闇夜に浮かぶ白い城壁の前に、男は佇んでいた。
長身を黒いスーツで包み、その表情は垂れた前髪と黒いサングラスによって伺い知る事は出来ない。
彼の名は『
流されやすいRe:birth◆N4mOHcAfck』―――ライダーロワTHE NEXTにおいて、
繋ぎ・バトル共にこなし、投下数もトップクラスのエース書き手である。
彼はそっとサングラスを外す。夜の屋外でこんなものを付けていてはろくに外が見えない。
サングラスを胸ポケットに収め、もう一度城を仰ぎ見る。その頂点にはライトアップされきらめく金のしゃちほこが見えた。
そしてぼんやりと思う―――何故、名古屋城なのだろうと。
それは彼の姿に起因している。名古屋はそのキャラクターの中の人の出身地である。
しかし実際、彼はそんな事はどうでもよかった。ここが名古屋だろうがさいたまスーパーアリーナだろうが一向に構わない。
問題なのはこの姿。そう、この姿なのだ。
「……よりにもよって、『橘さん』とはな」
呟くと、『流されやすいRe:birth◆N4mOHcAfck』―――略して『流され』は、ぐったりとうなだれた。
◇
肩を落とし、とぼとぼと移動する。出来れば加賀美とかカブトのキャラがよかったなーなどと思いながら。
橘 朔也は、仮面ライダー剣に登場するライダーギャレンの装着者であり、ライダーロワのみならず特撮!板全体でカリスマ的な人気を誇るキャラだ。
それは別にいい。人気があるのは悪い事ではない。
だがその人気の種類が普通とは少し違うという事は、誰にでも解っている。
とにかく、騙されまくるのだ。他人に。
作中で本人が認める(周囲も認める)位に、敵に騙されまくっている。
その挙句後輩を轢き殺しそうになったり、最愛の人が殺されたり、自分のコピー怪人を作られたりしている。
流されは知っていた。この『書き手ロワ』では外観に中身が引き摺られる事が多々あるという事を。
しかしダディ―――橘朔也の愛称である―――の騙されやすさはロワにおいては致命的である。
「ともかく、この姿になってしまったからには仕方が無い」
自分はダディの騙されやすさを知っているのだから、二の轍を踏まぬよう心がけるしかないだろう。
それにダディの人気はネタ人気だけではない。やる時はやる、いざと言うときには恐ろしい強さと精神力を見せるのだ。
そう思って自分の姿を確認する。見下ろす足は長いし、堀の水面に映る顔は男前である。
ほんの少し気分が上向きになって来た流されは、これからの事を考え始めた。
◇
まずはスタンスだ。
石垣に腰掛けて、流されは思案する。
流されは欝展開・熱血バトルも数多くこなして来た。だが、山場のみならず、繋ぎも多く手がけている。
そしてその中でも、『頭脳戦』を得意としてきた。
キャラクターを生かした会話文の中で、スリリングな展開を繰り広げ、話自体にもギミックを仕込む。
ダディの姿ならばその頭脳を生かし、他ロワの人間ともいい勝負が出来るのではないだろうか?
そこまで考えて、流されは支給品の確認作業に移った。
(思った通りだ)
手の中には、ギャレンバックル。装着者をギャレンへと変身させるアイテムである。
これさえあれば、話の通じない相手にもある程度応戦する事ができるだろう。
そしてもう一つ―――銀色のアタッシュケース。流されは軽く眉をひそめる。
デルタギア。仮面ライダー555に登場する、デルタへ変身するためのベルト。
他の二本と違い、変身に条件は無いが、副作用により装着したものは精神を侵され、狂戦士へと変わる呪われた変身具。
ライダーNでは流されもこれを用いて、欝と誤解フラグを振りまいた。
強力ではあるものの、あまり縁起のいいアイテムではない。
自分がこれを身に付けることはないだろうと思い、しまい込む。交渉の材料位にはなるかもしれない。
流されは立ち上がる。
必要な材料は揃っている。歩むべき道は決まった。
―――証明する。
頭脳においても、戦闘においても。
冷静な判断力と、書き手としてのプライドでもって、己の力を。
そして――――
「何が何でも、誰かに騙されたりなどしない!」
無言の木々が、流されを見守っていた。
となれば、する事は一つ。
「……まずは腹ごしらえだな」
【1日目・深夜 愛知県 名古屋城】
【流されやすいRe:birth◆N4mOHcAfck@
ライダーロワNEXT】
【状態】健康
【装備】ギャレンバックル
【持物】支給品一式、不明支給品0~1
【思考】基本:絶対に他人に騙されない
1:まずは腹ごしらえ
2:頭脳戦において、自らの力量を証明したい
【備考】
※外見は黒いスーツを着た橘 朔也@仮面ライダー剣です
※これからどこへ向かうかは後続の書き手さんにお任せします
時系列順で読む
投下順で読む
最終更新:2009年06月13日 12:45