なす(生)

広辞苑
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 [ 一 ] ( 生 ) 生む。出産する。また、生み出す。産出する。つくる 竹取物語(9C末‐10C初)「おのがなさぬ子なれば、心にも従はずなんある」
宇津保物語(970‐999頃)藤原の君「この春、子一人なして、かくれましにき」
成・為・生
[ 二 ] ( 成・為 )
① ある行為をする。行なう。
大和物語(947‐957頃)一六八「身をなげしにたる物ならば、そのみちなし給へ」
更級日記(1059頃)「武蔵の国を預けとらせて、おほやけごともなさせじ」
② ある気持をおこす。 大鏡(12C前)一「ひたひに手をあてて、信をなしつつききゐたり」
方丈記(1212)「ありとしある人は皆浮雲のおもひをなせり」
③ 物をつくる。つくりあげる。また、事をしとげる。 万葉集(8C後)六・九二八「もののふの 八十伴(やそとも)の男は 廬(いほり)して 都成(なし)たり 旅にはあれども」
徒然草(1331頃)一八八「一事を必ずなさんと思はば、他の事の破るるをもいたむべからず」
④ あるものを別の状態のものにする。 万葉集(8C後)一九・四二六〇「大君は神にしませば赤駒のはらばふ田井を都と奈之(ナシ)つ」
枕草子(10C終)七「思はん子を法師になしたらんこそ心ぐるしけれ」
⑤ ある状態にする。ある状態をひき起こす。 竹取物語(9C末‐10C初)「多くの人の身をいたづらになしてあはざるかぐや姫は、いかばかりの女ぞとまかりて見て参れ」
平家物語(13C前)一「軒騎群集して、門前市をなす」
⑥ ある時期になるのを待つ。また、ある時になるのにまかせる。 土左日記(935頃)承平五年二月一六日「よるになして京にはいらんと思へば」
⑦ そのように考える。みなす 古今和歌集(905‐914)雑上・八七五「かたちこそみ山がくれのくちきなれ心は花になさばなりなん〈兼芸〉」
蜻蛉日記(974頃)上「日ごろ月ごろ、わづらひて、かくなりぬる人をば、今はいふかひなきものになして」
⑧ 官職につける。任命する。 蜻蛉日記(974頃)中「しひて帥(そち)になし奉りて、おひくだし奉る」
⑨ ある物を他の物であるかのように用いる。 万葉集(8C後)一三・三三三六「高山を 障(へだて)に所為(なし)て 沖つ藻を 枕に所為(なし)」
⑩ 貴人がおでましになるようにうながす。 保元物語(1220頃か)下「さらば清盛がもとへいれまゐらせよと仰せければ、西八条へなし奉るに」
⑪ 動詞の連用形に付けて、補助動詞のように用いる。そのように…する。また、意識して…する。 万葉集(8C後)一六・三八一〇「味飯を水に醸(か)み成(なし)吾が待ちし代(かひ)はさねなし直にしあらねば」
徒然草(1331頃)五六「見ることのやうに語りなせば」
大言海 他動詞 ()るノ他動〕
()。產ズ。
運步色葉集「生、ナス、生子」
神代紀、上 廿四 「若汝心明淨、不陵奪之意者、 汝所 (ナガナ)(サム)兒、必當男矣」
竹取物語、上「女ヲ我ニタベト、伏シ拜ミ、手ヲスリ宣ヘバ、己ガなさヌ子ナレバ、心ニモ從ヘズ、トナン云ヒテ」
宇津保物語、藤原君 四十八 「此春、子一人なしテ、カクレマシニキ」
動詞活用表
未然形 なさ ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 なし たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 なす べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 なす も、かも、こと、とき
已然形 なせ ども
命令形 なせ

又、「なす(成・就)」も参照。

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2025年09月15日 13:13