きよひめのなく頃に~綿菓子編~

「……おい、お前……そいつを焼いたのは、お前か……!?」

誰何の声を掛けられた真紅の悪魔はびくりと硬直した。
そして恐る恐る振り返り、その言葉を否定する。
真紅の悪魔は基本ステルス路線なのである、当然のことだ。

「ち、ちちちがうわよ、わたしはただこいつが気持ち悪いから殺……ゴホゴホッ!
 苦しそうだから楽にしてあげようかなとか、いっそここで毒★さ……ケホケホッ!
 お水でも飲ませてあげようかなって思っただけで、
 大体わたしも手ご……ゲフンゲフンッ! 仲間を失ってむねがはりさけそーなんだから!」

ちょっと焦ったが完璧なかもふらーじゅであると胸を張る真紅の悪魔。
何もおかしな事は無い。
だがそれを聞いた知的変態ヘアニストはわなわなと震えながら、言った。

「どこからどう聞いてもまっくろくろすけだー!!」
「え、ええ!?」

大ショック。
愕然となる真紅の悪魔。
一体なにがいけなかったのか。いや、そもそも。
「わ、わたしはレミリアだし真紅の悪魔だから赤よ!」
「そこじゃない!!」
「違うの!?」

ヘアニストはツッコミを入れながら、大急ぎで思考する。
(なんなんだこの馬鹿マーダーは!?)
目の前の得体の知れない少女を解析するのだ。
呆れ果てながらも、ヘアニストは目の前の少女をマーダーだと認定していた。
言葉の端々に見える物騒すぎる殺意は隠しようが無い。
というかまるっきり隠れていない。
転がっている男、◆CppH18E08cは大変な支給品を(以下略)を焼いたのがこの少女かは確信できなかったが、
それはそれとして目の前の少女が危険人物である事は最早疑う余地も無かった。

「その人から離れろ! 事情はよく判らないが、おまえが危険という事だけはよく判ったから!」
「くっ、良いわ、やる気という事ね!」
「あ、待った。別にやる気ってわけじゃないし、この場さえ逃げてくれたら
 実害は少なかったりするんじゃないかなーとも思うんだけど……」
「それならこっちにも考えが有るわ! 仲間の死をカテにぱわぁあっぷよ!」
「聞けよ!!」
ヘアニストの話なんてさっぱり聞かず、真紅の悪魔はとてとてと何歩か後ろに下がり。
そこに転がっていた、別の死体の許に屈み込んだ。
深淵の教皇。
真紅の悪魔が(お互い仲良く)利用しようと企んでいた、彼女と同じロワの書き手である。

「死体が、二つ? もしかしてあんた、結構危険な……!?」
◆CppH18E08cは大変な(略)のまだ死んでいないという魂の叫びが聞こえた気もしたが、スルーする。
一体どういう経緯かはわからないが、彼女の周囲に二人分(?)の死体が転がっている事は変わりない。
警戒するヘアニストを前に、真紅の悪魔は叫んだ。
「はいえろふぁんと・あびす!
 あなたも胴体両断から復活したヴィクトリアの体なら、もう一踏ん張りできるハズだわ!
 その命……ってもう死んでるけど、その死、最後に私の為に……コホン。
 同じロワの同志の力にしてみなさい!
 わたしはあなたと──『新たな武器と共に』戦うわ!」

光が、迸った。

それが深淵の教皇の死して残る意地だったのか、
それともただ単に真紅の悪魔の力だったのかは判らない。
世の中には理由なんて深く考えても無駄な事だって有るのだ。
真紅の悪魔の叫びに応え、深淵の教皇の死体が見る見るうちに変形していく。
生まれ出るのは一本の剣。
その形は、楼観剣という刀そのもの。
真紅の悪魔は高らかにその銘を叫ぶ。

「『刀銀十字路』!!」

深淵の教皇が描いた評価の高いバトル話の名を。

南西市街地で起きた二つのバトル話を繋げる事で、その両方に登場した武器を作り出したのだ。
真紅の悪魔は刀を握り不適に笑った。
「とくべつに見せてあげるわ、わたしのとっておきを」

さっきは偽フランの大火力砲撃にビビリまくってたじゃないかとか言ってはいけない。
そんな事、ちょっと前に目を向ければ済む事だ。
目の前の弱っている割と普通程度の強さっぽい敵を見つめて1、2の3。
彼女は水洗トイレのように前向きだった。
どんな前向きさかを聞いてはいけない。

