せく(急(自動詞))

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 あせるいらだついそぐ。気がはやる。 虎寛本狂言・禁野(室町末‐近世初)「そなたがその様におしゃると心がせくによって、いよいよ某が目には見えぬ」
歌舞伎・鳥辺山心中(宝永三年)(1706)「あの衆と一所に死んで死出の旅で、道連れになり話さう。構ひて急(せ)くな」
あわてる。狼狽する。 浮世草子・好色一代男(1682)六「其日のお敵権七様御出と呼つぎぬ。すこしもせかず、火燵の下へ隠れけるこそ」
③ 怒りや悲しみの気持が胸へこみあげる。また、嫉妬(しっと)する。 俳諧・誹諧独吟集(1666)下「躍(をどり)ぬる夜半の面影したひ侘(わび) ほいなき夢にせく胸の中〈幸和〉」
浄瑠璃・出世景清(1685)二「阿古屋は読みも果て給はずはっとせきたるけしきにて、うらめしや腹立や口おしやねたましや」
④ 息などがはげしくなる。
他動詞 いそがせる。うながすせかす。せきたてる。 「息がせく」
玉塵抄(1563)一「せきつどうてつづくほどに車も同みちをとをるほどに、さきの車のわのあとを又とをるぞ」
玄鶴山房(1927)〈芥川龍之介〉五「それは丁度何ものかに『今だぞ』とせかれてゐる気もちだった」
広辞苑 自動詞 ①心がはやる。あせるいそぐ 狂言、禁野「そなたが、その様におしやると、心が―・くによつて」。
「気が―・く」
急く
②悲しみや怒りなどの気持がこみあげる。 浄瑠璃、出世景清「はつと―・きたる気色にて、うらめしや」
③はげしくなる。急になる。 「走ると息が―・く」
④(他動詞的に)せきたてる。 浄瑠璃、平家女護島「親子ともに早や立退け、サア立退けと―・きければ」
大言海 自動詞 〔胸(フサ)ガルヲ、せきあぐナド云フヨリ、轉ズ〕
(イラレ)ス。セルアセルイラダツハヤル (イソ)噪氣
狂言記、禁野「ソナタガ、其ノ樣ニオシャルト、心ガせくニヨッテ」
「氣ガせく」
動詞活用表
未然形 せか ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 せき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 せく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 せく も、かも、こと、とき
已然形 せけ ども
命令形 せけ

検索用附箋:自動詞四段
検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段 自動詞

最終更新:2024年12月01日 16:26