ね(根)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 [一] 高等植物の基本的な器官の一つ。普通は地中にあって、植物体の支持および、水と栄養分の吸収を主な機能とする。一般に先端に根冠と根毛を持つ。通常の働きをするもののほか、水根、気根、呼吸根、同化根、寄生根などの変態根がある。 ※古事記(712)下・歌謡「竹の泥(ネ)の 泥(ネ)足る宮 木の泥(ネ)の 泥(ネ)蔓ふ宮」
※後撰(951‐953頃)恋四・八四四「枝もなく人に折らるる女郎花ねをだに残せ植ゑし我がため〈平希世〉」
[二] 物の基礎となり、それを形づくる根本となる部分。ねもとつけね
① 生えているものの下部。毛、歯などの生えているもとの部分。
※万葉(8C後)四・五六二「いとま無く人の眉(まよ)根(ね)をいたづらに掻かしめつつもあはぬ妹かも」
※あきらめ(1911)〈田村俊子〉七「頭髪の根が痛くって仕様がないよ」
② 立っているものが、地に接する部分。ふもとすそ ※書紀(720)神代上(兼方本訓)「譬ば海(うな)の上(うへ)に浮(うか)べる雪の根(ネ)係所(かかること)無(な)きが猶し」
※真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉五一「手水鉢(てうづばち)の根に金が埋めて有るから」
③ 髪を束ねて結ぶところ。もとどり ※洒落本・遊子方言(1770)発端「髪がとんだやぼた。どうぞもう五ぶほど、ねをあげて、はけさきを、すっと、ひっこきとしたい」
やじり ※経覚私要鈔‐嘉吉四年(1444)一月六日「矢三腰、同根一腰」
⑤ できもの、はれものなどの内部の固い部分。 ※小右記‐長元五年(1032)一二月二五日「所労熱物口三分許、基底有白物云々。根未出」
※史記抄(1477)一四「腫の根が益ひろごりて」
⑥ 釣りや漁業で、水底にある岩礁などの障害物をいう。 ※河羨録(1743頃か)上「根の字もと訓、総て魚は瑰石の陰に宿す、魚の根と云心と云り」
⑦ 地下。→根国(ねのくに) ※書紀(720)神代上(兼方本訓)「急(すみや)かに底(そこつ)根(ネ)の国に適(い)ねといひて」
[三] 裏面にかくされた本性。また、その結果を誘引した原因。
① ことの起こり。起源。もと。根本。原因。根拠。ねもと。
※源氏(1001‐14頃)紅梅「同じ花の名なれど、梅は生ひ出でけむねこそ哀なれ」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)六「商の心ざしは、根をおさめてふとくもつ事かんようなり」
② 本性。生まれつき。また、心の根本。性根。 ※井蛙抄(1362‐64頃)六「おのがねの心おとりせられまゐらせじとて、げざんはし候はぬぞ」
※滑稽本・八笑人(1820‐49)四「みんな根が下主(げす)でございますから」
③ 心中にわだかまって、あとまで残るもの。名残り。未練。また、遺恨。 ※洒落本・五大力(1802)発端「三五兵衛様が其事を根(ネ)に思って居て」
接尾辞 (名詞に付く)
① 生えている意、地上に立っている意などを添える。「岩ね」「垣ね」「木ね」「草ね」など。
② 語調を整える。「杵(き)ね」「島ね」など。
広辞苑 名詞 ①(地・土の意を表す「な」の転か)水分・養分を吸収し、体を支持する高等植物の栄養器官。ふつう地下にあり、若い部分には無数の根毛を生じ、これで養分・水分を吸収する。特殊な変形として気根(マングローブなど)や貯蔵根(ダリア・サツマイモなど)のほか、付着根・寄生根などがある。
②立ち、または生えている物が他の物に付く部分。もとねもと 万葉集13「岩が―のこごしき道の」。
「歯の―」
③地の中。地下。 「―の国」
④事のおこるもと。物事の元をなす部分。 徒然草「愛着の道、その―深く」。
「悪の―」
⑤海底などの岩礁のあるところ。釣りなどでいう。 「―掛り」
腫物 (はれもの)の下部の固い部分。
⑦心の底。
⑧人の本性。生れつき。 「―は正直者」「―が明るい」
⑨名詞の下に添えて、地に生えている意を表す語。 「垣―」
(やじり)。矢の根。
大言海 名詞 (一){植物ノ莖幹ノ下ノ土中ニアル部。土中ノ水氣ヲ吸ヒテ滋養ヲ取リ、且、其體ヲ固定セシム。 倭名抄、廿 三十 木具「根、禰」
後撰集、十二、戀、四「枝モナク、人ニ折ラルル、女郞花、ねヲダニ殘セ、植ヱシ我ガタメ」
(二)モトモトヰオコリ。根元。
(三)腫物ノ內ノ固マリタル部。
(四)モトドリ 「根ニ掛ク」根ガ上ル」
(五)スベテ、生エ、又ハ、立チテアル物ノ着處。 「齒ノ根」
根掘り葉掘りトハ、根本ヨリ枝葉ニ涉ルマデ、アナグリ求ムルヲ云フ。 「根ホリ葉ホリ尋ネル」

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最終更新:2023年07月24日 22:09