続・温泉少女/続・○○少女

「ふぅ~。いいお湯だった」

何度目かも分からぬセリフと共に、少女はカラン、コロンと下駄を鳴らして歩いていた。
首にはバスタオル、身を包むのは温泉のロゴの入った浴衣。
ホクホクと未だ湯気を立てる体で、少女は街灯1つない山の中を呑気に歩く。

草津温泉は最初に目をつけただけあって最高だった。
薬師温泉は茅葺屋根の家々がいい雰囲気を出していた。
四万温泉は名滝がけっこう近くにあって凄かった。
尻焼温泉は川の中の天然風呂が開放感たっぷりだった。
川原湯温泉はいずれダムに沈むのだそうでどうしてもひぐらしを思い出してしまった。
万座温泉は標高が高くて星に手が届く気がした。

日本は山の国だ。火山の国だ。
どこでも掘れば温泉の湧くような土地だ。
群馬県だけに限っても、あちこちに名湯があるのだ。
全国温泉巡りを楽しむつもりだった少女は、思いの他時間を食ってしまったことに少し戸惑いを覚える。

「どうしたものですかのぉ……」

空はゆっくりとではあるが白み始めている。
群馬の名のある温泉はあらかた制覇したとはいえ、まだまだ物足りない。
名産品漁りを途中で諦めて数をこなそうと頑張った上でもコレだ。
下着のゲットを途中で諦めて、素早く脱ぎやすい浴衣でいいやーと妥協した上でもコレだ。
このままでは、未練を残したまま終わってしまう。
さてどうしたものか、と考えたところで……

「……にゃ? 地震?」

どこからともなく地響きが聞こえてきた。
それはやがて大きくなり、そして……

「……おや、こんなところに参加者か」
「あ、あのー、あなたは?」
「パピ♪ヨン♪ ……ではなく、【悲哀】ロキューダ♪
 運び屋稼業の『ボマー商会』の、『車掌』さん、さ♪」

伝説の「あの電車」のように、レールもない所を疾走して現れたのは。
先端に巨大なピエロじみた顔をつけた機関車と、それに引かれる列車。
そしてそこから顔を出して奇妙なポーズを取る、パピヨンマスクの怪人であった。



……少女を乗せて、列車は走る。
客は彼女1人きり。乗り賃は未だ確認すらしていなかった支給品1つ。
なんでもこの男、ロワもそっちのけで仲間と一緒に運び屋稼業をしているのだという。
全く何をしているんだと思わなくもないが、しかし他人のことをとやかく言えないことをすぐに思い出す。

そうして彼女が最初に望んだ行き先は、「まだ行ったことのない温泉地」。
けれども車掌が言ったのだ。

「お前、もう時間がないぞ」

要するにタイムオーバーである。
夜明けまであと少し、どこぞの温泉地にたどり着いたところで、ゆっくり浴衣を脱ぐヒマもない。
なれば、と改めて告げた行き先は……

「次のフィールドにも、温泉はありますかのぉ」
「知らん。まあどうせこのロワも日本人の企画だろうしな、日本人の知らない土地は出てこないんじゃないか。
 温泉くらい、きっとあるだろ」

支給品1つの代価として、次のフィールドへ。
どういう情報網なのか、それともそういう能力を持った仲間がいるのか。
列車は一路、群馬の南隣、埼玉県を目指す。恐ろしいスピードでまっすぐに南下する。
開け放った窓から吹き込む風が、温泉で火照った身体に心地いい。
……と、少女はなにやら虫の羽音のような音を聞きつける。
列車と平行して飛ぶ、飛行物体。
その上に、なんだか冴えない、しかし桃色の着物がやけに目に付く男が乗っている。

「やあ車掌さん。こっちです、こっち。さっきのお客さんが目指した『旅の扉』はこちらです」
「おう、分かっている。お前もさっさとクラウン号に乗れ」

……どうやら情報網でも能力でもなく、単に前に乗せた客がソコに辿り着いていただけ、ということだったらしい。
それはともかく、クラウン号の屋根の上にフラップターは着陸。
少しの間を置いて、桃色の和服の男は少女のいる車両へと入ってきた。

