ある(荒)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 勢いはげしく動く。
(イ) 風、波、天候などが穏やかでなくなる。
※万葉(8C後)七・一三〇九「風吹きて海は荒(あ)るとも明日と言はば久しかるべし君がまにまに」
※大鏡(12C前)二「日いみじうあれ、〈略〉風おそろしく吹きなどするを」
(ロ) 人、動物などがはげしくあばれる。また、乱暴をはたらく。 ※宇津保(970‐999頃)藤原の君「あるるいくさ、けだものも、この主にはしづまりぬ」
※日葡辞書(1603‐04)「テングガ aruru(アルル)」
(ハ) 相場がはげしく変動する。
② 手入れが悪かったり、乱暴に使ったりして、土地や建物がいたみ、損なわれる。荒廃する。 ※古事記(712)下・歌謡「八田(やた)の 一本菅(ひともとすげ)は 子持たず 立ちか阿礼(アレ)なむ あたら菅原」
※万葉(8C後)二〇・四五〇六「高円(たかまと)の野の上の宮は安礼(アレ)にけり立たしし君の御代遠そけば」
③ 気持や生活などに、ゆとりやうるおいがなくなる。すさむ 「生活が荒れる」
※土左(935頃)承平五年二月一六日「家にあづけたりつる人の心もあれたるなりけり」
④ 争いや騒ぎなどで、物事の進行状態がふつうでなくなる。また、勝負などが予想外の進みぐあいになる。 「会議が荒れる」「試合が荒れる」
※平家(13C前)五「公卿殿上人も、こはいかにこはいかにとさはがれければ、御遊(ぎょゆう)もはや荒(あれ)にけり」
⑤ 肌などがなめらかでなくなることにいう。かさかさしている。 ※売花翁(1893)〈斎藤緑雨〉「炭団を丸めるのもいいが手があれるし」
広辞苑 自動詞 (アラ(荒)の動詞形)
①波風などが激しくなる。天候が穏やかでなくなる。
万葉集7「風吹けば海こそ―・るれ」。
「山が―・れる」
荒る
②乱暴なふるまいをする。あばれる 宇津保物語藤原君「―・るる(いくさ)けだものも、この主にはしづまりぬ」。
「飲んで―・れる」
③荒廃する。さびれる 万葉集1「―・れたる(みやこ)見れば悲しも」。
「―・れた土地」
④気持や生活などがすさむ。 土佐日記「家に預けたりつる人の心も―・れたるなりけり」。
「子供がこの頃―・れて困る」「芸が―・れる」
⑤催し・会議などが無秩序な状態になる。 平家物語5「御遊もはや―・れにけり」。
「―・れる大阪場所」
⑥肌のあぶらけがぬけてかさかさになる。 「冬は手が―・れる」
大言海 自動詞 前條ノ ()ノ意ノ、一轉シタルナルベシ〕
(アラ)ニ同ジ。(()ぐノ反)荒レ立ツ。暴起
日本紀竟宴歌「田田根子ヲ、求メザリセバ、夢ニ見シ、大物主ノ、神 安禮 (アレ)ナマシ」(崇神紀、七年八月夢ノ吿アリシニ因リテ、大田田根子命ヲ尋ネ求メタマヒ、大物主大神ヲ祭ラシメラレシヲ云ヘルナリ)
萬葉集、七 三十 「風吹キテ、海ハ荒るトモ、明日ト言ハバ、久シカルベシ、君ガマニマニ」
源、五、若紫 三十八 「霰、降リあれテ、(スゴ)キ夜ノ(サマ)ナリ」
動詞活用表
未然形 あれ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 あれ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 ある べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 あるる も、かも、こと、とき
已然形 あるれ ども
命令形 あれよ

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附箋:下二段 自動詞

最終更新:2023年11月03日 18:21