ヘアニストは仕方なくボクシンググローブを構えて、苦痛に呻く。
一方彼女の消耗は決して小さくない。
その上にヘアニストの技で今有効なものはハムの技のみだ。
(まずい、結構不利かもしれない。こいつ、作品のタイトルを技にしてるのか。
 どんなチートが飛び出して来るか判らないじゃないか)
というかもうささやか程度にはチートっぽいし。

だが、負けるわけにはいかない。
理由は殆ど吹き飛んでしまったが、一つ確信めいたものが残っている。
それは。

「あたしは、おまえみたいなバカには負けない!」
まともな人間(?)としての矜持であった。

「バ、バカとはなによ! わたしのエイチを思い知らせてあげるわ!」
カッとなった真紅の悪魔は自在に宙を舞いながら突撃する。

戦いが始まった。

     ◇ ◇ ◇

「うーん。どうしたものだろう、あれ」
その戦いを最初に目撃したのは段ボール女だった。
否、鋼の救世主ことれんげだった。

ミスターレキシをエンドウマメで撃退した後、彼女はまあ色々と見物して回った。
拡声器放送とかそれを取り巻く戦いだとか、色々な場面をだ。
その途中で埼玉の件の教会も見に行っている。
……一度見た時は普通の教会だったのに、少し周囲を見てくると見つからなくなり、
更にさっきもう一度見に行くと大聖堂になっていた謎の教会。
あれこそ旅の扉の教会に違い無い。

だから彼女は、次のフィールドに行こうと思えば何時でも行ける。

だが、スタンスが決まらないまま行っても即死するだけではないかという不安が有った。
そんな事では生き残れないという、漠然とした、しかしやはり、確信じみた不安だ。

そしてその予感は間違っていない。
書き手ロワは、元となった書き手の影響も有るにせよ基本的にパロディなオリキャラ祭りだ。
通常のロワにおけるキャラ達と違い、原作ネタという強みが弱い。
もちろん何かのキャラの姿を纏い、何かのキャラの力や自作に基づいた力が有る。
自らが書いた作品の展開を再現する事に情熱を燃やしても良い。
それでも、自分達が役者としては実績の無い、脚本家である事を覚えておかなければならない。
つまり、一言に纏めてしまうならばだ。

ロワ内での生存力はロワ内での美味しさに比例する。

パロロワ住人としては当然の論理である。
彼女は自分がバトルロワイアルの中に居る事から、自分を活かす為にどうすれば良いかを考えた。
まず方針は決まっている。
空気を読んで必要とされる存在になる事。
これは彼女自身の趣味とも合致している。問題は次だ。
このロワで求められる立ち位置とは、何か?

(周囲を見た感じと、普通ならやっぱり、マーダーなんだろうけど……)
彼女の居た東京周辺はあの拡声器放送を始めとして割合まともな者が多かった。
だがそれは、たまたまという予感がしていた。
あの拡声器放送で真面目キャラが集まっただけで、ここ以外じゃ螺子が吹っ飛んでるんじゃないか。
真面目に対主催やってる奴の方が少ないのではないか。
求められているのは、真っ当な対主催ではないか。

「……ううん、迷うなあ」

だから、手を出すか迷った。

迷ってしまった。

「──Humpty Dumpty sat on a wall」

詩が響く。

真紅の悪魔の唇から鼻歌のように諳んじられる奇妙な詩。

     ◇ ◇ ◇

「ドラゴンパンチ!」
業火を纏ったヘアニストの鉄拳を。
「~♪」
真紅の悪魔の、技も何も無い斬撃が切り裂いていた。
ヘアニストは歯噛みする。
(やっぱりこいつ、バカだけど強い!!)

真紅の悪魔の形であるレミリアは、結構超人の多いLS参加者の中でも最強クラスの一人である。
確かに殺害数は振るわないかもしれない。というか殆ど殺せていない。
戦いでもあまり勝ち星と言えないよーな戦積が並んでいる。
挙句マーダー化前を思い出せばカリスマ(笑)である。
それでも強いものが強い事に変わりは無い。
彼女の身体能力は本物だった。

「──Humpty Dumpty had a great fall~♪」

そのレミリアの姿を纏った真紅の悪魔は鼻歌のように詩を紡いでいた。
吐息に乱れは無く、瞳には余裕が浮かんでいる。
紡ぎながらその手に握る刀、刀銀十字路をヘアニストに突きつける。
ヘアニストは歯噛みしながらもグローブを構える。
そこに一つの横槍が入った。

