◆uiAEn7XS/.。彼の風貌は、木原マサキそのものだった。
そして今回も、別にロボットを呼べるとか因果律を調整できるなどといった、そんな特殊能力はない。
そう、特別な力を持たない普通の少年――条件としては木原マサキと同じ。
しかし外見や通り名が
『冥王』だとしても、中身まで同じというわけではない。
首輪を解析できるだけの技術もなければ、あの冷静・冷酷さ、優れた判断力も持ち合わせていない。
マサキのように生還・一人勝ちできる自信はない。幸か不幸か、彼の人格は常識を逸脱してはいなかった。
「どうしよう……どうすればいいんだ」
頭を抱え、これからの身の振り方を考える。その姿は、マサキというよりは秋津マサトに近い。
そんな彼が、開始後間もなく遭遇した最初の参加者。それは◆KX4nhL0NJs
『邪神』。
今回は東方腐敗の姿ではない、見た目は普通の女子高生……いや、小学生にも見えるか?
そう……彼女はミオ・サスガの姿をしていた。
「いやー、よかった。同じロワ出身の書き手に、こうも早く会えるなんて」
スパロワの終盤を共に支えてきた仲間と出会えたことは、『冥王』の精神を安堵に導いた。
「あなたと会えて光栄です。最終回、感動しました!」
『邪神』は、目を輝かせて興奮気味に『冥王』に語りかけてくる。
その丁寧な物腰とミオの姿のギャップに若干の萌えを感じつつも気圧され、『冥王』は顔を赤くしつつ謙遜した。
「そ、そんなことないさ。あれは皆が繋いできたリレーの結果で……」
「でも、あのラストを書けたのは貴方しかいなかったと思います!
それに、イデの発動にすら負けなかった貴方の不屈の闘志は、私達に勇気を与えてくれました!」
最終回のイデ発動……それに加えて、胃炎にもなったんだっけ。『冥王』は苦笑する。
あれから早半年……今となっては全てが懐かしい。
「行きましょう。貴方ほどの方と一緒なら生還も夢じゃない……こんなゲームだって破壊できる!」
「!! 君は……」
『邪神』の目に灯る光は、強い意志に満ち溢れていた。迷う今の自分とは正反対に。
「け、けど俺は何の特殊能力も持ち合わせてない普通の人間だぞ?
俺なんかじゃ足手まといにしかならないんじゃ……」
「何を弱気になってるんです!貴方の強い不屈の心は、私達の希望となりえます!
スパロワだってそうだったじゃないですか!諦めなければ道は拓けるんです!」
うじうじと悩む自分を叱咤激励する姿、まるでスパロワにおけるミオそのものじゃないか。
そうだ、彼女の存在があったからこそ、クォヴレーもフォルカもシロッコも戦えたんだ。
弱気になっていた『冥王』の心に、輝きが戻ってくる。
「ああ……そうだな。行こう。一緒に、この殺し合いから脱出するんだ!」
「はい……!」
彼女の手を握り締め、『冥王』は力強く頷いた。
もし彼女がミオの役割を持っているのなら――真に希望となりえるのは彼女なのかもしれない。
ならば、この殺し合いに最後まで抗おう。そして……彼女を守ろう。
そのためなら、命だって賭けたって構わない。やってみせるさ。
そう、彼女が信じてくれる、不屈の闘志をもって――
「――蒸着」
『邪神』に背を向けた瞬間、後ろから彼女が一言呟いた。
このフレーズは、確か――
その答えが出る前に……一本の刃が、自分の腹から突き出ていた。
(え……?)
刃には赤い液体が付着しており、それが自分の血であることはすぐにわかった。
背後を振り返る。『冥王』の目に映ったのは、あのツインテールの女子高生の姿ではない。
銀色のコンバットスーツに身を包んだ、一人のメタルヒーローの姿。
――宇宙刑事ギャバン。
そういえば――ロワ終了後の暴露合戦で、『邪神』は言っていた。
実はスパロワの一番最後を締めたのは、ネタ満載のギャバンの辞典。
そしてそれを投下したのは……彼女なのだ。
「な……なん……で……」
「あたしの二面性に気付かないなんて、『冥王』らしくないよねー。
それともロワのマサキに慣れすぎて、原作の彼がどんなだったか忘れてたとか?」
残酷な軽口を叩く彼女の口調は、先までと違いミオ・サスガそっくりだった。
ああ、そうだ……熱血で持ち上げてから欝に落とす、その落差で絶望に叩き込むのが彼女のやり方だった。
『冥王』は、自分がその術中にまんまと嵌ってしまったことを思い知る。
「そ、そん……な……」
『冥王』の不屈の闘志が、絶望に砕かれていく。
まるで東方腐敗に殺されるトウマの時と、同じように。
その表情に満足げな笑みを漏らしつつ、ギャバン――いや『邪神』は『冥王』を貫いた剣を横薙ぎに一閃。
次の瞬間、『冥王』の身体は上下に分断された。
ギャバンの変身を解除し、『邪神』は再びミオの姿に戻る。
少女の表情は、本来のミオのものからはかけ離れた、邪悪な笑みに満ちていた。
そう、彼女が"邪神"と言われれば信じられてしまうほどに。
スパロワのヒロインにして希望、ミオ・サスガ。頼れる正義のヒーロー、宇宙刑事ギャバン。
対主催と言われれば、誰もが問答無用で信じてしまうであろう強い説得力を持つ二つの姿が、
彼女に与えられていた。
ならば……『邪神』◆KX4nhL0NJs、彼女のやることは決まりだ。
この姿と力を利用して熱血対主催を演じつつ、参加者を欝に導き……ロワを煽動する。
対主催の芽があれば容赦なく潰していく。それも可能な限り欝で救いのない形で。
手段は問わない。残酷に殺すのもいいが、発狂させるほうが楽しくなりそうだ。
例え流れが対主催ルートになっても、最後までそれを揺るがすつもりはない。
そう、これはバトル・ロワイアルだ。最後の最後まで参加者同士の殺し合いは忘れない。
超展開の中でミオが最後まで人間として戦ったように。
どんな展開になろうとも、最後までバトル・ロワイアルとして戦い抜いてみせる。
懸念すべきは、同じスパロワの書き手だ。自分の手口は見抜かれていると考えたほうがいい。
だからこそ、出会い頭に『冥王』を始末したのだ。
彼のように、最初こそ見た目で誤魔化せるかもしれないが、早めに手を打っておくべきだろう。
特に
『超神』の実力は想像を絶するものがある。彼が参加しているなら、十分な注意が必要だ。
「ふふふ……それじゃ、バトル・ロワイアル……始めよっか♪」
【一日目・深夜/高知県】
【『邪神』@スパロワ】
【状態】健康
【装備】なし
【持物】基本支給品、宇宙刑事ギャバンの装備一式@特撮ロワ、不明支給品(『冥王』分)
【思考】
基本:熱血対主催を装い、殺し合いを徹底的に煽る。
1:スパロワの書き手は警戒。
※コンバットスーツ蒸着可能。ドルギランと、そこに搭載された兵器各種召喚可能。
※外見はスパロボのミオ・サスガ
【『冥王』@スパロワ 死亡】
時系列順で読む
投下順で読む
最終更新:2009年03月26日 15:01