群馬de珍事

周りが全くの無人だと紛うほど静かな場所で、俺は考える。

なんと言うことだろうか。
まさか書き手3に参加できるなんて思わなかった。
っていうか、良いのか? まだ4作しか書いてないぞ?(2009/3/22現在)
第一放送までまだだし。これはどうなんだ、まさかイレギュラー?

「…………まぁいい」

と、いろいろなことを考えながらも、口数自体は存外極少……そんな俺は今、群馬県にいた。
ああ、申し遅れた。自分はラノオルタ書き手「◆MjBTB/MO3I」である。
俺のその姿は何故か土屋康太……そう、バカテスの「ムッツリーニ」となっている。
うん……えっと、うん。ど  う  し  て  だ  ろ  う  ね  ?

「…………まぁいい」

だが、そう。しつこいがそれはまぁどうでも良い。
呼ばれてしまったものは仕方が無いのだから。
そう、仕方ない。仕方が無いのさ。
運悪く支給品がセーラー服だけだったとしても。


というわけでまとめ。
今は上記の通り今自分は土屋康太の姿で群馬県にいる。
支給品は「涼宮ハルヒシリーズ」出典の「北高の制服」のみ。
周りには誰もいない。マジ誰もいない。

以上。


「…………畜生」

つまり早い話が、どう見ても無防備です本当にありがとうございました。
セーラー服一枚で戦えるわけ無いじゃないですか。もしいてもそんなのは化け物だ。
運が悪いとか言うほか無い。ああ、せめて自分がキノの師匠とか朝倉涼子の姿だったなら。
――――と、そんなことを考えていたら凄く切なくなってきた。正直、今俺はまさしく人恋しかった。
誰かいないか。ぶっちゃけ寂しい。独りでこんなところで死ぬなんて嫌だ。
こうやって俺が参加させられたんなら――――どうせ参加するんなら、一騒動起こしてから死にたい。
ムッツリーニの姿なんだ。なんかこう、エロ展やるとかさぁ。
ああ、こんなこと考えてるからこんな姿にされたんだろうな俺……。

「…………ッ!?」

と、その時だった。何者かの足音が聞こえた。
俺の体の中の何かが即座に聴覚を刺激、反射的にその方向へと首を向けさせた。
普段の俺ならば聞き落としたかもしれない。考え事もしていたし、余計にだ。
だが何故だか体はビンビンに超反応を起こしていた! 足音がどこから近づいているのかもわかる。
一体どうして――――とか考えてる間に、足音はその音量を増していく。
そして、物陰から何者かが姿を現した。

「たすけて……そ、そこのお兄さんっ! 助けてぇっ!」

足音の正体が発覚した瞬間、「あ、なるほど。俺の超反応は土屋のエロパワーのおかげね……」と、そう確信した。
何故なら視線の先には、俺にとってはストライクゾーン――土屋康太にとってはどうかは知らないが――な幼女がいたからだ。


       ◇       ◇       ◇


前略、皆様お元気でしょうか。ラノオルタ書き手の◆MjBTB/MO3Iです。
セーラー服を一枚掴まされ、群馬県のどこかも知れない場所に放り込まれ、絶望を感じていた◆MjBTB/MO3Iですよ。
さて、そんな俺ですが――――今、正直幸せです。
だってほら、こんな可憐な幼女が俺を頼るなんてそうないでしょうからね。

「お願いっ、怪しい人に……怪しい人に追われてるの……っ!」
「…………わかった、まずは落ち着いて」

だが、そんな俺の性癖は一応は脇においておこう。
好みでも好みでなくても関係ないだろう。だって目の前の幼女は困っておいでなのだから。
どうやら彼女は非常に錯乱しているようで、冷静になれと言っても聞いてくれない。
むしろ彼女は俺のそんな言葉を聞けば聞くほど錯乱度を増していっているようだ。
ああ、そんなに辛そうな瞳を覗かせないでくれ。少なくとも俺はきゅんと来るじゃないか。

