ゆ(従・自)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 (体言または体言に準ずるものを受けて「より」と同様に用いられる上代語)
① 動作・作用の起点を示す。時間的な場合と空間的な場合とがある。
※書紀(720)景行一七年三月・歌謡「はしきよし 我家の方由(ユ) 雲居立ち来(く)も」
② 動作の行なわれる場所・経由地を示す。時間的・空間的・抽象的な用法がある。 ※書紀(720)神武即位前・歌謡「伊那佐の山の 木の間由(ユ)も いゆきまもらひ」
③ 動作の手段を示す。 ※万葉(8C後)一四・三三九六「小筑波のしげき木の間よ立つ鳥の目由(ユ)か汝(な)を見むさ寝ざらなくに」
④ 比較の基準を示す。 ※万葉(8C後)九・一七五三「うちなびく 春見まし従(ゆ)は 夏草の しげきはあれど」
[補注]「書紀‐歌謡」と「万葉集」に用例が見られるのみである。語源に関しては格助詞「ゆり」の語誌を参照。
広辞苑 助詞 (格助詞。上代語。「」に同じ)
①動作の起点・経由点となる所を表す。…を。…から。…を通って。
万葉集1「我が寝たる衣の上―朝月夜さやかに見れば」。
万葉集3「田児の浦―うち出でて見れば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」
自・従
②動作の起点となる時を表す。…から。 万葉集8「 天地 (あめつち)の別れし時―いなうしろ川に向き立ち」
③比較の基準を表す。…より。 万葉集11「人言は(しま)しそ我妹 縄手 (つなで)引く海―(まさ)りて深くし思ふを」
④動作の手段・方法を表す。…で。 万葉集14「目―か()を見むさ寝ざらなくに」
大言海 天爾遠波 (一)よりニ同ジ。又、ゆり 神武卽位前紀 十三 「木ノ閒()モ、イユキマモラヒ、タタカヘバ」
萬葉集、三 廿七 「田兒ノ浦()、ウチ出デテ見レバ、眞白ニゾ、富士ノ高嶺ニ、雪ハ降リケル」
同、十二 廿 「隱沼ノ、(シタ)()戀ヒアマリ、白波ノ、イチジロク出デヌ、人ノ知ルベク」
從・自
(二)をノ意ニ用ヰタルモノ。 繼體紀、七年九月「泊瀨ノ川()、流レ來ル」
(三)らるノ意ニ用ヰタルモノ。 齊明紀、四年五月「() 喩鹿 (ユシシ)ヲ、繫グ河邊ノ、若草ノ、若クアリキト、我ガ思ハナクニ」
(四)にノ意ニ用ヰタルモノ。 景行紀、十七年三月「ハシキヨシ、 我家 (ワギヘ)ノ方()、雲居立チ()モ」

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最終更新:2024年05月10日 21:53