空蝉忍法帖

「ふっ、俺のスタート地点が甲賀とはな。主催者の奴、わかってやがるぜ」

滋賀県にある施設、「甲賀の里忍者村」。そこに降り立った男は、一人そう呟いた。
彼はオールロワの書き手、「甲賀騎兵ひぐらし」。記念すべきオールロワの第1話を投下した男だ。
彼は登場話を多数手がけている書き手なのだが、その作品には大きな特徴がある。
彼が登場話を書いたキャラは、カン=ユー、キリコ=キュービィ、本郷猛、北条沙都子、
阿魔野邪鬼、地虫十兵衛、金蔵銭太郎、室賀豹馬、前原圭一、フランツ=フェルディナント、竜宮レナ。
二人の例外を除き、「仮面ライダー1971」「ひぐらしのなく頃に」「装甲騎兵ボトムズ」「バジリスク 甲賀忍法帖」の四作品に集中しているのだ。
それにちなみ、彼の現状は「金髪で忍び装束を着た、前原圭一の口調で喋るキリコ=キュービィ」というカオスなことになっている。

(さてと……この書き手ロワで俺はどう動くか……。対主催? マーダー?
 へっ、そんなテンプレに従った方針、誰が選ぶかよ! 俺はロワをやる気がない参加者が多いことで知られるオールロワの書き手だぜ?
 そうだな、俺のスタンスは……「布教」だ!)

彼が登場させた作品のうち、すでにメジャーすぎるくらいメジャーなひぐらし以外の三つはパロロワ界隈ではマイナーに分類される作品であった。
しかしそれらの作品はオールロワの中で、書き手や読み手の注目を集めブームを起こした。
バジリスクなど原作の「甲賀忍法帖」を含めれば、ロワの常連になりつつある。
だが彼は、それだけで満足していなかった。もっともっと、自分の好きな作品を他人に知ってほしかった。
幸いここには、様々なロワの書き手が集まっている。布教にはもってこいの状況ではないか。

(よし、今から俺は萌えの伝道師……じゃなかった、マイナー作品の伝道師・Kだ! ガンガン布教していくぜーっ!)

彼なりの決意を胸に抱き、ひぐらしは早速移動を始めた。


◇ ◇ ◇


数十分後、ひぐらしは一人の青年と遭遇した。いかにもナイトという感じの鎧を身につけた、銀髪の男だ。
早速布教を行おうとしたひぐらしだが、男が殺気を向けてきているのに気づいて思いとどまる。

「あんた、マーダーか?」
「何いきなり話かけてきてるわけ?」

ひぐらしの問いに対して、男は答えになっていない言葉を返す。

「お前絶対忍者だろ……」
「はい?」

続いてかけられる、脈絡のない言葉。思わず、ひぐらしは眉をひそめる。

「忍者が死んだ方がいいのは確定的に明らか。だから俺に殺されるべき」

相変わらずわけのわからない言葉を吐きながら、男は持っていた剣をひぐらし目がけて振るった。

「うおっ!」

ひぐらしはとっさに飛び退き、近くにあった木の上に着地する。

「おいおい……。その言動、まるっきりブロントさんじゃねえか! なんで書き手ロワにブロントさんがいるんだよ!
 あれか? あんた、ニコロワβの書き手か?」
「違う俺は忍者ロワの書き手burrontだ」
「忍者ロワの書き手が、なんで忍者を嫌うんだよ! 矛盾してるだろうが!」
「そんなことはない。俺はburrontを名乗ったからには彼の思考を忠実に再現しようと思っているだけだ」
「ちっ、とりつく島もないか……。こっちもみすみす殺されてやるわけにはいかないんでね……。
 悪いが、本気でやらせてもらうぜ!」

ひぐらしは、腰に差していた日本刀を抜き放つ。そして木を蹴って跳躍し、burront目がけ刀を振り下ろした。
burrontはそれを、自分の剣で受け止める。金属音が響き、欠けた刃のかけらが地面に降り注ぐ。
破損したのは、ひぐらしの刀だった。

「何ッ!?」
「残念ながらグラットンソードではないがこの王者の剣も優秀な剣だ。黄金の鉄の塊でできたこの剣に、そんななまくらが勝てるはずがなかった」

動揺するひぐらしに、burrontは追撃をかける。
次々と繰り出される斬撃を紙一重でかわしていくひぐらしだが、回避に精一杯で反撃の糸口をつかめない。

(剣では向こうに敵わない……。なら、素手でいくか!)

決断すると同時に、ひぐらしは刀を投げ捨てる。それが予想外だったのか、burrontは一瞬その動きを止めた。
その隙を見逃さず、ひぐらしはburrontの手首目がけて蹴りを放つ。
蹴りは見事に命中し、burrontは痛みで王者の剣を取り落としてしまった。

(狙い通りだぜ!)

burrontの懐に入り込み、さらに一撃を放とうとするひぐらし。だがそれを為す前に、彼の頭部を強い衝撃が襲った。

「があっ!」

うめき声を上げながら、ひぐらしが吹き飛ぶ。そして、近くの建物の壁に叩きつけられた。
すぐに立ち上がろうとする彼だが、ダメージが大きいのか全身に力が入らない。

(今のは……あいつのパンチか? 格闘もできるのかよ、あいつ……!)

「見ろ、見事なカウンターで返した。俺は武器なんか持たなくても素手で怪力だから強い。
 FFではナイトだがリアルではモンクタイプだからな」

余裕の素振りで、burrontは言い放つ。まだ動けぬひぐらしに、彼は落とした王者の剣を拾って近づいていく。

「だがさっきの一撃で、おれの怒りが有頂天になった。この怒りはしばらくおさまる事を知らない。
 だからお前はバラバラに切り刻んでやる」

ひぐらしのすぐ前で止まり、burrontは剣を振り上げる。もはやひぐらしに打つ手無しと思われた、その時。

「くっ、かかかかかかか」

ひぐらしが、突然笑い出した。

「何がおかしい?」
「あんたの星が! “凶”と出たからさ!」

直後、想像を絶する痛みがburrontを襲った。

「…………?」

何が起こったのか理解できぬまま、burrontは痛みの発生源である自分の胸に視線をやる。
そこには、1本のナイフが突き刺さっていた。そしてそのナイフには、ひぐらしの口から伸びた細長い舌が巻き付いている。
喉奥に仕込んだ槍の穂を吐き出し、敵を貫く地虫十兵衛の隠し技。ひぐらしはそれを、支給品のバタフライナイフで再現して見せたのだ。

「……汚いなさすが忍者汚い」

最期の言葉を吐き出すと、burrontは崩れ落ち二度と動かなかった。

「この隠し技を相手に知られていれば俺も百年目だが……知った時には相手が百年目さ。
 俺の邪魔をするのならば、容赦はしないぜ」

ナイフを喉奥に戻すと、ひぐらしはニヤリと笑った。

【burront@忍者ロワ 死亡】


【一日目・深夜/滋賀県・甲賀の里忍者村】

【甲賀騎兵ひぐらし@オールロワ】
【状態】ダメージ(中)
【装備】王者の剣@ニコロワ、バタフライナイフ@オールロワ
【道具】支給品一式×2、不明支給品0~3
【思考】基本:自分が好きな作品の布教を行う
    1:話を聞いてくれそうな参加者を捜す
    2:邪魔する参加者には容赦しない
※外見は金髪のキリコ=キュービィ@装甲騎兵ボトムズです

※打刀(ヒビが入っている)@剣客ロワが近くに放置されています

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burront
甲賀騎兵ひぐらし 君は僕に似ている、かも知れない。

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最終更新:2009年03月20日 08:37
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