「助かったぜ…mn氏。」
フラッグファイターF.Eは安堵の息を漏らした。
テイルズロワのやばさは風の噂で、菜梨の強さは身をもって知っていたからだ。
仮にもグラハム・エーカーの姿をした自分が逃げてばかりというのもかっこはつかないが、仕方ない。
相手が悪すぎたのだ。そもそも敵がテイルズロワの人間でなくても5対2はきつすぎる。
だから撤退したことは間違っていなかったのだと、方針も脱出という逃げの一手に置いている男は己に言い聞かせ振り返る。
自分に続いて旅の扉を潜ったはずのmn氏と次のフィールドにつくまでの間を自ロワ談義で盛り上がろうとして。
――彼は見た。見てしまった
「問い4。旅の扉を通ってしまえば次の放送までは大丈夫。……誰がそう決めた?」
錆臭い液体を滴らせ赤という赤に染め上げられた同胞の書き手を。
人の形は辛うじて取っているが皮膚は黒く炭化し全身が糜爛になり白い骨まではみ出してしまった惨殺体を。
一種のアートを思わせるまでに蹂躙されつくした死体は、異形の黒と白の百合の花にさえ見えた。
「あ、ああ、ああああっ!! そんな、何故!?」
仲間の酷すぎる最期を直視できずに目を逸らし、風神が唸る。
修造をはじめ熱い展開、熱い人間を書いてきたmn氏の最後が黒こげとは、たちの悪い冗談だ。
でもこれは現実。
さっきまで助け合ってきた同郷の書き手は死んでいて、手を下したと思われる五人の書き手もいつの間にか後ろにいる。
「簡単な話だ。何者もラスボスからは逃げられない。べ、別にあんたのことが気になってついてきたわけじゃないんだからね!」
先頭に立つは菜梨。被のフォルスによって風神達の行き先へと割り込みをかけた張本人。
風神達にとっては不幸にも書き手ロワ3第139話『とりあえず恋愛フラグを作ってみた』という旅の扉内部の話が既にあった為、
菜梨達は次のフィールド先に先回りするのではなく、新フィールドへの中間地点への先回りとして成り立ってしまったのだ。
「これで全員集結か! 今からでも遅くはない! 新たな敵を見つけるぞ! ……この言葉が陽動だとも知らずに油断したお前達が悪い」
血に濡れたダブルセイバーを掲げてこともなげに言う
名無し。
mn氏に襲い掛かったのは彼の仕業だ。
もっとも、実際はあくまでも不意打ちなため胸を一度貫いただけであり、風神が見ている光景は鬱のフォルスによるまやかしなのだが。
「とはいえ、油断が無くとも君達が僕らに勝てる確率は0だったみたいだけどね。
君が気付かないうちにお仲間さんを一瞬でズタボロにできるほど僕達は強いのだから! ハハハ、ハハ、ハハハハハハ!!!!」
そのまやかしさえ自分達の実力を更に大きく見せることに利用する
ナナンシー。
自身の話術による嘘を真に受け、悔しそうに風神が顔を歪めるのが堪らなく面白い。
実際戦えば同じ風使い同士、そう一方的な展開にはならないというのに。
「熱いのが……苦しいよ……どうして? 俺は……俺は修造なのに……っ、どうしてっ!!
いやだっっ!! 助けてくれ!! なあ!! どうして俺が!! ラスカルっっ!! 風神!! ああああああああっ!!!!」
突然の呪詛を吐き出すのは七市。
熱い、痛いと。まるでmn氏が負った傷が己が身に降りかかったできごとのように喚き散らす。
いや、まるで、ではない。月のフォルスでmn氏と精神を交換させられた今、七市の身体をしてはいるが、彼は紛れもなくmn氏だった。
とてもそうには見えないが、一突きされただけであるmn氏は、未だに生きていたのだ。
そしてそれは逆説的に七市が今はmn氏の身体に宿っているということ。
名無しに言われるがままにフォルスを発動させはしたが、七市には鬱グロ耐性は皆無であり、
とてもじゃないがグロくコーディネートされたmn氏の身体は耐えられるものではなかった。
「た……す、け、て」
ずるりずるりと這いずり、近くにいた風神へと両の腕を伸ばす七市inmn氏。
最早男女の別も分からない焼け爛れた顔が自分を見下ろし、炭と化した両手を伸ばしくる様に堪らず風神は悲鳴を上げる。
「ぅああああぁぁああぁぁ!!」
それでも、縋ってくるのだ。
死にたくないと、こんなのはあんまりだと。
幻と現実をもはや区別できなくなった七市は必死の思いで神風へと食い下がり、
「っがぁ!あっあああああぁ!!」
同じくグロの恐怖に負けた風神によって拒まれた。
何度も、何度も、何度も。
繰り出される拳と共に。
叩かれる痛みに心ごと打ちのめされて。
七市は――途中で精神を入れ替え戻されたmn氏は、
「「ィぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!」」
慟哭、した。
「……あ?」
何度目かの拳を振り上げた拍子に、生暖かいものが頬に跳ねた。
(私……)
我に返り、喉を引き攣らせた風神が見下ろすのはかっての仲間の成れの果て。
悪趣味な百合の花は愚かな男の殴打の雨により花弁を散らし、赤白黒の入り乱れたショッキングピンクのクリームと化していた。
「う、げええぇぇぇ」
こみ上げてくる嘔吐感に負け、風神は自分のやったことだというのにみっともなくも尻餅をつき、吐き出す。
(私は……)
地面を向いた際に見てしまったのは血塗れの自分の両腕。
強く握りすぎた為両の爪は深く掌に食い込み、加減もせず骨を殴り倒した十の指は反動でばきばきに砕けていた。
仲間だったはずなのに。あれだけの怪我では助けてくれと言うのは当然のことなのに。
(私は何をした……?)
