でく(出来ロ)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ( 「いでく」の変化したもの )
① 出てくる。現われ出る。出現する。また、新たに生ずる。生まれる。
申楽談儀(1430)声の事「『やうやう』と云声を言ふ者有。乗せたる心より出づ。能下らんとて、かかる心得でくる也」
史記抄(1477)七「父がなうてはどこからでこうぞ」
〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 物事がおこる。新しい事態が発生する。ある状態になる。出来(しゅったい)する。 史記抄(1477)一五「兵がつかへて久ければ思もよらず変がてくるぞ」
③ 仕あがる。作られる。生産される。 史記抄(1477)一〇「もとの米が尽れば今年の米がでくやうに」
④ することが可能である。 二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上「二月か三月も慣るれば、誰にでも出来(デク)る事だ」
[語誌]( 1 )中古までのイデクが、具体的に物や人が(ある所から)出て来ることを多く示すのと異なり、デクルは主に物事が発生・成立するという意で用いられた。このような意味変化により、デクルのクルは「来」であるという語源意識が薄れ、上一段活用形デキルが生じたものとみられる。
( 2 )連用形「でき」は、上一段動詞「できる」の連用形と同じ形で区別しがたいので便宜上「できる」の項におさめた。
広辞苑 自動詞 (イデクの約)
①物が生ずる。あらわれ出る。生まれる。
中庸抄「混沌未分の一念起らぬ、未だ形の―・こぬ先ぞ」 出来
②事柄が発生する。 蒙求抄7「必ず大事が―・こうと思ふぞ」
③作られる。仕上がる。生産される。→できる 孟子抄「麦、…日至は夏至の事ぞ、其時分に―・くるものぞ」
大言海 自動詞 ()()るノ約〕
(一){前條ノ(一)ニ同ジ。出現
史記抄(文明)六「天子ハ尊トイヘドモ、父ガナウテハドコカラでこウゾ」
孟子抄(文明)八「人ノ惡事ヲアナグリ求テ云フハ、後ニ惡イ事ガでこウゾ」
中庸抄「混沌未分ノ一念起ラヌ、未ダ形ノでこヌ先ゾ」
孝德紀、五年三月「花ハ咲ケドモ、云云、復タ咲キ 涅渠 (デコ)ヌ」
萬葉集、廿 十六 「時時ノ、花ハ咲ケドモ、ナニスレゾ、母(ハハゴクサ)トフ花ノ、咲キ 低己 (デコ)ズケム」(コザリケム)
出來
(二)前條ノ(二)ニ同ジ。 孟子抄(文明)五 廿二 「農人ハ、我百畝ノ田ノヨクでこヌヲ、憂トスルマデゾ」
動詞活用表
未然形 でこ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 でき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 でく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 でくる も、かも、こと、とき
已然形 でくれ ども
命令形 でこ (よ)

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最終更新:2025年05月24日 17:11