すみ(墨)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 毛筆で書画を書くのに用いる文房具。なたね油や松根を燃やしてできた良質の油煙をにかわで練って、これに香料などを加えて型に入れて長方形に固めたもの。これを硯(すずり)ですって水にとかして使う。上代では黒土を材料とし、その後は黒灰を用いた。 正倉院文書‐天平宝字五年(761)造法華寺金堂所解「墨一百十四廷 中品二廷 下品百十二廷已上買」
源氏物語(1001‐14頃)梅枝「女房二三人ばかりすみなどすらせ給て」
② 絵の具を固めて作り、墨のように硯ですって使うようにしたもの。朱墨、藍墨など。 日本書紀(720)皇極三年六月(北野本訓)「即ち、金の墨(スミ)を以て書(か)いて大法興寺の丈六の仏に献る」
③ 墨①の汁(しる)。 万葉集(8C後)一六・三八八五「わが耳は 御墨(みすみ)の壺 わが目らは 真澄の鏡」
枕草子(10C終)七五「物語・集など書き写すに、本にすみつけぬ」
④ イカ、タコ類の体内にある黒い液。 俳諧・暁台句集(1809)春「烏賊の墨ながるる小家の節句哉」
⑤ 物を燃やした時に出る黒いすす。 竹取物語(9C末‐10C初)「賓頭盧の前なる鉢の、ひた黒にすみつきたるをとりて」
⑥ 黒い色。すみいろ 日本霊異記(810‐824)中「王、三日を経て、墨の如くにして卒(みまか)りぬ」
⑦ 「すみぞめ(墨染)」の略。
⑧ 「すみなわ(墨縄)」、「すみいと(墨糸)」の略。 蓬左文庫本江湖風月集抄(1558‐91)下「柱も本の礎盤に、墨もちがはず立る也」
⑨ 和歌などの評。→墨(すみ)を付く
広辞苑 名詞 ①文房具の一種。油煙や松の根を燃やして出た(すす)を、(にかわ)で練り固めたもの。また、これを水と共に硯ですってできる黒色の液。 墨汁 (ぼくじゅう)。書画をかくのに用いる。
②絵具を固めて作り、1と同様に用いるもの。 「朱―」
③墨染の略。 「―の衣」
墨糸 (すみいと)・墨縄の略。 「―を打つ」
(すす) 「なべ底の―」
烏賊 (いか)(たこ)の体内にある黒い汁。
大言海 名詞 〔油煙ノ(スミ)ノ意ナラム〕
(一){書畫ヲ書ク料ニ用ヰル、黑キ汁ヲ出スモノ、 油煙 (ユエン)ヲ、膠汁ニ()キ、香料ナド、加ヘ、()ネテ、(カタ)ニ入レ、固メ作ル、硯ニテ、更ニ、水ニ()()キテ、用ヰル。上品ナルハ、胡麻ノ油煙ナリ、菜種油ナルヲ、次トス、古ヘハ、專ラ、松煙ヲ用ヰタレド、今ハ、下品トス。形、種種ニ作レド、多クハ、長方形ニス、古キニハ、細ソク圓キヲ、押シ扁メタル如キ、アリ。墨汁。
倭名抄、十三文書具「墨、須美、以松煙膠合成也」
推古紀、十八年三月ニ、高麗ノ僧曇徵、能ク紙黑ヲ作ルトアリ。
枕草子、二、十七段、憎きもの「すみノ中ニ、石コモリテ、きしきしト軋ミタル」
同、四、三十九段、ありがたきもの「物語、集ナド書キ寫ス本ニ、すみ附ケヌコト」
康賴本草、上 四十五 「墨、マツヲモスケムリノスミ、からすみ」
(二)轉ジテ、繪ノ具ノ、固メテ、()ルベク作レルモノ。 「朱ずみ」藍ずみ」
(三)墨繩 (スミナハ)ノ略。 「すみヲ打ツ」
(四)墨染。 「すみノ衣」
(五)スベテ、黑キ、煤ノ如キモノノ稱。 「鍋ノすみ」
(六) 烏賊 (イカ)ノ體中ヨリ出ヅル、墨ノ汁ノ如キモノ。 「烏賊ノすみ」
(七)スミサシ

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最終更新:2024年11月17日 19:15