16:35