すむ(住・棲・栖)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 生活の居所ときめて、その場所にとどまる。そこに居ついて暮らす。 万葉集(8C後)一八・四一二一「朝参(まゐり)の君が姿を見ず久に鄙にし須米(スメ)ば吾(あ)れ恋ひにけり」
栄花物語(1028‐92頃)月の宴「九条といふ所にすみ給」
住・棲・栖
② ( 上代・中古の婚姻形態として ) 男が女のもとに夫として通って行って泊まる。女の家に通って夫婦の契りを結ぶ。男女が同棲する。 竹取物語(9C末‐10C初)「あべの大臣火ねずみのかはきぬもていましてかぐや姫にすみ給ふとな」
古今和歌集(905‐914)離別・三七五・左注「としへてすみける人をすてて、ただあすなんたつと許(ばかり)いへりける時に」
③ 鳥獣虫魚などが巣をつくって、そこにいる。巣を営む。ねぐらとする。 万葉集(8C後)一四・三五四七「あぢの須牟(スム)須沙の入江の隠沼(こもりぬ)の あな息づかし見ず久にして」
古今和歌集(905‐914)仮名序「花になくうぐひす、みづにすむかはづのこゑをきけば」
④ 暮らしを立てるための仕事にありつく。就職する。 俳諧・西鶴大句数(1677)九「鉄炮あつる足軽にすむ 十石は妻子養ふたねか嶋」
広辞苑 自動詞 (「巣」と同源か)生物が巣と定めたところで生活を営む意。
①巣にいる。巣を作って生活する。
万葉集11「河千鳥―・む沢の上に立つ霧の」。
古今和歌集春「花に鳴く鶯、水に―・むかはづの声を聞けば」
住む・棲む・栖む
②男が女のもとにかよって夫婦のまじわりをする。 伊勢物語「昔 陸奥 (みち)の国にて、男、女、―・みけり」。
大鏡道隆「故帥中納言惟仲の女に―・み給ひて男一人女一人生ませ給へりし」
③居を定めてそこで生活する。すまう。 万葉集15「雨ごもり物もふ時にほととぎすわが―・む里に来鳴きとよもす」。
平家物語灌頂「岩に苔むしてさびたる所なりければ、―・ままほしうぞおぼしめす」。
「村に―・む」
④そのところに永くとどまる。 万葉集15「我妹子は早も来ぬかと待つらむを沖にや―・まむ家づかずして」
大言海 自動詞 前條ノ澄むニ通ズ、落チツク意〕
(一)()(ドコロ)ヲ定メテ居ル。居着ク。スマフ。
古今集、十五、戀、五「久方ノ、天ツ空ニモ、すまナクニ、人ハヨソニゾ、思フベラナル」
萬葉集、十五 三十四 「人國ハ、須美惡シトゾ云フ、(スムヤケ)ク、ハヤ歸リマセ、戀ヒ死ナヌ內ニ」
字類抄「住、スム、棲、栖、寓、同上」
住・棲・栖
(二)男、女ノ許ニ通ヒテ、 交會 (カタラヒ)ス。同棲 伊勢物語、九十三段「イカガアリケム、其男、すまズナリニケリ」
萬葉集、四 十五 「君ガ家ニ、吾ガ住坂ノ、家路ヲモ」
竹取物語「安倍ノ大臣ハ、火鼠ノ裘()テイマシテ、かぐや姬ニすみ給フトナ」
古今集、十三、戀、五「業平朝臣、紀有常ガ女ニ住みケルヲ、恨ムル事アリテ、(シバシ)ノ閒、晝ハ來テ、夕サリ還リノミ()ケレバ」
同、十八、雜、下「昔、大 和國 ()ナリケル人ノ娘ニ、或人、すみワタリケル」
元輔集「(シノ)ビテ、人すみ侍リケル女ノ親ニ代ハリテ」
(三)巢ニ居ル。其所ヲ、(スミカ)トシテ居ル。(鳥、獸、蟲、魚ナドニ) 萬葉集、十四 三十二 𪅩 (アヂ)ノ須牟、スサノ入江ノ、コモリ()ノ、アナ息ヅカシ、見ズ久ニシテ」
拾遺集、七、物名、鼠「年ヲ歷テ、君ヲノミコソ、寢住みツレ、異ノ腹ニヤ、子ヲバ生ムベキ」
動詞活用表
未然形 すま ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 すみ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 すむ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 すむ も、かも、こと、とき
已然形 すめ ども
命令形 すめ

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附箋:四段 自動詞

最終更新:2024年11月17日 21:18