ども(雖)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 〘 接助 〙 活用語の已然形を受ける。
(イ) 逆接の確定条件を表わす。けれども。
古事記(712)中・歌謡「道の後 古波陀嬢子を 神の如 聞えしか杼母(ドモ) あひ枕まく」
竹取物語(9C末‐10C初)「音には聞けともいまだ見ぬ物なり」
(ロ) 常に照応しない一般的な習慣や普遍的真理を述べる。…ても。…たとしても。 土左日記(935頃)承平五年一月一八日「このとまり、遠く見れども近く見れどもいとおもしろし」
(ハ) 単に上の事柄と下の事柄とを接続したもの。 竹取物語(9C末‐10C初)「風吹き波はげしけれ共、神さへいただきに落ちかかるやうなるは」
[補注]上代、形容詞に接続する場合、多くは古い已然形「け・しけ」を受ける。「万葉‐三九八一」の「あしひきの山きへなりてとほ家(ケ)騰母(ドモ)心し行けば夢に見えけり」など。
広辞苑 助詞 (接続助詞)接続助詞「ど」に係助詞「も」の付いたもの。活用語の已然形に付く。平安時代は漢文訓読文に例が多いが、女性の書いた文章には少ない。江戸時代は前期上方語までに見え、口語では「…といえども」のように一部が文章語に残るのみ。
①逆接の既定条件を示す。「ども」の受ける句が確定した事実で、それを条件としながら、その条件から予想されるのとは違う結果になることを示す。…けれども。
万葉集2「 去年 (こぞ)見てし秋の 月夜 (つくよ)は渡れ―相見し妹はいや年さかる」。
竹取物語「月の顔見るは忌むことと制しけれ―、ともすれば人まにも月を見てはいみじく泣き給ふ」。
浄瑠璃、曾根崎心中「隠すではなけれ―、云ふても埒のあかぬこと」
②事態を強調するために、仮定の条件と現実との相反する関係を述べる。たとい…しても。…であっても。 源氏物語桐壺「絵にかける楊貴妃のかたちは、いみじき絵師といへ―、筆限りありければ、いと匂ひすくなし」
大言海 天爾遠波 どトノミモ云フ。前前條ノ語意ニ同ジクシテ、旣定ノ意ヲ云フ。漢文ノ、いへどもニ同ジ。 萬葉集、一 廿四 「河上ノ、ツラツラ椿、ツラツラニ、 雖見 (ミレドモ)アカズ、巨勢ノ春野ハ」
新古今集、三、夏「五月山、卯ノ花月夜、郭公、聞ケどもアカズ、又鳴カンカモ」
「擊テども碎ケズ」酌メども盡キズ」善ケレども惡シケレども」

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最終更新:2025年08月24日 17:29