「こちらはお客さんですか。私、『三遊亭鏡』と申します。
 『笑点のピンク』はご存知ですかな? この姿もまさに『そのまんま』でありまして」
「はあ……」
「で、ロキューダさん。ベッキー、いや『全世界地雷原(ワールドイズマイン)』はどちらに?」
「……奴ならお前が外回りに出てる間に、用事があると言って降りたぞ。本州に上陸した途端にな。
 ラグーン号から何からそこに残して、吸血鬼の自力で空飛んでったぞ」
「ははぁ……なるほど」

車掌ロキューダが指差したデイパック。
それを一瞥して三遊亭鏡は、好々爺たる笑顔のまま、こう呟いた。

「彼女、 死 ぬ 気 ですか。
 まぁ我々としても止められませんわなあ」
「……え?」

温泉三昧の少女と、運び屋稼業の男たち。
そんなのんびりした空気にはそぐわぬ単語に、思わず少女は聞き返そうとしたが――

次の瞬間、幻影の大聖堂に、長足クラウン号が列車ごと突っ込んでいき。
全ては、光に包まれた。



【新フィールドへ】

ルルイエ異本@ギャルゲロワ2nd】
【状態】健康、浴衣姿。長足クラウン号に乗車中
【装備】浴衣、下駄
【道具】支給品一式、不明支給品0~2、チャイナ服(下着無し)
【思考】
基本思考:温泉巡りをする。(西か東か)
0:次のマップまでこのままクラウン号で~♪
1:次のマップにも温泉あるかなあ
2:ズガンされるならそれはそれで……
【備考】
※外見は幼い深優・グリーア@舞hime運命の系統樹(オッドアイ)です。
※何か蛸みたいなの呼べるかもしれませんし呼べないかもしれません。

【運び屋『ボマー商会』】
【恋哀】ロキューダ ◆6YD2p5BHYs @漫画ロワ
【状態】健康。長足クラウン号の車掌状態
【装備】ニアデスハピネスの核鉄@漫画ロワ、『ボマー商会』の旗@自作、長足クラウン号@漫画ロワ、
【道具】支給品一式、不明支給品1~4、ブラックラグーン号@LSロワ、
     爆熱ゴッドカレーパン(食べかけ)@二次スパ
【思考】
 基本:まともにロワの相手をせず、適当に楽しくやる。
 1:……これで『ボマー商会』もあと2人か。
 2:ま、仕事中の安全は俺が『ニアデスハピネス』で守るか。
[備考]:
 多少はマジメなパピヨンです。

【三遊亭鏡 ◆G/G2J7hV9Y氏@らきロワ】
【状態】健康。長足クラウン号に乗車中
【装備】『ボマー商会』の襷@自作、
【道具】支給品一式、フラップター@らきロワ、不明支給品1~3
【思考】
 基本:まともにロワの相手をせず、適当に楽しくやる。
 1:えー、今度こそここらで一席……。
 2:商会内での私の立ち位置はまるで山田君……雑用係ですな。ま、それもいいでしょう。
[備考]:
 笑点のピンクです。

[ボマー商会 共通思考]
 1:真面目にロワの相手をしない。マーダーも対主催もしない。仇討ちとかも考えない。
 2:とりあえずは『運び屋』として他の参加者の長距離移動を支援しつつ、テキトーに過ごす。
 3:客の運搬中はその安全を全力で保障。ただ、着いた先で何が起きてもそれは知らない。
 4:戦闘はできるだけ避ける。客がルール破ったらそのときだけ本気出す。
 5:運賃はどこに行く場合でも支給品1個。複数セット支給の品物は「支給品枠1つ分」で。内容は不問。
 6:余ってる支給品の交換にも随時応じます。これも「支給品枠1つ分」同士の交換で。