「おっと、その戦いちょっと待ってもらおうか」
「All the king's──なー!?」

横合いから入った言葉に振り向いた真紅の悪魔が、絶句した。
そこに居たのは女児向けアニメのキャラクターだった。

正確には、そこに居たのは女児向けアニメのキャラクター、がプリントされた巨大ロボット。
に乗った、ジョジョロワ2nd書き手レオーネ・アバッキオであった。
それを見た真紅の悪魔とヘアニストが、あからさまに硬直している。
アバッキオはコクピットの中で、乗っているロボットの外装を思い出す。
「あ。ま、待て、この外装は俺の趣味じゃ……」
制止の声などもう遅い。
二人の口はわなわなと震え、そして。

「か、かっこかわいい!」
「流石に痛ロボってのはどうかとってえええええええ!?」
「マジかよ!?」
真紅の悪魔の目がきらきらと輝いていた。
それはもう夢見る乙女のようである。
開かれる口から飛び出た言葉は熱烈なラブコール。
「なによとってもステキじゃない! それちょうだい! わたしによこしなさい! ギブ・ミー・プリーズ!!」
もといそれをよこせという発言だった。

アバッキオは考える。
そもそも彼が追いかけていた喪失の物語はもう居ない。
ムーディ・ブルースで再生した所、対主催チームを卑劣な罠に嵌めて追い詰めるも、
逆転され殺されかけ……そこで、何かに『覚醒』したらしい。
再生映像は闇に包まれて終わった。
(クソッ。結局俺は間に合わなかったって事だ)
残った喪失の物語が何処へ消えたのかは判らないが、旅の扉を超えた可能性は高い。
書き手のチート覚醒は強力だ、何処に行ってもおかしくない。
喪失の物語を倒そうと思うならば次のフィールドに向かうしかないだろう。
だがアバッキオには、埼玉まで来て手ぶらで帰る気などさらさら無かった。
(あれだけカスガの野郎に大見得を切っておいて手ぶらで帰れるかよ。
 少しでも対主催を集めてからカスガの扉を潜ってやる)
その為に周囲を探索して、アバッキオはこの戦いを目撃した。

実を言うと、アバッキオはまだ二人の関係を掴めてはいなかった。
押されている方が喧嘩を売って返り討ちに遭っている間抜けなマーダーという事も有り得るからだ。
両方とも危険人物の可能性だってある。確認が必要だ。
しかしこの様子ならもしかすると、だ。

「一つ聞いておくぜ。おまえは優勝狙いか、対主催狙いか?」
「それはもう優勝よ! ……って、あ。ごめん今の無し、対主催狙いで」
「きっぱり断言しておいて言いなおすんじゃねえーーーーっ!!」

ガトリングキャノンの銃口は真紅の悪魔に向けられた。
ボケに対するツッコミとしては実に過激である。
真紅の悪魔はビクンと大汗たらしながらも、無い胸を張る。

「フ、フン、まあいいわ、なんだか今なら誰にも負ける気しない気がしなくもないし!
 あとそのロボ欲しいもの! ──Humpty Dumpty sat on a wall」
ヘアニストを圧倒できた事から調子に乗っているのだ、彼女は。
そしてまたも詠い出す。
途切れた詩を諳んじながら舞い踊る。
其れは。
真紅の悪魔自身さえ効果を理解していないその詩は。

不吉な詩。

     ◇ ◇ ◇

「くそ、なんて事だ!」
まとめレッドはそれを目撃して悔しげに叫んだ。
自らが間に合わなかった事と、失われた命に。
目の前には一つの死体が転がっていた。
スタイリッシュな少女物の服を着た、むさいおっさんの死体である。
まとめレッドはそれが◆CppH18E08cは(ryである事など知る由も無い。
ただ、またも一つの死体に出会ってしまった事が悔しかった。
駆けつけた東京では、拡声器放送をしたと思しき仮面ライダー零の死体に出くわした。
他にも幾つかの死体を見つけたが、運の悪い事に生者とは出会えなかった。
それらの死体に出会う度にまとめレッドは嘆いた。
話した事も無い何処かの誰かの死を嘆いた。
それが熱血という生き方なのだ。

「せめてこのまま野ざらしにはすまい」
それにしてもなんと無残な死に方だろう。
男は全身を焼かれた末、何かに胸を貫かれて死んでいた。
その表情には明らかな苦悶が見える。
死んだ後くらいは、安らかな土の下に眠らせてやろう。
彼は当然のように、死体を埋葬すべくその死体に触り。

──Humpty Dumpty had a great fall.

