すら

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 〘 副助 〙 体言、または体言に準ずるもの、格助詞「を」、まれに接続助詞「て」に下接する。…さえ。
① 例外的な事物を取り立て、一般的な事物を類推させる。この場合、上代には「すらを」の形もある。→すらを
醍醐寺本元興寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「我等在 弖須良(スラ)夜 此寺将荒滅
② 程度のはなはだしい事物を取り立て、他を類推させる。類推すべき事柄が「まして」「いわんや」などの副詞に続いて明示される場合もある。 万葉集(8C後)六・九九五「かくしつつ遊び飲みこそ草木尚(すら)春は生ひつつ秋は散りゆく」
地蔵十輪経元慶七年点(883)七「善趣の二乗の涅槃をすら退失せられむ。況むや大乗を得むといふことは」
更級日記(1059頃)「ひじりなどすら、前の世のこと夢に見るは、いとかたかなるを」
[語誌]( 1 )上代では「すら」と「だに」との間には明確な区別があった。「すら」はすでに実現している事物に対して用い、「だに」はまだ実現していない事物に対して用いた。しかし、中古になると、「だに」が「すら」の用法をも合わせ持つようになり、「すら」は衰退し、類推の表現には一般に「だに」が用いられるようになった。
( 2 )中古の漢文訓読文において、「すら」は後文に「況んや」がある場合に「尚」の前後で補読されるといわれ、「スラナホ」という慣用句もみられるが、訓点資料においても中古末頃には、一部「だに」にとってかわられるようになる。
( 3 )院政鎌倉期から一時期「そら」という語形が出現するが、「すら」が現代語でも使用されるのとは対照的に、中世末には使用されなくなる。
広辞苑 助詞 ①そうなるのが当然と思われる一事を例に挙げ、他もそうなることを類推させる意を表す。主として質の軽重優劣の関係を表す。やはりなお。…さえ。 万葉集6「かくしつつ遊び飲みこそ草木―春は生ひつつ秋は散りゆく」。
四河入海「聖賢―如此なるに」。
「手紙一つ―満足に書けない」
②事が及んだ極端な事態である意を表す。…まで。 「食料が無く木の根―食った」
大言海 天爾遠波 〔指スモノハ重ク、夫レニ對シタル物ハ輕キヲ云フ語〕
又、そら。(モト)()ルモノニテ、ソノ 枝葉 (スヱ)マデモ。サヘマデ。(尙、さ()トノ別ナド、語法指南ノ天爾遠波ノ條ニ、委シク說ケリ、就キテ見ヨ)
萬葉集、三 四十 「鴨(スラ)ニ、玉藻ノ上ニ、ヒトリ寐ナクニ」
同、同 三十八 長歌「山道(スラ)ヲ、 澁滯 (ナヅ)ミゾ我ガ()シ」
同、九 十一 「春雨須良ヲ、 閒使 (マヅカヒ)ニスル」
同、十五 十一 長歌「(カモ)須良モ、 配遇 (ツマ)(タグ)ヒテ」
躬恆集「草木すら、春ニハナベテ、逢坂ノ」
「我ガ身すら、容レラレズ」

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最終更新:2024年11月23日 15:46