「おねがいっ! 一緒に逃げてえ……っ!」

切り揃えられた金色の髪、ショートボブと呼ぶべきであろうそれを忙しなく揺らしながら、幼女は混乱のままに叫ぶ。
幼女(年齢的な意味で)が珍しいラノオルタでは見られないであろうその姿が美しいと、正直そう思う。
やはり俺も書き手なのだなぁと痛感。と同時にこんなロワに呼び寄せられても仕方が無いなと思う。
それどころか幼女になんぞ惹かれおってからに……そりゃ土屋康太の姿にもなるわな。

「…………どこかに隠れよう」
「かく、れる……?」
「…………こっち」

とりあえず近くに民家があったのでそっちに行くことにする。
一向に落ち着かない幼女の手を引き、無理矢理にでも連れて行く。
一応は「逃避」であるという事を理解してくれたのだろうか。反抗はしてこなかった。
ああ、叫びつかれたのかもしれない。どちらにしろ助かるのだが。
――――とか考えているうちに到着。
手をかけたドアの鍵は幸運にも開いていたので、侵入は容易だった。
なんかこの展開どっかで見た、っつーか俺の書いた話でもそうだったな。
まぁあの時は別にスネークする為に民家を描写したわけではないが……。

「…………一旦、ここに隠れよう」
「う、うん……ありがとう……」

幸いここは住宅地だ。ぶっちゃけ民家など腐るほどある。
追っ手がピンポイントでこちらに向かってくるということもそうはあるまい。
機を隠すなら森の中。家を隠すなら……最早何も言うまいて。
このなかなかの良策に希望を見出してくれたのか、幼女の声量は抑えられていた。
先程のように錯乱の一途を辿っている様子は無い。無い、のだが。

「はぁっ……はぁ、ぁう……っ」

おかしい。目の前の幼女は未だに息を乱れさせている。
慣れないマラソンで体を苛め抜く素人を見ているようだ。
それに顔も紅潮していて苦しそうだ。まさかとは思うが、持病か何かを患っているのか?

「ごめん、なさい……迷惑……よね……」
「…………別に」
「あのっ、私……私、今すごく変なの……」
「…………変?」

息を切らしながら、顔を紅潮させながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐ幼女。
一体彼女に何があったのかわからない。だがそれはまるで「あの」欲に狂う「オンナ」の様に……。
いや、待て。その考えは流石にヤバいぞ。土屋康太の姿でもこれは許されん。っていうか土屋にもヒかれるぞこれは。
いかんいかん。イエスロリコン・ノータッチ。厳守せよ俺、厳守せよ俺。
ふぅ……ちょっと動じてしまったが、どうにか幼女との会話を続けねば。
何か重大なことを言いそうな気配あるもの。冷静に考えたら何かフラグ生みそうな切り口じゃん。
さぁ、大丈夫。俺は大丈夫だ。よし良いぞ名も知らぬ幼女よ、何が変なのかお兄さんに言ってごらん。

「私、さっき怖い人に追いかけられて……っ! それでっ、変なおくすりを……!」


       ◇       ◇       ◇


前略、皆様お元気でしょうか。ラノオルタ書き手の◆MjBTB/MO3Iです。
セーラー服を一枚掴まされ、群馬県のどこかも知れない場所に放り込まれ、絶望を感じていた◆MjBTB/MO3Iですよ。
さて、そんな俺ですが――――今、ピンチです。
まさか幼女が俺に対してこんなスキンシップを取り始めるとは……そう、スキンシップ……スキンシップゥゥゥゥゥゥ!?
阿呆かァァァァァァ! そんな甘いもんじゃないわボケェェェェェェェ! ガチロリコンなら卒倒しとるわァァァァァァァ!!

