そう言えばこれって二次創作じゃなくて擬人化物なんだよな

雨かと見間違うような大量の水が、襲い掛かるようにピンク髪の少女――【魂爆】ウィクスゥに降り注ぐ。
だが、その水は体を痛めつける雨とは違い、体を潤す暖かなお湯。
少し温度は熱めだが、シャワーはこれぐらいが良い。
少女自らの体を抱きしめながら、その降り注ぐ暖かな水を浴びる。
そして、その暖かな水滴は長いピンクの髪から真っ白な肌へと伝っていく。
肉があまりついていない裸体を流れる多くの水滴、それが妙な背徳感を感じさせる。
その薄い胸や尻も、細い手足も、特殊な趣向の持ち主でない人間には興味の無いものなはずだ。
だが、その肉付きの良くない裸体には、どこか色っぽさを感じさせる。
あえて言葉にするならば、どこか郷愁を感じさせる色っぽさだ。
小さな頃、同年代の少女に抱いた淡い思いを思い出させる。
ピンク髪の少女が無防備な所も昔を思い出させる原因の一つだろう。
何時からだろうか。男女混合の水泳でドギマギするようになったのは。
何時からだろうか。男女で水泳の授業が別になりがっかりとしたのは。
覚えたはずである、同年代の少女の水着を、体操着を見て心が弾んだ覚えが。
無いとは言わせない、同年代の少女に興味を覚えなかったことはないとは。
そのような幼い頃を思い出させる色っぽさが、かの少女は持ち合わせている。
そう、貧相な体ゆえの色っぽさが!

――――短くはあるが、この辺りでお終いにしておこう。
    何故なら筆者には【地雷を褒めちぎるスレ】の住人達のような才能はないのだから。


   ◆   ◆   ◆


(優雅だねえ……下僕に見張りを任して一人シャワーかよ)

ウィクスゥがシャワーを浴びている中、シャワー室が目に入る距離の海岸にさすらいのヒーローは座り込んでいた。
用は見張りだが、それは暇だとは思わなかった。
沖縄は非常に綺麗だ、星空も海も。これが見れるのならロワに参加してよかったかもしれない。
そんな呑気なことを考えていた。

(そう言えば、今の俺ってレッドなんだよな。
 ……これって、パワポケプレイヤー全員が心の何処かで知りたいと思っている最大の秘密、『あれ』が判明するんじゃないか?
 そう、『あれ』。パワポケ9主人公=レッドが転生した姿説を!?)

ここでパワポケを知らない方に説明しておこう。
レッドとはパワポケ7に出てきた物語の中核を担うキャラクターである。
(ちなみにパワポケではナンバリングの数字は英語ではなく日本語で読む、豆知識である)
そしてパワポケ9の主人公(以下9主)、これが様々な要所でレッドと被るのである。

例えば9のサクセスタイトルである『さすらいのナイスガイ』とは、7でレッド登場の際の口上『粋でクールなナイスガイ!』と被る。
さらに、7に登場したヒーローは物語終了時点で、野球部員以外の記憶から消え去ったのに、9主はヒーローのことを知っている。
さらにさらに、レッドの着けているマフラーと9主の着けているマフラーの色は同じ黄色である。
さらにさらにさらに、レッドと同じくヒーローであったブルーの能力が、9主のかつての仲間である椿という男とほぼ同じ。
さらにさらにさらにさらに、サクセスの流れが7と9は同じで『チームの主力となった余所者を追い出すために反乱を起こす』なのだ。
そしてレッドと9主はチームの助っ人、つまり余所者。このこともレッドと9主の立場がそっくり被るのだ。
ここまで来れば普通はレッド=9主となるだろうが、スタッフは「さあ、どうでしょうね?」の一点張りで答えようとしない。
それに証拠と言っても状況証拠だけなので、レッド=9主説が確実にそうだとは言えない。
故にファンの間で『レッド=9主だろjk』・『はっきりさせないのがロマン!』・『レッドは消えた、もう居ない!』に分かれたのだ。
ちなみにロマン派はレッド=9主派寄りとレッドは消えた派寄りがあって内部分裂気味である。

(ロ、ロマンからは外れるけど別に良いよな? どうせ二次創作、って言うか二次創作ですらないし!
 こんなネットの辺境でレッド=9主人公説が正しかったってなったって誰も損しない、ああ、そうさ!
 それに、まだレッドなんだから9主人公に転生してないから変身が解けないかもしれないし、別に良いよな!?
 そうさ、変身が解けない可能性だってあるんだ。誰も挑戦することを責めやしない!
 ……やっぱりあれかな、変身解除!って思えば変身が解けるのか? それがお約束だよな?)

