たれ(垂)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 動詞「たれる(垂)」の連用形の名詞化 )
① たれること。また、たれているもの。
② 束帯の平緒(ひらお)につけてたれるもの。
③ 垂駕籠(たれかご)のむしろ戸。駕籠にのった客の姿をかくすように、むしろなどをたらして作った戸。 浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三「旦那申。跡の立場と代へます銭やって下はんせと、願へば垂(タレ)の内よりも」
④ 鎧(よろい)や剣道などの防具で、腰のまわりを保護するもの。 武州このごろ記(1935)〈北条清一〉一千字訪問「その時、栄次郎は斎藤の前に胴とタレを持ち出して『どうぞこれをおつけ下さい』といった」
⑤ 「たれみそ(垂味噌)」の略。
⑥ 煮焼きに用いる調味汁のこと。蒲焼(かばやき)・焼き鳥・てり焼きなどに使う。 歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)六幕「『軍鶏と葱を買って来た』『そいつぁ妙だ、併したれがなくっちゃあいかねえが』」
⑦ 衣服や帯などのたれ下がった部分。特に和服で、女帯を太鼓結びにする際に、太鼓を作る方の端の部分をいう。→掛(かけ) 滑稽本・七偏人(1857‐63)四「前をはだけふんどしのたれを広げて見せ」
大道無門(1926)〈里見弴〉白緑紅「後手(うしろで)に帯のたれのあたりを撫でてみながら」
⑧ 暖簾(のれん)。また、戸の代わりにたれさがっている布など。 小鳥の巣(1910)〈鈴木三重吉〉上「垢たれた更紗の垂布(タレ)を下げた、どす暗い料理場で」
⑨ 排泄(はいせつ)すること。「くそたれ」「鼻たれ」など他の語に付いて、人をののしるのに用いる。
⑩ 能の面の上から肩の辺までたらす髢(かもじ)。冠、烏帽子をつけた男神、女神、武将などに用いる黒垂れと、老人に用いる白垂れとがあり、前者は「養老(ようろう)」「葛城(かずらき)」「八島(やしま)」などに、後者は「実盛(さねもり)」「西行桜」などに用いる。
⑪ 剃刀(かみそり)をいう女房詞。毛垂(けたれ)。
⑫ 人形浄瑠璃社会の隠語。
(イ) 女の頭。
(ロ) 女。 談義本・根無草(1763‐69)前「茶碗で清左をもぢりちらし、無上にたれをかきさがしまわした跡でのはりこみ悪たい」
(ハ) 女陰。
⑬ 漢字の字形の構成部分の一つ。「雁」「病」「麻」などの「厂(がんだれ)」「疒(やまいだれ)」「广(まだれ)」をいう。
接尾辞 その性質や状態をはっきり表わす人をののしって言うのに用いる。「しみたれ」「なまたれ」「ばかたれ」「貧乏たれ」「がしんたれ」など。
広辞苑 名詞 ①たれること。また、そのもの、その程度。 垂れ
②焼物・鍋物の調味用の汁。醬油や味噌などに調味料・香辛料を加えて作る。
③垂駕籠のむしろ戸。
切平緒 (きりひらお)に付けて垂れるもの。→平緒
⑤漢字構成上の名称。漢字の上から左に垂れている字形。 雁垂 (がんだれ) 麻垂 (まだれ) 病垂 (やまいだれ)など。
⑥能の仮髪。肩の辺まで垂らす髪で、原則として面をかけ冠・烏帽子の類をかぶる役に限り用いる。黒垂は男女一般に、白垂は老人に使用する。
「下がり」8に同じ。
⑧(名詞の下に付けて)人を悪く言う意を表す語。 「はな―小僧」「くそ―」「ばか―」
大言海 名詞 (一)()ルルコト。垂レタルモノ。
(二)(タレ) 駕寵 (カゴ) 席戶 (ムシロド) 常盤津、千兩幟角力之段「サ、籠ノ衆ヤッテ、ト北野屋ガ、機轉キカシテ籠ノたれ、內ハ歎キニ暮近ク、入相吿グル鐘諸共」

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最終更新:2025年02月24日 14:39