「んっ……ふ……っ、ん……」

皆の者、冷静に聞くのじゃ。
えー、うん。今、金髪幼女が俺の右手の人差し指を……口に含んで舐めまくっております。
待って下さい先生。俺の指は棒キャンディー的なあれじゃないんですけど。
俺の心と体が、沸き上がる欲情をどうにか押さえつけているが、なんかちょっとキツい。
どうしよう。これ。っていうか何があったの? なんでこうなったんだっけ。

「ぷは……はぁっ、はぁ……ごめ、なさ……こうしなきゃつらいの……」

幼女のおしゃぶり代わりとなっていた人差し指が開放された。
涎でベトベトなそれは、久々の外気に触れてスースーする。
ねぇ、本当何があったのよ。変なおくすりって一体何なんスか?

「あのね、変なおくすりをね、飲まされたの……!」
「…………無理矢理にか」
「そしたらね、そしたら私……こんな、なんかきぶんがへんなになってっ……怖いの、こわいよぉ……っ」
「…………これが、その薬?」
「うん……っ、怖かったけど、逃げるときに取ってきたの……!」

幼女が開封済みの包みを俺に渡してきた。病院帰りに渡される粉薬の包みようなそれの中には、まだ薬が沢山入っている。
ってちょっと待て。薬品、そしてこの幼女の乱れた姿……はて? 俺はこの流れをどこかで見たことがある。
そうだ、俺は確かにこんな感じの状況をどこかでひあやっひゃぅ!

「んぶっ……ふぅ…………んんー……」

先程散々しゃぶりまくっていた俺の人差し指が再び幼女の中に呼び寄せられていた。
今度は中指も巻き添えにされている! あっはーん! 何が起きてるのー!?
いや、喜ぶな俺! どんだけ変態なんだ! 何プレイだよ! 何の店なんだよこの民家は!
ってちょっと、やめてええええええ! 今何か思い出しそうだったのにィ!

「……ほえん、なふぁい……ん、ん、ふっ……」

いや良いから! そんな言葉になってない謝罪は良いからもうあちしの指しゃぶらないでー!
なんでこんな欲情してんのよこの子! いや待て、欲情?
そうか、わかったぞ! 薬品にこの少女の乱れっぷり……LSロワの「けんぜんなたたかい」関連だ!

「うむ、はむぅっ……んぅ…………」

それにこの子どっかで見たことある! そうだ、あの子だ!
LSロワにおける「一時は教祖だと思われてたけど別にそうじゃなかったぜ!」に定評のあるタバサだ!
金髪に緑色のリボン、そして今は恍惚に満ちたこの蒼い両目……間違いない! やっちまったなぁ!
つまり今彼女は、襲い来る性欲――見た目からして未知のものだろう――の恐怖と戦っていたわけね!
だってそうでしょ、謝罪してんだもん! つまりこの幼女の行動は、性欲に打ち勝てなかった故の本能からの行動か!
畜生やられたぜ……つーか、冷静に考えればこの幼女もどこかの書き手なんだろうな。
FFDQ3rdあたりか? 様子から推理するに、おそらく俺と違い思考能力も厳重にトレースされているんだろう。
そうじゃなければここまで狂わされることも無いはずだ……不幸だ、不幸すぎる……!

「…………んんっ……ぅう……」

そうか、わかったぞ。俺がこのロワに呼ばれた理由は判明したぜ!
俺はこのロワの中で他の不幸な書き手を救うために降臨した救世主となるべくっはあぁぁぁん!
らめぇぇぇぇぇ! シリアス展開に戻そうとしてるのにその舌使いはらめぇぇぇぇぇ!
集中出来ないぃぃぃぃ! はぁぁぁぁぁぁん!!




――――何分、経った?

いや、時間をどれくらい書けたなどというのはどうでもいい話だ。重要なのは結果だ。
そう、幼女が部屋に響かせるこの魔笛の音をBGMに……俺はどうにか自分の指針を決めることに成功した。
これから俺はこの幼女を始めとする「ピンチになっている」書き手を助けてみせる!
まだ俺はラノオルタ書き手としては始まったばかりだが……やれることはあるはずだ!
だからうん……とりあえず今はこの幼女を好きにさせてあげよう。
なんだよその目は。違うぞ、性癖に負けたわけじゃないからな?
いいか? これはあくまで可愛そうな子供を助けるためのだなぁ……あれだよ、リハビリ?