中々に支離滅裂な思考をしながら、wktkそのものな表情で『変身解除!』と心の中で強く叫ぶ。
近くでは【魂爆】ウィクスゥがシャワーを浴びているので叫ぶのはやめて置いた。
何せ相手はあの姿だけとは言えツンデレで有名なルイズ、大声出しただけで怒られそうな気がしたのだ。

「うお……おお……!」

そして、赤いフルフェイスのメットと同色のタイツが消え去っていき、さすらいのヒーローは全く別の服装に身を包まれている。
さすらいのヒーローは自らの体を眺めて直ぐに察する、これは9主・さすらいのナイスガイの服装だと。

「うおおおお! やっぱりレッドって9主だったんだ、さすらいのヒモだったんだ!
 かー! 書き手やってて良かった……! はは、やっぱり良いもんだな! 真相が判明するってのは!
 ハハハハハハハハハハ……………………はぁ」

9主はやはりレッドの転生した姿だった。9主はその気になればヒーローになれる。
そう分かると興奮し高笑いを上げ、そして波が引くように気持ちが醒めていった。

(……やらなきゃ良かったな)

秘密は秘密のままで良い、それは誰の言葉だったかは分からない。
だが、さすらいのヒーローはその言葉を強く痛感している。
このままレッドの正体は謎のままの方が、それを妄想したりして布団に悶えたりしていたほうが良かったのだ。
やれやれと軽くため息をつき、少し肩を下ろして海面を眺める。
さすが沖縄、何度見ても綺麗な海だ。ビバ・観光地である。

「なっ……!」

だが、さすらいのヒーローは海の美しさと別の意味で驚いた。
彼が驚いた理由は一つ、海面に映し出された自身の姿が予想外だったからだ。
さすらいのヒーローの姿、それは彼の予想通り茶色のボロと同色の帽子を被り、首に黄色のマフラーを巻いた9主人公の服装だった。
そう、服装は9主人公だ、服装だけは。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!??」

しかし、それを身に纏っているのは真っ赤な髪に猫のような瞳をした少女、そう少女だったのだ。
レッド状態のときよりも声も高くなっている、そう言えば先ほどから股間が妙に落ち着かなかった。
断っておくがパワポケ9の主人公は少女ではない、もうオッサンだ、見事なまでに。
どれぐらいオッサンかと言うとカブトムシの臭いがして、パワポケ主人公で唯一無精髭が生えているぐらいオッサンだ。

「うるさいわね! いちいち大声出すんじゃないわよ下僕一ご……」

大声を出しながら出てきたのはシャワーを浴び、服を身に纏ったウィクスゥである。
シャワーを浴び終わった直後のため、ほのかに湿ったピンク髪と上気する赤い頬が色っぽい。
髪を乾かすためか、長い髪をアップにしてるので僅かに髪の引っ付いたうなじが妙に色っぽい。
そして今のウィクスゥはルイズの姿だ、中身はともかく外見は間違いなく美少女なのだ。
普通なら少し動揺してしまう、なにせ二次元美少女なのだから。

ただ残念なことに、その動揺を軽く超える驚きがさすらいのヒーローの中にあった。
何せレッドなのだから中身も男だろ、と思ってたところを芹沢真央という少女の姿になっていたのだから。

「ああ、ウィクスゥ! お、俺の、俺の体が!!」

今の体は芹沢真央という、ヒーローで唯一人間形態を持っていたキャラとそっくりだ。
強いて言うなら黒髪が赤髪になっているくらいだ。変身後がレッドだからだろうか?
恐らく、さすらいのヒーローは芹沢真央の登場話を書いているのでその繋がりで真央の容姿をしているのだろう。
本人はそのことに頭にいっていないが。

「……あんた、下僕一号?」
「ああ、そうだよ! 下僕一号に突っ込みたいけど今はもういい! とにかく俺の体が女に――」
「へえ、中々やるじゃない」
「……は?」

ニヤリと何か意地の悪いことを思いついたような、楽しそうな表情を浮かべるウィクスゥ。
嫌な汗が背中に流れる、最初にJUDO状態でウィクスゥと出会ったときとは全く違うベクトルの嫌な汗が。

