Gate of Royale ALTERNATIVE

「やれやれ。これは困ったことになったな」

埼玉県教会(の悪魔)跡地を前にして、ギャルゲ写本ことゆーちゃんは大きく溜息をつく。
突如心に響いた放送がパヤロワ断章の力によるものだと判断した彼女は、勿論それが無差別に全参加者へと届いていることを理解していた。
対主催やマーダーといった括りに関係なくだ。
無論、その中に教会へと先行し、何らかの仕掛けで集まってきた人間達を一掃しようとする者がいるかもしれないことは想像済みだった。
だからこそやや距離はあったものの来ヶ谷の速度を活かし急行したのだが……。

「まさか旅の扉を転移させてしまうとは」

若干遅れをとり、Prince of Killerに先を越されてしまったのである。
ただ、勘違いしないでほしい。
何もゆーちゃんは自分が旅の扉を通れなかったことが悔しいのではない。
そもそも出遅れたとはいえ彼女がここについた時にはまだ教会は健在だったのだ。
単に旅の扉を通過したいだけならとっとと先着者の後ろに回って気絶でもさせている。
そうしなかったのはゆーちゃんの目的が『書き手ロワの完遂』だからだ。
その一手としては否応なしに物語を加速させる大量死亡話は悪くはない。
Princeが爆弾でも設置してくれれば大助かりだと思い気配を立ち、木陰から様子を見ていたのである。
が、結果は上記の通り。
旅の扉は姿を消し、後には大人数入り乱れての暗い未来想像図だけが残された。

「なるほど、単体としてみれば面白い手ではある」

繰り返し言うが、ゆーちゃんからすればどれだけの惨劇が起きようがかまわなかった。
あるはずのない旅の扉を巡ってバッカーノが起きようが知ったことではない。
ないのだが。

「ただ、序盤で打つには悪手が過ぎる」

あの放送を聴いた多くの参加者がこれからここに集まってくる。
埼玉に隣接している県だけに絞ってもかなりの数になるはずだ。
それだけの人数が一同に会したらどうなる?
全員が対主催なら問題はない。
いや、それならそれで前代未聞だし、色々と厄介だがここでは置いておく。
まず間違いなくマーダーも数人やってくる。
するとどうなるか?
バトルだ。
バトルが発生する。
しかも逃げ場のない戦いだ。
旅の扉という終着点へと到達できなければ生き残れないという状況だ。
普段なら逃げを選ぶ人間も死に物狂いで戦うだろう。
扇動やステルスではなく直接的な形で殺し合いにのったものは危機として力を振るう。
正義の味方かぶれの対主催は必死に立ち向かい、弱者を間引こうとする手段を選ばない危険人物達が暗躍する。


どう考えてもクライマックスだ。
終盤ならともかく序盤でのクライマックスの連打は諸刃の剣だ。
確かに物語としては盛り上がるが、フラグを盛大に消費し、貴重なマーダーや一般人もぽんぽん死んでいく。
切れるカードを次々と文字通り出血大サービス。
マラソンの1キロメートル辺りから全力疾走するようなものだ。
当然息切れしてしまい、中盤グダグダ、終盤ふらふらである。
そんな様子を見ているほうもしんどい。
まだ旅の扉があったのなら良かった。
唯一の逃げ道ともなり、時間切れを良しとしないマーダーからしても切り上げる理由になる。
程ほどにフラグや死者を積み重ねた後、生き残ったものが飛び込んでくれれば程よく話は進んだ。
しかし来るもの全ての目当てであるその扉が消えた以上、燃え尽きるところまでいくしかない。
一つのロワのトップとしてはっきり言ってごめんこうむる。

「仕方ない。ここはおねーさんが一肌脱ぐとしよう」

40を超える作品は伊達ではない。
ギャルゲ写本にはいかな事態にも対応できる力がある。
さあ、刮目せよ、ギャルゲ写本の絶技を!

「『光の先には?』 次のエリアだ!」

重低音が響き、大地が割れる。
その中から少しずつ姿を現すは鋼の牙ならぬ一軒の大聖堂。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
まさにそんな感じの効果音が似合う光景だった。

「なああにいいいいいいいい!?」

だからまあ、運がいいのか悪いのかその場に居合わせたラビットクラッシャーが驚くのも無理はない。
教会の悪魔に仕返しをする為に仲間を集めに教会から随分離れたところで放送を聞き腹立ちながらも引き返したところにこの展開だ。
少し目を離していたら教会が消え大聖堂が現れました。
超展開もざらにあるオールロワの書き手だが、目の前で実演されると流石にびびるみたいだ。

「ほう? 君は……」
「あ、俺はラビットクラッシャーつって、本当の対主催を目指してて……」
「ふむ」

言われてもいないのにぺらぺらとしゃべりだすラビットクラッシャー。
呆然としていた上に、ゆーちゃんが纏う王者の風にあてられたが故か。
どうせ建てたのだからと聖堂へと入っていくゆーちゃんに招かれ、話が終わるころには教壇の前に行き着いていた。

「なるほど、“本当の対主催”か。惜しい人物ほど記憶を失くすのは世の常らしいな」

とうのゆーちゃんはまさにその教壇に腰掛けていた。
罰当たりなことこの上なく、教会の悪魔の言に思うところのあるようかの様子も気になったが、それ以上にラビクラからすれば問題なのはその姿勢。
長いとは決して言えないスカートに包まれた足を組んだりしているものだから非常に目のやり場に困る。