「……っは…………はぁっ、はっ……はあ……」
「…………落ち着いたか?」

ほら、見てみろ諸君。この幼女は遂に俺の指を解放してくれたぞ。
俺が抵抗せずにいたおかげだ。被害にあったのはせいぜい俺の指二本じゃないか。
しかも涎まみれなだけで、外傷があるわけではない。この方法は正しかったんだ。
薬によって引き起こされた衝動を、俺みたいな素人が落ち着かせられるとは思えんからな。
だから無抵抗だった俺をそんな目で見るな。やめろ、俺を犯罪者みたいだとか言うな。
そりゃみくるの登場話はあれだったけども。

「お兄さんっ、ごめんなさい……ごめん、なさい」

ほうら、幼女だって立派に謝罪しているじゃないか。大丈夫、もう俺の指には眼中は無かろう。
え? さっきも謝罪した上で指を口に突っ込んでただろって? いや、そりゃそうだが。
だがもう流石に大丈夫なはずだ。子供の性欲なんて大した事無いだろ。
な、そうだろ幼女さん。もう満足したよな? 

「……ご、めん……さ……」

いや、もう良いよ謝るのは。大丈夫だ、俺は何も怒ってない。
君の事は決して傷つけはしない。俺が護ってやるからもう大丈夫だ。
心配するなよ、心配するな。だから謝らなくていいんだ。

「やっ……変なの、くる……っ!」

……あん? え、何この空気。何?
嫌な予感しかしないわよ?


「いっちゃい、そうなのぉ……っ」


バカァァァァァァァァ! 何がだよ! いっちゃうって、一体何がだよ!
いや、っていうか待て待て待て待て! お前はここをどこだと思ってんだァー!
え、民家? んなこたわかっとるわ! それ以前にここは「書き手ロワ3rd」ですよォォォォォ!?
コ○ックL○とかメ○○トアとかそんなんじゃないんだからね!? ないんだからさァァァァァァ!!
ああ、そんな事言ってたら幼女が俺をまるで押し倒そうとしているかのように近づいてくるるるるる!
何をするだァー!

俺はどうにかして抵抗しようとするが、その瞬間に「……バイキルト」と幼女が呟く。
すると不思議なことに幼女の力がいきなり強まりやがった! 軽く二倍ってとこか!?
遂に男の俺をいとも簡単に押し倒し、マウントポジションをゲットしやがった!
まずいよまずいよ。だってホラ、なんかこの構図ってさ……男として終わってない?

「もう、だめ……いっちゃ、う……」

ああ、もう何が何だか。
解ることは、俺これから犯罪者と化しちゃうんだろうなって事くらいです……世間からなんて言われるか。
本当、なんかおかしいよこれ……本当おかしいってば!

「ヒャド」

――――だが、おかしいのは、それだけじゃあなかった。


       ◇       ◇       ◇


前略、皆様お元気でしょうか。ラノオルタ書き手の◆MjBTB/MO3Iです。
セーラー服を一枚掴まされ、群馬県のどこかも知れない場所に放り込まれ、絶望を感じていた◆MjBTB/MO3Iですよ。
さて、そんな俺ですが――――今、そんな事を言ってる場合ではありません。
痛い、痛い、痛い。死にそうだ、死にそうなんだよ。何で、こんな事になってるんだ。

「あは……"言"っちゃった……」

ヒャド。それはDQの呪文だ。氷の刃が敵を刺し貫くという物騒なもの。
そこから更に「ヒャダルコ」「ヒャダイン」「マヒャド」と続く氷雪呪文の基本中の基本。
DQ5の主人公の娘――FFDQ3rdとLSロワでタバサと呼ばれている少女――の得意呪文だ。
その刃が今、俺の腹に刺さっている。そして幼女が嬉しそうに笑っている。何故、なんだ。

