妙な空間に一人、ラビットクラッシャーは佇む。
早くに『光の先には？』を潜ってしまったため、
現在新フィールドへ進めないまま、その中間地点で留まらざるを得ない状態だったりする。
そのまま時間だけが過ぎ、当初襲った混乱も次第に落ち着いてくる。
「一体なんだってんだ。あいつ、俺を利用しやがったな」
ラビットクラッシャーは一人愚痴る。誰も聞く者などいないと思い、大音量垂れ流し状態だ。
「大方作った旅の扉が正常に動作するかの生贄って所だろうが……ま、サービスとしては悪くないな」
愚痴りながらもラビクラは思い直すことにする。
無事に次のフィールドに抜けられることはラビクラにとって僥倖だった。
もとよりロワの面白さより勝利を優先する方針な以上、今の状況は非常にありがたい。
「しかしあいつ、俺のことを子供扱いしやがって……
いや、当たり前といったらそうか。あの女、間違いなくエースクラスの書き手だからな。
新興ロワ出身の俺とは格が違うか」
ラビットクラッシャーはまだ7作。特殊能力があるといっても大したことはできない。
格という意味でははるかに差があるのはしょうがない。
人がいないことをいいことにひたすら愚痴をこぼしている。
そうしながらも今のうちにできることはした方がいいだろうと考え、食糧を食べる。
さらに食べながらも
ラビットクラッシャーは思考する。
これからの行動指針――
武器の調達――
睡眠をとるタイミングまで――
しかし……
「なんだってあの女のことが浮かんじまうんだ！？」
ラビクラの脳裏にはいつの間にか
ギャルゲ写本ことゆーちゃんの姿を浮かび、離れない。
「参った……これではろくに行動指針も決められない」
ラビットクラッシャーは悩む。
悩んでいる間にも今度は軽く宙を舞ったときの少女の姿が浮かぶ。
ラビクラ自身は気づいていないが、ゆーちゃんの姿、その美しさに魅了されていた。
「うーがー！ 糞ったれ！ どうせいって言うんだ！ なんか変な術にでも掛っちまったか！」
とりあえず暴れてみるが、当然のことながら何の解決にもならない。
「……くそっ！ こうなったらもう一度あの女に合うしかない！ そうすれば原因がわかるはずだ！」
結局そういう結論になりラビクラは待つことにした。
その間もゆーちゃんの姿がまったくもって脳裏から離れなかったが。
――さて、そろそろ種明かし。
なぜラビットクラッシャーがギャルゲ写本ことゆーちゃんに惚れてしまったのか。
ひとつは姿がヤムチャなことにある。彼の原作での初めの目的は"彼女を作ること"である。
つまり、ラビクラの女性に対する興味が、はじめからかなり高い状態になってしまっていた。
二つ目、彼が帝というキャラクターを書いていることが挙げられる。
竹取物語の帝はかぐや姫に対し一途な愛を持って接していた。
帝はかぐや姫を異世界人と知ってなおかぐや姫を愛し（結婚自体は諦めたが）、
かぐや姫が月に帰る時には翁の意を受けて天人と戦う決意をしたほどだ。
一途な愛に生きる、ラビクラはそんなキャラ性を知らぬまま取り込んでしまった。
そしてもう一つ原因がある。それは彼が鈴木万吉が恋愛フラグを捨てた後の話を書いたことが挙げられる。
彼が捨て去った恋愛フラグへの渇望。
その鈴木万吉が捨てた恋愛フラグへの渇望が、そのままラビクラに刺さってしまったのだ。
もちろんラビクラはそのことにも気づいてはいないが。
気づかないままの恋愛フラグへの渇望。
それがこのロワで初めてあった女性へ惚れる、という感情の変化をもたらした。
以上の結果、ラビクラがゆーちゃんに一目惚れしてしまうという
ある意味分不相応な事態になってしまった。
しかも重ねて言うが、ラビクラ自身はその気持ちに全く気付いていない。
「ちくしょー！ 早くしろー！」
ラビクラはうろうろしながら次のフィールドに行くのをひたすら待つ。
待ちながら思うこと。それは次のフィールドでゆーちゃんに会った時どう問い詰めようかということだけだった。
ラビクラはゆーちゃんが死ぬなんてまったく思っていない。
ゆーちゃんが次のフィールドに来ることを信じて疑っていない。
そのことにも本人はまったくもって気づいていなかった。
【１日目 早朝】
【ラビットクラッシャー＠オールロワ】
【状態】疲労（小）打撲（微小）イライラ
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品０～３
【思考】
１：物語の完成度より勝利を選ぶ
２：ウサギは刈る
３：仲間を“無理矢理でも”集めて
教会の悪魔に仕返しする
４：なんだこの気持ちは？！ イライラする！？
【備考】
※外見はヤムチャ（初期ドラゴンボール）です。
※吉業ひとみの忘却の力が使えます。技や記憶を忘れさせられますが、体力が大幅に減るので連発はできません。命と引き替えにも使えます。
【現在位置：新フィールドへ】
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最終更新：2009年03月31日 18:11