助けることもできずに、それどころか助けようともせず友に止めを刺してしまった。
恐怖で錯乱しての行動だったにせよここまでするのは明らかに異常すぎる。
そんな幻聴が風神を苛んでいく。
(私は? わたし、は。私、はああああああああああああ!)
「殺人者、だよ。ほら、君の仲間も君も責めてる」
神風の心を読んだかのようにこの場にいる最後の一人、
なな4がある一点を指し、答える。
なな4の動きに釣られ指先を追った先に『あった』のは風神の罪の証たるぐちゃぐちゃなミンチになったmn氏の死体。
否。
脳症を垂れ流しにした頭を頂上に戴きスライムのように蠢いて今にも風神へと襲い掛からんとしている不気味な何かだった。
「OOOKOOOMEEEEEEEE、TAAAAAAAAAABEEEEEEEEEEROOOOOOOOOOOOO!!」
「う あ あ あ あ あ あ
あ あ あ あ あ あ」
mn氏だったものが風神へとのしかかる。
神風はただ生き残りたい意思で反動を無視してリジェクトダイアルを打ち続けた。
(はやく、早くこの悪夢よ終わってくれ! 新フィールドへと繋がってくれ!)
何度も何度もそう念じながら……。
「…………」
心を壊された七市の前で、今度は自分以外を主演とした喜劇が繰り広げられていた。
無傷というわけではないが、黒こげにもなってなければ、ミンチにもなっておらず、五体満足な者達が殴り合っているだけの現実。
名無しの幻に端を発し、なな4によるてこ入れのおかげで完成した舞台。
「ヒトの心の真実というのはやはり醜いものだね」
ナナンシーは嘲笑いつつ、名無しの作った野菜炒めを食していた。
酒の肴には二人のふらふらな人間が殴りあう最高のショー。
これで飯がまずいわけが無い。
「カースロット、上手く発動したみたいだね。まあ、あれだけ殴られたら憎みたくもなるさ」
厳密には脱出派であり、対主催とは言いがたかった二人だが、同じロワ所属の書き手二人を仲たがいさせれたことになな4もまた満足していた。
くるくるとローレライの鍵を弄びながらやっぱり野菜炒めに夢中である。
「ほう、後少しすればフードが回復するな。そうなったら今度はご飯でもたくか」
ちなみに野菜炒めの材料の野菜だが、名無しに支給されてた野菜セット――というわけではない。
その付随効果として野菜武器の持ち主は一定時間ごとに食材をゲットできるのである。
尚、原作通りゲットできる食材は野菜だけではなく肉やご飯といった全ての代わりにできる万能食材だったりする。
「通常、食事と言えば前菜だけでなくワインやらメインディッシュやらデザートやらが付物であろう?
だから早く肉ちょうだい、肉! 野菜きらいいいー!」
だから野菜ばっかりの食卓に文句たらたらな菜梨の反応も間違ってはいない。
頬を膨らませてフランヴェルジュの柄でがんがん地面を叩きつけている様は駄々っ子みたいで可愛くないこともないのだが……待って欲しい。
幻覚とはいえあんな光景を見せられたばっかなのに肉を頼むなんてやっぱり彼も普通の神経ではない。
そんな誰しもが普通ではない、皆して狂っている魔人の集団――それが
テイルズロワ2nd勢。
かって
書き手ロワ2ndで猛威を振るった者達の後継たる彼らは、果たしてこの先どんな悲劇を起こしていくのだろうか?
