しむ(染(自動詞ロ))

大言海
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 液体が物にぬれ通る。しみこむ。また、よごれがついてなかなかとれない状態になる。しむ。 蜻蛉日記(974頃)下「かたしきし年はふれどもさごろもの涙にしむる時はなかりき」 染・沁・浸・滲
② 深く心に感じる。しみじみと心にはいりこむ。しむ。 ぎやどぺかどる(1599)下「堅く凝りしみたる悪の僻なる妄執を」
③ 刺激がからだにこたえる。また、気体や液体などの刺激で、苦痛を覚える。しむ。 源氏物語(1001‐14頃)薄雲「君もさはあはれをかはせ人知れず我が身にしむる秋の夕風」
滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「天窓(てんてん)からお湯を浴ては今のやうに目へ染(シミ)ます」
④ なじみになる。ほれこむ。しむ。 評判記・吉原すずめ(1667)上「惣じて、しみるぞふかくなるぞといふも、つゐにはうけらるべきとおもふ男にならでは、なき事と見へたり」
⑤ 物事が佳境に入る。興が増す。しむ。 浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸「夜に入ほど酒事染(シミ)て、よいきげん過る時」
⑥ 影響を受けてその傾向に染まる。 「悪習にしみる」
洒落本・舌講油通汚(1781)「もはや馴染に至りては、しみたる身の上をあかし」
[補注]古くはマ行四段の「しむ」が使われたが、のち、マ行上二段(上一段)活用が現われ、以後並用されるようになる。現代でもまれに四段活用の例がみられるが、連用形は両活用同形で区別ができない。便宜上、近世の口語体の例、および現代の例は上一段活用として扱った。
広辞苑 自動詞 しむ」(五段)に同じ。 蜻蛉日記下「きごろもの涙に―・むる時はなかりき」。
源氏物語薄雲「人知れず我身に―・むる秋の夕風」。
「悪習に―・みる」「寒気が身に―・みる」「煙が目に―・みる」「目に―・みる青葉」
染む・沁む・浸む
動詞活用表
未然形 しみ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 しみ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 しむ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 しむる も、かも、こと、とき
已然形 しむれ ども
命令形 しみよ

検索用附箋:自動詞上二段

附箋:上二段 自動詞

最終更新:2025年02月23日 21:11