     ◇ ◇ ◇

「これはひどい」
「ええ、ひどいですね」
「ダンボールマン姿で死亡するなんて最低の罰ゲームだお」
「あ、中身は女の子ですね。何故か素っ裸ですが」
「ちょ、それはひどいいや羨ましいやる夫にも見せいややっぱりひどいお離れるお!」
「どっちですか。それはそうと、これの下手人はやっぱりあのアレだと思いますか?」
「丁度ここから遠ざかりながら戦ってるんだお、間違いないお!」
「やはりそうですか。でも教会はここ埼玉にあるんですよ?」
「行ってすぐ帰れば問題無いおwww 貴重な美少女を減らした奴に一言説教してやるお!」
「貴重ではないと思いますが良い意気です。では行きましょう」

やる夫とやらない夫(アルテマウェポン)は埼玉でその死体を見つけた。
テニアの姿をした少女、スパロワ2のれんげはビル影で後ろから刺され、殺されていた。
その現場から遠ざかっていく戦場が見えた。
ガトリングキャノンを振り回す痛ロボことZY-98と、上空を舞いながら弾幕を撃つ真紅の悪魔。
足元にもあともう一人ほど居るようだった。

特別対主催路線というわけでもなかったが、彼らとて零の放送に何かを感じた二人だ。
無残に殺された少女の死体と、対主催とマーダーと思われる戦いの構図を見て、
何が有ったのか知りたい、何かを為したいと思うのは自然な事だ。
「でも仮に対主催とマーダーだとしてもどっちがどっちなんでしょうね」
「そんなの決まってるおwww圧してる奴がマーダーだお!
 だからロボにのって生身の相手を追う方がマーダーに決まってるお!
 あんな痛いロボに乗ってマーダーなんて羞恥プレイだおwww」
「あれ、割と互角に戦ってますよ、飛んでる方も」
「マジかお!?」
「マジです。結構強いですね、あれ。ところでやる夫さん」
「なんだお?」
「どちらが危険かどうかというのも重要ですが、それ以前にもう一つ問題があるようです」
「問題? 一体何があるんだお?」
「ええ。一言で言ってしまうと……追いつけません」
「…………考えてみたら巨大ロボと飛行キャラ相手に追いつけるわけないお!!」

結局、彼らが戦場に辿り着いたのは東京に入ってしばらくしてからだった。

そして。

──All the king's horses,

     ◇ ◇ ◇

「ひどい……ひどいよ……」
「……そうだな。ひどい行為だ、これは」
うっかりゲリラ突撃犯と静かなる輝星(サイレント・スター)は埼玉に居た。
長野県跡をぐるりと回って仲間を探し、とうとう反対岸まで来てしまったのだ。
そしてそこで見たのは、初音ミクの服を着た男の死体が倒れている光景と。

労るように死体に触れた青年が、死体の下から覗いたクレイモア地雷に爆殺される瞬間だった。

法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷。
それが青年の死因だった。
何者かが死体の下に悪辣な罠を仕掛けていたのだ。
死体を調べたり埋葬しようとした者に死をもたらす為の仕掛けを。
彼に変身もしない姿でその爆発に耐え切れる程の力は無かった。
戦隊ロワ書き手まとめレッドは、そうして死んだ。
即死だった。

「誰が、こんなひどい事を!?」
「判らない。でも気をつけて、レン。ここは危険地帯だと推測できる。
 それにまだ何か、ピリピリする物を……」
突撃犯とレンはハッと長野県跡を振り向いた。
遥か西から、何かが、来る。
「伏せろ!」
「うん!」

実際はそれほど近くない。
だがだだっ広い砲撃跡と化した長野県跡は遥か遠くまで見渡せる。
彼女達より遥か南のある場所を、緯線に沿って真西から真東へと閃光が走る。
遥か、遥か出雲大社周辺より放たれた破滅の閃光が。

──And all the king's men,

     ◇ ◇ ◇

仮面ライダー二号に変身した、ライダーロワNEXTの泰鬼。
ハカイダーの姿を取る、ロボロワマスクドハカイダー
二人の男は互いの信念を鍔迫り合わせていた。
迷いながらも確かな正義の闘志を篭めた、拳が。
揺るぎ無き破壊の意思を込めた銃弾を叩き落す。
躱す。
捌く。
凌ぐ。
距離を詰めて反撃する。
────避けられる。
────受けられる。
────払われる。
拳が、蹴りが、受けられ、流され、捌かれる。
殺意と破壊の銃撃が、躱され凌がれ避けられる。
戦いの趨勢はほぼ互角。
だが、それは膠着状態にあるという意味では無い。