彼らの行く先を知るものは、まだ、誰も居なかった……。
【現在位置・新フィールドへの中間地点】
【フラッグファイターF.E@
ニコロワβ】
【状態】腹部に打撲、右脚に火傷、リジェクトダイアルの反動、錯乱
【装備】排撃貝@〇ロワ
【所持品】DMカード(強制脱出装置)(使用不可)、不明支給品0~1
【思考】
基本思考:ロワから脱出する
1:新フィールドに、はやく!
2:他の
ニコβの書き手達を探したい
3:6/氏はゲームに乗っているのだろうか……
※決意を6/氏と勘違いしています
※mn氏と支給品交換をしました。
【
mn氏は本当に熱いのか?@ニコロワβ】
【状態】カースロット発動中、ダメージ大、胸に刺し傷、全身打撲
【装備】ラスカル@らきロワ、ねこねここねこ@テイルズロワ2nd
【持ち物】支給品一式、Xbox360@ニコロワ 、DMカード(聖なるバリア・ミラーフォース)(使用不可)
【思考】
1:OOOKOOOMEEEEEEEE、TAAAAAAAAAABEEEEEEEEEEROOOOOOOOOOOOO!
【備考】
※外見は星井美希@THE IDOL M@STER、着ている服は松岡修造@現実のものです。
※風神と支給品交換をしました。
【なな4@テイルズロワ2nd】
【状態】健康
【装備】ローレライの鍵@テイルズロワ2nd、聖剣ロストセレスティ@テイルズロワ2nd
【持ち物】支給品一式
【思考】
1:『ノルン』のように、対主催を落として欝展開を作る。
2:今は食事を楽しもう
3:4人と協力する。
【備考】
※外見はロイド・アーヴィング@TOS、人格はシンク@TOAです。
※カースロット:対象の体の何処かに紋章を刻む事で発動する呪い。
対象が誰かに憎しみを抱いた時、その感情を爆発的に増幅させる。
【菜梨@テイルズロワ2nd】
【状態】健康
【所持品】フランヴェルジュ@テイルズ2nd 不明支給品0~2
【思考】
基本思考:優勝し、萌えキャラじゃない天上王になる。
1:肉も欲しい!
2:4人と協力する。
※外見はミクトラン@TODです。SSの影響で方向音痴+萌えキャラになっています。
※特殊能力:被のフォルス
一定範囲内の相手が何かしらの行動を起こす時、その行動先に瞬間移動する。
多少の誤差はあるが、だいたい相手の行き先を塞ぐ形で移動する。
【七市@テイルズ2nd】
【状態】精神的ダメージ超大
【所持品】さつまいも@テイルズロワ2nd、ねぎ@テイルズロワ2nd、とうもろこし@テイルズロワ2nd
【思考】
1.名無しの鬱グロ展開を成就させたい?
2.……。
3.4人と協力する。
※外見はTORのジルバ・マディガンです。
※特殊能力:月のフォルス
他人と自分の精神を入れ替えることが出来る。
ただし七市には鬱グロ耐性がないため現状では舌噛み切りとか思い切ったことは出来ないと推測される。
【名無し@テイルズ2nd】
【状態】右眼損失
【所持品】ダブルセイバー@テイルズロワ1st、不明支給品1~2
【思考】
1.鬱とグロを作り上げる。
2.七市を利用し更なる鬱グロを周囲に広める。
3.鬱とグロの為なら、残虐描写(殺害)は躊躇わない。
4.調理の腕を振るう
5.4人と協力する。
※外見はTODのスタン・エルロン(右眼損失)です。
※特殊能力:鬱のフォルス
自分から一定範囲内の景色、描写をグロい物に変える。
また、傷口などもグロさが数倍に見える様になる。
名無しに近付く程、グロ描写は悪化していく。
【ナナンシー@テイルズロワ2nd】
[状態]:健康
[装備]:魔杖ケイオスハート@テイルズロワ
[持物]:デイパック、支給品一式、クレーメルケイジ@テイルズロワ2nd、不明支給品0~1
[方針/行動]
基本方針:ゲームに乗らないおバカさん達で遊ぶ。
1:今は食事を楽しもう
2:4人と協力する。
※姿はキール・ツァイベル@TOE、人格はサレ@TORです。
※キール、サレの話術及び晶霊術、嵐のフォルスが使用出来ます。
※嵐のフォルス:風を自在に操る程度の能力。攻撃に使ってよし、飛んでみてもよし。
※魔杖ケイオスハート:所謂呪いの杖。魔力の類を増幅する効果がある。
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最終更新:2009年08月27日 21:49