「ん、どうした? 私に仲間になって欲しいのだろ? いけない子だな。人にものを頼むときは目を合わせないと駄目だぞ?」
「うっせえええ!」
「純情だね、君は。安心したまえ。前を向いてもむっちりとした太ももくらいしか見えまい。それに……」

とん、と軽く宙を舞いラビクラの背後に降り立つゆーちゃん。
曲芸じみたその動きと為した少女の美しさに見とれてしまい隙だらけなラビクラの背にほのかに暖かい手が添えられて、

「サービスなのはここからだ」

思いっきり強く押した。

「うおっ!?」

踏ん張りが足りず教壇押し倒しつつ突っ込むラビクラ。

「なにすんだ、てめっ――……!?」

強く身体を打ち付けてしまった彼の文句の声がゆーちゃんに届くことはなかった。
何故なら教壇の下に隠されていた扉が勝手に開き、ラビクラを飲み込みこのエリアから先へと飛ばしてしまったのから。





【1日目 早朝】
【ラビットクラッシャー@オールロワ】
【状態】疲労(中)打撲(微小)混乱中
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】
1:物語の完成度より勝利を選ぶ
2:ウサギは刈る
3:仲間を“無理矢理でも”集めて教会の悪魔に仕返しする
4:何が起こったんだ!?
【備考】
※外見はヤムチャ(初期ドラゴンボール)です。
※吉業ひとみの忘却の力が使えます。技や記憶を忘れさせられますが、体力が大幅に減るので連発はできません。命と引き替えにも使えます。


【現在位置:新フィールドへ】



「これで君は放送越えだ。なに、礼はいらないよ、青年」

一仕事終えたことに満足し笑みを浮かべるゆーちゃん。
せっかく会えた話の通じる人間をすぐに手放すのは惜しかったが仕方がない。
異能『光の先には?』。
乱発はきかないが一種の祭壇を構築し空間転移を可能にするこの術式は、本来参加者をランダムでどこかの施設に送るもの。
ランダム性を廃し、旅の扉代わりに使用するには既成事実が必要だったのだ。
まあ、旅の扉をくぐった先はどこにでるかわからないという意味では、ランダムのままではあるが。

「仮にも旅の扉があった場所だ。霊脈に介入すればこと足りる。聖堂と教会、旅の扉と抜け穴の扉。類似性による偶像崇拝の原理もある」

とはいえ、念には念を入れておくかと剣を取り出し、指を這わせ僅かに傷つける。
ぷつり。
零れ落ちた血の雫で書かれるは、一繋がりの文字。

“我が血の赤をもって刻む。第一回放送で死者が読み上げられるまで、『光の先には?』による転移先を次のフィールドに限定すると”

「血による契約や刻印は魔術の基本にして極意でもあるからな」

ぺろりとほのかに残る傷痕を舐め、ゆーちゃんは聖堂の外に出る。
と、不思議なことに教会の輪郭がぼやけだす。

「さて、サービスタイムは終わりだ。この聖堂はクリス君と唯湖の出会いの地でもある。Piovaゲージがたまらなければ見えなくともなんらおかしくない」

術者であるゆーちゃんが場を離れたことにより幻影へと帰る聖堂。
見えないということは、分からないこと。たとえ位置的にはあっていても、見えてない者が中に入ることはできない。
Piovaゲージ、ようは欝ゲージが埼玉に満ちた時まで一時の眠りについたのだ。
そしてそれこそが自身ではなくラビクラを以って大聖堂が旅の扉代わりを果たすと証明した理由。

「事態を収拾する目途を立てたからといって放り出す気はないさ。せいぜいこれから起きる宴が完遂への礎になるよう動かせてもらう」

つまらなそうに言葉を発し、ゆーちゃんは森天を見上げた。




かくして監督と演出が挿げ替えられた。
Princeが引き金を引いた悪魔の舞台ははたしてどのような公演をなすのだろうか?




【1日目 早朝 教会の悪魔跡地(幻影の大聖堂)付近】
【ギャルゲ写本@ギャルゲロワ2nd】
【状態】健康
【装備】雪走@○ロワ
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
1:この書き手ロワを完遂(優勝、脱出はとわない)
2:ただし全力で恋愛フラグは応援
3:埼玉で起きるだろう戦いに上記行動方針1・2が叶うようてこ入れ
【備考】
※last momentは数十秒の間、一人の行動を止めることができます
※光の先には? 幻影の大聖堂を出現させどこかの施設にワープを可能にする。本来転移先は扉に入るごとに変化。
 ギャルゲ写本が聖堂外にいるときは、個人又はその地域が欝な雰囲気でない限り彼女以外見ることも入ることもできない。
※ 何故かGR2にでてきた流派の剣術、拳法ができます
※ 姿は来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!です


※幻影の大聖堂の抜け穴は主催陣による第一回放送までは旅の扉の代わりを果たします

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覚悟のススメ ギャルゲ写本 トラブルなく放送越えたっていいと思うんだ
いしもちしせつなさいご ラビットクラッシャー とりあえず恋愛フラグをつくってみた

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最終更新:2009年05月27日 09:46
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