つむ(詰(他動詞))

日本国語大辞典
辞書 品詞 解説 例文 漢字
広辞苑 他動詞 一定の枠の中に物を押し入れて、すいた所をふさぎ、微動もしないようにする意。
①ぎっしりと入れて満たす。
万葉集3「潮干なば玉藻刈り—・め」。
狂言、茶壺「毎年栂の尾へ茶を—・めにやられまする」
詰む
②隙間のないようにする。ふさぐ。漏れたりしないようにする。 太平記17「多年のいきどほりもただ今日のいくさに定りぬと気を—・めぬ人はなかりけり」。
「穴を—・める」「席を—・める」「息を―・める」
③物を隙問に入れてあかないようにする。 落窪物語2「うちたたきおしひけど、うちとに—・めてければゆるぎだにせず」。
「戸を—・める」
④ゆきづまらせる。窮地に迫い込む。 徒然草「問ひ—・められてえこたへずなり侍りつ」。
玉塵抄22「一国の者、飢寒に—・められて皆死ぬぞ」
⑤ぎりぎりの所まで押し進める。きわみに至らせる。 槐記「また、これほどと―・めて、それより先はきはまりなき芸もあり」。
「計画を—・める」
⑥きびしく迫る。攻め寄る。 謡曲、橋弁慶「長刀の鋒に太刀合はせ、—・めつ開きつ戦ひしが」。
玉塵抄6「敵のくたびれた時に―・めて一いくさしたらば」
⑦そのことにかかりきる。休みなくしつづける。 玉塵抄9「周の礼義教へに民がならひ―・めたに、襄公一向に礼教ないぞ」。
「そんなに—・めて仕事をしなくてもいい」
⑧ちぢめる。短くする。 風姿花伝「老いぬればとて、腰膝をかがめ身を―・むれば、花失せて」。
「袖を―・める」
⑨倹約する。 浄瑠璃、夕霧阿波鳴渡「随分私が身を―・め、三度つける油も一度つけ」。
「生活費を―・める」
⑩発音を促音にする。 謳曲英華抄「出して唱ヘがたきつ文字は訓にても—・めて唱ふ」
⑪将棋で王手をかけ、相手の王将を逃げみちのないようにする。 「金が一枚あれば―・められる」
⑫(「指を―・める」の形で)
㋐戸などに指を挟む。
㋑謝罪などのしるしに指を切り落とす。
自動詞 ①つまる。動きがとれなくなる。 今鏡「ならはせ給はぬ御ありさまに、御冠の額も—・むる心ちせさせ給ひ」
②勤務の人のいるべき席があかないように控えている。勤番をする。 狂言、萩大名「此のうち御前に―・めてあれば」。
「控室に—・めて待機する」
大言海 他動詞 (一)(ツド)フ。入ルル。込ムル。 滿 (ミタ)ス。オシコム。(スキ)ヲ塞グ。 落窪物語、二「ヤリ戶、云云、ウチタタキ、オシヒケド、內外ニつめテケレバ、ユルギダニセズ」
(二){(クツロ)ギ無クス。迫ムル。 促迫 伊勢物語、九十五段「オボツカナク思ヒつめタルコト、スコシハルカサムト云ヒケレバ」
謠曲、橋辨慶「太刀ウチ合セ、つめツ開キツ戰ヒシガ」
「言ヒ詰む」追ヒ詰む」詰め寄ス」理窟ヲ詰む」將棋ヲ詰む」
(三)(ツヅ)メ縮ム。短ク小サクナス。 「丈ヲ詰む」日ヲ詰む」
(四)其事ニノミ打掛リ居ル。絕エズナス。續クル。 「晝夜泣キ詰む」日ヲ詰めテ行ク」藥ヲ詰めテ飮ム」
(五)(トド)ム。塞グ。屛息 「息ヲ詰む」
動詞活用表
未然形 つめ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 つめ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 つむ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 つむる も、かも、こと、とき
已然形 つむれ ども
命令形 つめよ

又、「つむ(詰(自動詞ロ))」も参照。

検索用附箋:自動詞下二段
検索用附箋:他動詞下二段

附箋:下二段 他動詞 自動詞

最終更新:2025年04月13日 17:58