たく(焚)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① 火を燃やす。 日本書紀(720)天智天皇称制辛酉年(北野本訓)「百済の加巴利浜に泊りて火を燃(タ)く」 焚・炊・焼・炷・薫
② 火で燃やす。火にくべて燃やす。くべる 万葉集(8C後)七・一二〇三「磯の上に爪木折り焼(たき)汝(な)が為と吾が潜(かづ)き来し沖つ白玉」
③ (香などを)くゆらせる。けぶらせる。 新訳華厳経音義私記(794)「焚香 上多久」
④ 火を通して食べられるようにする。煮る。かしぐ。また、湯などをわかす。 山科家礼記‐文明一二年(1480)七月二九日「ゆたかせて、女中・予、各入候」
浄瑠璃・伽羅先代萩(1785)一「今朝からせい出して、米洗ふたりかゆ焼(タイ)たり」
⑤ 他人をあおり立てて物ごとを行なう。けしかける。扇動する。たきつける。
⑥ 写真撮影で、ストロボを発光させる。
[語誌]( ④について ) 加熱調理動作を表わすようになったのは、比較的新しい。もともと、ニル、カシクがになっていた意味領域に、中世後期頃からタクが意味領域を拡大していったと考えられ、近世から近代にかけて飯についてはタクといい、汁物(野菜)など飯以外の物についてはニルという現代共通語の体系が成立したものと思われる。
広辞苑 他動詞 ①火を燃やす。火をつける。 万葉集17「あまをとめ漁り―・く火のおぼほしく」。
平家物語9「平家も遠火を―・けやとて」。
「かまを―・く」
焚く
②火で燃やす。くべる 万葉集7「磯の上に爪木折り―・き」。
徒然草「あはれ紅葉を―・かん人もがな」。
「石炭を―・く」
③(「炷く」「薫く」とも書く)香をくゆらす。 源氏物語鈴虫「名香に唐の百歩のくぬえかうを―・き給へり」。
平家物語灌頂「(いらか)破れては霧不断の香を―・き」
④火を燃やして沸かす。 日葡辞書「フロヲタク」
⑤(「炊く」とも書く)食物を煮る。かしぐ 曠野「寝入らぬに(めし)―・く宿ぞ明けやすき」(冬松)。
「御飯を―・く」
大言海 他動詞 〔梵語ニ、陀呵、此云燒、トアルモ似タリ〕
(一)火ヲモヤス。()シツクル。(火ヲ)
新後撰集、十一、戀、一「ホノカナル、難波ノ葦火、イカナレバ、たきソムルヨリ、身ヲコガスラン」
(二)火ニ燒ク。クベテ燒ク。(薪ヲ) 後拾遺集、六、冬「都ニモ、初雪フレバ、小野山ノ、マキノ炭ガマ、たきマサルラン」
(三) (カシ)。煮ル。(通例ハ白米一升ニ、水一升二合ヲ入レ、數分閒煮立タシメ、火ヲ去リテ數十分、ソノママニ蒸ス) 「飯ヲたく」
(四){燒キテ(クユ)ラス。 源、四十八、寄生 九十五 「イミジキ香ノカコソスレ、尼君ノたき給フニヤアラム」
「香ヲたく」
動詞活用表
未然形 たか ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 たき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 たく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 たく も、かも、こと、とき
已然形 たけ ども
命令形 たけ

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2025年01月19日 16:21