「もっと楽しみたかった、んだけど……ごめんね、もう"言"っちゃった……」

そう、か。"言"っちゃったのかお前は。
俺の指を気持ちよさそうにしゃぶりながら、攻撃呪文の名を"言"っちゃいそうなのを我慢していたのか。
やられたぜ、エロ展は布石か。まさか薬に溺れたふりをしていたなんてな……なんて役者だ、こいつめ。
未だに俺からマウントポジションを取っている少女は、顔を紅潮させたまま笑っている。
これも、演技なのか。

「違う、よ……今、おくすりで変になってるのは本当。違うのは追いかけられてなんか無い事と、望んで飲んだ事。
 敵意を霞ませたくて、あなたの体を使わせてもらったけど……流石に大げさだったかな? でも、仕方ないよね。
 騙し討ちするなら徹底的に騙さないと駄目だもん……相手だってロワの書き手なんだから。あなたもそう思うでしょ?」

そうかよ、騙し討ちかよ……本当にやられた。
だが、なんでここまでしやがるんだ……何の、為に。

「だって腐ってもLS書き手だもん。えへへ、これくらいしないと……ね。それに目立ちたいし……。
 そうだ、最期に教えてあげる。私ね、"二人で一人"なの。私と真逆の女の子が、もう一人いるの」

……どういう事だ?

「私の中にはずっともうひとりの私がいる。それはね、私がLSロワで事象を逆転させたから。
 タバサはゲーム脳なんていう枠組みから外され、可憐で可愛そうな少女になったわ……。
 そして可愛そうなお人形さんだっただけの蒼星石は、タバサの心を抉る存在となった。
 そう、そうやって事象を逆転させた。だから"僕達は二人いる"というわけだよ、お兄さん」

彼女の突然の長台詞。それを聞いている最中にまず、俺は先に両耳を疑った。
最後の言葉。詳しく言えば「そう、そうやって」から。そこから、彼女の声が別の者のそれに変わっている。
次に俺は自分の両目をも疑った。マウントポジションを取っていたはずの少女は、いつの間にか姿を変えていた。
ショートボブの金髪、そして緑色のリボンはどこに行った? 桃色の服はどこへ行った?
今の彼女は蒼い服を着た少年のような姿と化している。頭にはリボンではなく、シルクハットが。
これを見たまま信じるならば――――彼女は今、タバサから蒼星石へと変化した!

「変化じゃない、"逆転"さ。あのね、LSにおけるタバサと蒼星石はまさに真逆なんだよ。
 危険人物から護られる存在へ逆転したタバサ。護られる人物から危険人物へ逆転した蒼星石。
 僕を形成するならこの二人は確かにベストだ。それに結構便利なんだよ、この体。
 タバサはマゾヒズム、蒼星石はサディズム……俗っぽく言えば受と攻を姿別で分担するから、こうやって色んなプレイが……」

蒼星石の姿をしながら、その身長はタバサとそう変わらない。ははっ、不思議な気分だ。
とまぁ……ぶっちゃけ今の俺は意識が遠のきそうなのを堪えるので必死な為、俺は話を聞けていなかった。
せいぜい視覚から入る直の情報を咀嚼していられる程度か。弱い、弱すぎるぞ俺。
とりあえず解ったのは、俺はこいつに殺されるんだろうってこと。
そして少しずつ薬の効果が薄れてきたのか、相手が呂律が回りだしていたこと。
……なんかプレイっていう言葉が聞こえてきたのも追加しておこう。

ふと、名前が気になったので力を振り絞って尋ねてみた。

「言霊の女教皇(ハイプリエステス・ロゴス)。トリップは◆wlyXYPQOyAだ……さて、もう良いかな。
 話を聞いてもらいたかったからわざと即死は免れさせたけど……そろそろ死んでもらおう。
 素面じゃあ乗らないからちょっと待っててね、用意する……動けないと思うけど、動いちゃやだよ?」

そう言うと、この女教皇とやらは……薬の入った小袋を口へと傾け、続いて水で流し込んだ。
袋は予め破られていたので手早い。満足したのか「ふふ……飲んでみるかい」とか訊いてくる。
こちとら腹が痛くて余計な事答える暇なんかねぇよ馬鹿が……!