決着の時は近い。

「正気の沙汰ではないな、仮面ライダー。捌くにせよこの銃弾を受けるなど」
泰鬼の手は彼自身の血に塗れていた。
マスクドハカイダーの持つハカイダーショットとアポロマグナムは、断じてただの銃などではない。
どちらも変身ヒーローのライバルたる宿敵が使う、必殺技と等しい爆撃の如き銃撃だ。
あらゆるマシンを破壊する振動弾と、戦車をも破壊する弾頭だ。
それが、正面からではなく受け流すにせよ、掠めているだけにせよ、当たっているのだ。
身を躱して凌ぐべき必殺の一撃が、何度も。

泰鬼は、答えた。
「俺があんたに勝つにはこれぐらいは必要だ」
破滅の銃弾を幾度も受けたその拳は、もはや打撃に足る力を失っている。
両の拳という武器を捨ててでも泰鬼は食い下がる。
迷ってばかりの自分が。
確固たる破壊の強さを持つ、マスクドハカイダーへ挑む為に。

その成果、マスクドハカイダーの立ち位置は徐々に追い詰められていた。
あと少し追い込めば、マスクドハカイダーの避け道を封じられる。
その時が、決着の時だ。

ライダーキック。

力の2号から放たれる剛直なる必殺技がマスクドハカイダーを打ち破るか。
それとも必殺技の瞬間、身を躱す事も叶わない泰鬼を必殺の銃撃が撃ち砕くか。
どちらにせよ決着はその時だ。

二人ともが、そう思っていた。

視界の端に二人の青年が目に留まった時も、まだそう思っていた。
泰鬼とマスクドハカイダーの戦いを目撃した彼らとの距離は、遠い。
彼らがこの戦いに介入する前に、決着する。
だが、その時。

彼方から迫った閃光と衝撃が二人の青年に襲い掛かっていた。

泰鬼は息を呑み、間に合わずとも彼らを助けようと駆け出した。
マスクドハカイダーはそれに怒りを感じながらも、彼を撃ち殺そうとはしなかった。

二人の青年を飲み込んだ圧倒的で巨大な力の奔流が、千切れた。
全体のごく一部、破壊の端に居た二人を飲み込む部分の一欠けらだけの事だ。
青年の片方が突如襲い来る圧倒的な破滅を防ぎ、逸らしたのだ。
それは青年の全力と、彼自身の命をもって果たされた。
圧倒的な破壊の奔流はほんの一欠けら、彼らを呑み込む筈だった分だけ流れから、逸れた。
そしてその圧倒的な、破壊の一欠けが。

駆け寄ろうとした泰鬼を呑み込み、消し飛ばしていた。

あまりにも無意味なそれが、マスクドハカイダーを追い詰めたヒーローの死だった。

──Couldn't put Humpty──

【死亡 ◆CppH18E08cは大変な支給品を出していきました@ニコロワβ】
【死亡 れんげ@二次スパ】
【死亡 まとめレッド◆i1BeVxv./w@戦隊ロワ】
【死亡 アルテマウェポン @FFDQ】
【死亡 泰鬼(◆RIDERjbYCM)@ライダーロワNEXT】

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ゆっくりした結果がごらんの有様だよ!!!(前編) ◆CppH18E08cは大変な支給品を出していきました
歴史ロワイルからの刺客 れんげ
絶対運命交差点 まとめレッド
絶対運命交差点 アルテマウェポン
継ぐのは魂 泰鬼
ゆっくりした結果がごらんの有様だよ!!!(前編) 真紅の悪魔(カーディナル・デビル) きよひめのなく頃に~櫃塗し編~
カスガ、運命の扉!! レオーネ・アバッキオ きよひめのなく頃に~櫃塗し編~
絶対運命交差点 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします きよひめのなく頃に~櫃塗し編~
ゆっくりした結果がごらんの有様だよ!!!(前編) うっかりゲリラ突撃犯 きよひめのなく頃に~櫃塗し編~
ゆっくりした結果がごらんの有様だよ!!!(前編) 静かなる輝星(サイレント・スター) きよひめのなく頃に~櫃塗し編~
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最終更新:2009年06月12日 19:44
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