[備考]:
 全世界地雷原(ワールド・イズ・マイン)◆sUD0pkyYlo @LSロワは別行動を取ったようです
 共通支給品以外のもの、つまりラグーン号や不明支給品は全て仲間に渡していったようです。




――少女は彷徨う。
薬に酩酊した頭で、少女は彷徨う。
時折、ぼやけたように姿が入れ替わる。
DQ5のタバサ(主人公の娘・金髪)から、ローゼンメイデンの蒼星石へ。蒼星石から、タバサへ。
ふらつきながら、混線する画面のように姿を変えながら、5-MeO-DIPTを摂取する。
もう既にその量は適量を超えて害が出始めるレベルだ。
それでも彼女はクスリを止めない。
ただ、満面に幸せそうな笑みを浮かべながら、小さく呟いている。

「ねぇ、僕とっ……僕とまた、リレーしてくれる……?」

「お断りだ」

それは、唐突に。
背後からかけられた声に、ふらつく少女はゆっくりと振り返る。
そこにいたのは、金髪赤眼の少女。
ただ1つ手に持っていたのは、『ボマー商会』と書かれた自作らしきのぼり。
彷徨うばかりだった少女の目が、驚きに見開かれる。
そこに描かれた名前は、つまり。今回この場で呼ばれるべき名前ではないけれども。

「きみは、LSの、最多書き手の……」
「『全世界地雷原(ワールド・イズ・マイン)』。
 ……まあ、書き手が何を糧に執筆するかは、そいつの勝手だけどな。
 そのルールをコッチにまで押し付けるな、ってことだ」
「あ……」

お断りだ。彼女は確かにそう言った。
そして今の発言。
それはつまり……LSで、続きを書いて、くれない?
クスリに酔った少女の視界が、酔いとは違うモノでグニャリと曲がる。世界が回転する。思わず声が漏れる。

「あ、ああ、ああああ、あああああああ……」
「まーしかし、こーゆーコト言うと、次の展開は大体読めるんだよなー。どう見てもヤンデレ入ってるし。
 あーもー、面倒くせーから、さっさと来な。
 言霊の女教皇――いや、『出戻りヘビィ・D!』。あたしがわざわざココに来たのは、そのためさ」
「ああ……あああああ!」

金髪の少女が、どこか投げやりな様子でニヤリと笑う。
2つの姿を持つ少女は、そして――絶叫を上げたまま、駆け出した。
包丁を腰溜めに構えて、ただ、駆け出した。


【1日目・早朝・群馬県】
【言霊の女教皇@LSロワ】
【状態】薬中、蒼星石状態
【装備】刺身包丁@現実
【道具】支給品一式、5-MeO-DIPT(30/50・1つ10g)、北高のセーラー服@アニ1
【思考】
基本思考:とりあえずマーダー。
0:殺す! 『全世界地雷原』は殺す!
1:他のLS書き手にも会いたい。
【備考】
※外見は「タバサ(主人公の娘)@DQ5」と「蒼星石@Rozen Maiden」です。気分で使い分けられます。
※『出戻りヘビィD!』という名も持っています。

【全世界地雷原(ワールド・イズ・マイン)◆sUD0pkyYlo @LSロワ】
【状態】健康
【装備】『ボマー商会』の幟@自作
【道具】支給品一式
【思考】
基本:まともにロワの相手をせず、適当に楽しくやってたかったんだけど……な?
1:言霊の女教皇の相手をする。そして……?
[備考]:
 吸血鬼化したベッキー(レベッカ宮本)です。


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そうだ、温泉に行こう ルルイエ異本 熱砂のカナブン
絶対運命交差点 【恋哀】ロキューダ 一瞬のしろがねサーカス
トラブルなく放送越えたっていいと思うんだ 三遊亭鏡 一瞬のしろがねサーカス
群馬de珍事 言霊の女教皇 Ragnarok LS
絶対運命交差点 全世界地雷原(ワールド・イズ・マイン) Ragnarok LS

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最終更新:2009年07月16日 17:21
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