「つるぺたマーダーコンビ――アリね!」
「はあぁぁぁぁぁぁ!!?」
「つるぺたマーダーコンビならインパクトもある、それが暴れれば盛り上がるはず!
 ロリでもなく大人の女でもないって所もキャラ立てとして悪くないわ!
 即座に個性の補強をするなんてやるじゃない! 技巧派という肩書きに名前負けしないよう頑張ってるわね!」
「俺はマーダーじゃねえ、対主催だ!
 それと真央は中学生ぐらいの容姿のはずだぞ、これでロリじゃねえって毒されすぎだ! 中学生との交際は犯罪だぞ!」
「ふふ、しかもオレ口調とは少しあんたを侮っていたみたいね」

全く話を聞かないのはシャワーを浴びようが浴びまいが関係ないようだ。
さすがにここまで話を聞かないと、段々と腹が立って来る。
まさか漫画ロワの書き手は、熱いけど話を聞いてくれない、って特性があるんじゃないのかとさすらいのヒーローは疑ってしまう。

「まあ、これで変身解除して全裸になったらお美味しいんだけど……私とあんたはそういうタイプじゃないのよね」
「うるせえ! 変身を解いたら全裸とか何処に需要があるんだ! お前はともかく俺は男だぞ!」
「今のあんたはつるぺたの少女よ、おっぱい怖いな人には需要ありまくりじゃない」
「う、そうだった。実感が湧かねえ……」
「それにオッサンだったとしても、漫画ロワの独歩ちゃんは大人気なんだから需要はあるわよ。
 まあ、キャラが確立していない序盤に、しかも細かい描写なしで全裸になったところで人気も出ないでしょうけどね。
 あれは細かい描写で明確に想像できたんだから人気も出たんだし」
「うるせえええええ!!」

書き手としての経験値が圧倒的に上のウィクスゥの言っていることは正しく、為にもなるお話だとは言えどこかムカつく。
確かにキャラ立ては大事だが、焦っているさすらいのヒーローにはおちょくりの言葉にしか聞こえなかった。

「しかし、褒めてあげるわ下僕一号! ただのマーダーコンビからつるぺたマーダーコンビへと進化させるなんて!
 さあ、私達でこの書き手3rdを盛り上げるわよ、まずは下僕を住人集めるわ! 次の下僕は力の二号ね!」
「だから俺の疑問に少しは答えてくれえぇ!!」

彼は忘れていた、書き手ロワは二次創作というよりも書き手擬人化と言った方が正しいことを。
つまり『レッドになったさすらいのヒーロー』なのではなく『レッドの姿をしたさすらいのヒーロー』なのだ。
だから結局、彼の疑問は『まあ、書き手ロワだし見た目とか設定はちゃんぽんでもアリでしょ』で済む問題なのである。


【一日目・深夜/沖縄・海岸(本土へは大きな橋があります)】
【【魂爆】ウィクスゥ ◆KaixaRMBIU@漫画ロワ】
【状態】健康。JUDOに二時間変身できない。
【装備】なし。
【道具】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】基本:マーダー(自称)で書き手3rdを盛り上げる。
  1:下僕一号(さすらいのヒーロー)を少し見直した。あ、あくまで少しだけどね!
  2:仲間と情報を集める。下僕を増やす。とりあえず十人。
【備考】
※外見はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔です。
※JUDO@仮面ライダーSPIRITSに変身できますが、なぜか仮面ライダーZXくらいの能力です。
 JUDOが変身した仮面ライダーにフォームチェンジができます。

【さすらいのヒーロー◆7WJp/yel/Y@パワプロクンポケットバトルロワイアル
【状態】健康。強い戸惑い。ツッコミ疲れ。
【装備】なし。
【道具】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】基本:対主催。
  1:なんで真央……? しかも髪赤いし。
  2:ウィクスゥどうしよう。
  3:仲間を集め、主催を倒す。
【備考】
※変身後の外見はレッド@パワプロクンポケット7
 変身解除後の外見はパワポケ9主人公の服装をした赤い髪の芹沢真央@パワプロクンポケット7です。


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レベル1でラスボス遭遇 【魂爆】ウィクスゥ 生まれたことを喜劇だと笑い飛ばせば
レベル1でラスボス遭遇 さすらいのヒーロー 生まれたことを喜劇だと笑い飛ばせば

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最終更新:2009年06月03日 00:29
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