―遭遇―
此処,無の世界に辿り着いてすぐのことだった.
黒竜にも似た紫じみた黒色の竜と初めて出会った.
それが骨蛮竜とのファーストコンタクトだった.彼らは簡単な作りの武具を帯び,
造形師達からは蛮族と忌み嫌われていた.そして度々ガイアとテラの郊外から邦畿の白砂宮を
襲撃してくるのだ.
その様子を今日も私の住む白砂宮の展望室から例の6人の男達と彼ら骨蛮竜との戦いを
眺めていた.6人の男達―ドルガン,ガラフ,ゼザ,ケルガー,アレクサンダー,そして
漂流者ギルガメッシュ―は,5番目の幻想からエクスデスによって飛ばされ,
この世界に閉じ込められた戦士達だ.どういった経緯で五番目の幻想という限られた世界から
やって来たのは全くの不明だ.それは多分,この物語の観測者が知っている事だろう.
何故彼らは戦い続けるのか.いや,そもそも何故骨蛮竜は郊外から襲ってくるのか.それが
私の持つ此処での数ある謎の1つだ.
ある日の事,私は外で砂嵐が発生していないか確かめ,白砂宮の外に出た.
この無の世界は,はっきり言ってしまえば白と黒が主の,モノトーンの世界だ.
今日も相変わらず白い太陽からは紫じみた黒い流体が降り注いでいる.白砂宮と都心部の
外に出れば,私は目立つことなく周囲の闇に溶け込める.この黒い甲冑も・・・こういう
時には役に立つものだ.
その日私は単身で,彼ら骨蛮竜が住むとされる,邦畿の白砂宮に対する,
「郊墟の黒蛮宮」へと赴いた.彼らとは一度遭遇しただけだったので,彼らの事をもっと
良く知る必要があると思ったのだ.そうでなければ,戦いを治める為にも旅立った私の心が
揺らいでしまう.
彼ら,骨蛮竜とは,神竜の成れの果てであることを混沌の女神から聞かされていた.そして,
神々の闘争にケリがつくと神竜によって「浄化」されることも聞かされていた.となれば,
神竜の成れの果てを作った者を知る事こそが,この14番目の世界の真実に辿り着ける事である
のに違いない.
その意味でも,私はこの・・・黒蛮宮にやって来た.ここ黒蛮宮は地形や建物の様子も
白砂宮と対を成す場所のようだ.壁は硬く,地も鉄のようだ.私は黒より尚黒い闇に
溶け込むことで,骨蛮竜達からは気付かれずに事を得た.骨蛮竜は,名前の通り,竜の骨格
で身体を形成する,ともすれば不気味な格好をしている.骨といっても色は紫味を帯びた
黒色だ.彼らは誰に作られたのだろうか?それを知ることだけでも,大きな進歩になるやも
しれぬ.彼らは一体どこからやって来たのか・・・
そう思いを馳せていると,この黒色で覆われた場に,目も眩む程の光が,何でもない壁から
放たれ,そして其処から黒色の竜が出てきた.私は・・・
最終更新:2011年06月10日 20:28