なす(成・就)

日本国語大辞典
辞書 品詞 解説 例文 漢字
広辞苑 他動詞 ①(そこに存在しなかったものを新たに)つくりあげる。 万葉集6「もののふの八十伴の雄は(いおり)して都―・したり旅にはあれども」。
「一代で財を―・す」
生す・成す・為す
②《生》産む。 竹取物語「おのが―・さぬ子なれば」。
「子まで―・した仲」
③ある行為をする。行う。 徒然草「心おのづからしづかなれば、無益のわざを―・さず」。
平家物語4「安芸国までの御幸はいかにと人不審を―・す」。
日葡辞書「アタヲナス」「ゲヂ(下知)ヲナス」。
「―・すすべもない」「相手の―・すがままになる」
④なしとげる。仕上げる。 東大寺諷誦文稿「瓔珞の衣を 翻化 (ナシ)て」。
徒然草「一事を必ず―・さむと思はば、他の事の破るるをもいたむべからず」。
「偉業を―・す」
⑤高貴の人がある事を行う。 平家物語12「去二日には、義経が申請る旨に任せて頼朝を背くべき由庁の御下文―・され」
⑥別のものとする。別の状態にする。 万葉集19「大君は神にしませば赤駒の腹ばふ田ゐを都と―・しつ」。
源氏物語賢木「我が身を無きに―・しても」。
源氏物語藤裏葉「今一たび見奉る世もやと、命をさへ執念う―・して念じけるを」。
「荒地を沃野と―・す」
⑦あるものを他にあて用いる。 万葉集13「鳥が音のきこゆる海に高山を(へだて)に―・して沖つ藻を枕に―・し」
⑧(「…を―・す」の形で)…となる。 方丈記「大地に至りてはことなる変を―・さず」。
徒然草「紙のふすま、あさの衣、一鉢のまうけ、あかざのあつもの、いくばくか人の費を―・さん」
⑨(形容詞連用形、または助詞「に」「と」などをうける動詞「思う」「見る」「聞く」などの連用形に付いて)「そのように思う(見る・聞く)」などの意を表す。 源氏物語玉鬘「中宮のおはします町は、かやうの人も住みぬべくのどやかなれど、さてさぶらふ人のつらにや聞き―・さむ」。
源氏物語総角「さすがに中納言などの思はむ所を思して、言の葉の限り深きなりけり、と思ひ―・し給ふに」。
「見―・す」
⑩(動詞連用形に複合して)故意に…する。ことさら…する。 源氏物語東屋「殊に今めかしうも見えざめるを、故々しげにも宣ひ―・すかな」。
御伽草子、二十四孝「継母のくせなれば父子の仲を悪しく言ひ―・して」
大言海 他動詞 ()るノ他動〕
コシラフ。作リ 出來 (デナ)ス。作リアグ。仕上グ。
神代紀、上 四十 「吾等所造之國、豈謂(ナセリ)之乎、少彥名命對曰、或有(ナセル)、或有(ナサ)
枕草子、一、第四段「ヒンガシノカドハ、四ツ足ニなしテ、其レヨリ御輿ハ入ラセ給フ」
成・就
動詞活用表
未然形 なさ ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 なし たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 なす べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 なす も、かも、こと、とき
已然形 なせ ども
命令形 なせ

又、「なす(生)」も参照。

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2025年09月15日 13:18