「僕ね、LSロワに感謝してるんだ……皆と書けたおかげで、前より遥かに文章が上達したから……。
 まぁ代わりに、えっちぃ感じに調教されちゃったけどね……えへへ、エロ展なんて専門外だったのになぁ。
 今の僕は立派にやれてるかなぁ? 今、あのドS聖人達みたいになれてるかな? 調教は、効いてるかなぁ?」

相手はデイパックから刃物を取り出す。
そしてやっぱり、予想通り。俺の胸に一撃喰らわせてきやがった!
痛い、痛い痛い痛い痛い痛い! 死ぬ、もう死ぬ……!

くそっ、最初はエロ展入りのギャグ話だったはずなのに……まるっきり変わってやがる……!
シリアスに殺されるなんて思わなかった……完全に、完ッ全に油断したァ!
土屋なら逃げられただろうに……容姿に性格が追いつかなかった俺の負けか……!


       ◇       ◇       ◇


言霊の女教皇がこのバトルロワイアルに降り立った時の話をしよう。

彼女はごく普通にロワに呼ばれ、ごく普通に支給品を確認していた。
最初こそ、テンプレ登場話になって空気と化すのではないかと彼女は危惧していた。
だがその不安も支給品のおかげで一掃されてしまう。
結果、彼女はとんでもない存在と化す事となったのである。

彼女の支給品の中にあったそれは、LSで有名であるあの事件を発生させた魔具だった。
魔具。それは現実出典の刺身包丁……ではなく、LSロワ出典のあやしいおくすり「5-MeO-DIPT」。
しかも小さな袋に分けられ、大量に支給されている。袋の数は50はある。
恐る恐る、袋を一つ開いてそれを口にしてみた。効果の怖さは知っていたので、まずはほんの少しだけにする。
強烈な苦味も相まって、ほとんど飲めなかった。説明書曰く「一袋10g」だそうなので、2g分くらいか。
それでも水でどうにか流し込み効果を待つ。「量も少ないから、切れるの早いかなぁ」等と考えながら。

――――さて問題。彼女は何故そんな事をしたのだろう。
答えは至極簡単。つまりは、彼女は結局LS書き手の一人なのだ。


       ◇       ◇       ◇


「えへへ……あ、来たかな…………」

再びその身に訪れる衝動を感じながら、言霊の女教皇は笑う。
既にマウントポジションは解いている。相手の支給品だったらしいセーラー服も回収し、こうなるともう民家に用事は無い。
後は哀れな獲物を探すまでだ。

そして、もしもLS書き手に出会えたら尋ねてみよう。
"自分は他のLS書き手と肩を並べられる程、力をつけられただろうか?" と。
そして、もう一つ。

「ねぇ、僕とっ……僕とまた、リレーしてくれる……?」

と。


【1日目・黎明・群馬県】
【言霊の女教皇@LSロワ】
【状態】薬中、蒼星石状態
【装備】刺身包丁@現実
【道具】支給品一式、5-MeO-DIPT(49/50・1つ10g)、北高のセーラー服@アニ1
【思考】
基本思考:とりあえずマーダー。
0:えへへー……。
1:移動
2:LS書き手に会いたい。
【備考】
※外見は「タバサ(主人公の娘)@DQ5」と「蒼星石@Rozen Maiden」です。気分で使い分けられます。



【◆MjBTB/MO3I@ラノオルタ 死亡】

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言霊の女教皇 続・温泉少女/続・○○少女
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最終更新:2009年06月12日 21:56
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