――その頃少女は温泉に入っていた。
……とまあこれで終わってしまっては単なるパクリでしかない、というか二番煎じされても正直つまらないのでもう少し続けるとしよう。
少女は温泉に入っていた。
とはいえ、腰を落ち着けてのんびりしているという感じではなく、その小さな手で自分の全身をまさぐっていた。
首輪があるのか無いのか良くわからないというか無いほうが見た目が綺麗なので省くが、白く細めの首、
肩、ささやかに盛り上がった胸の上から下、小さなお臍の側を経て、下腹から足の付け根の股の間、その後微妙に女性を主張しだしたお尻を経由して、すべすべな太ももを経て、ふくらはぎ、小ちゃな指の生え揃った足の裏まで、両の手で丁寧にまさぐる。
少女の白い肌は次第に上気し、左右で異なる色彩を持つ目の下の頬を初めとして、全身がほんのりと桃色に染まる。
……何も、いやらしい事をしている訳ではない、というかいやらしいと思う心がいやらしい。
こういう話をご存知だろうか?
体を洗う前に湯船に浸かり、温まる事で毛穴が開いて、体の隅々まで綺麗に出来るのだと。
実際に、身体を洗う前に入るお湯が用意されている温泉というのも存在する以上、それは正しい。
要するに、少女は体を洗う前に一度身体を温めている、というわけだ、身体を弄っているのは、その方が毛穴が開きそうだから……いや知らんけど多分そんな気がするし。
尚、言うまでも無い事だが、最も汚れやすい部分は先に石鹸つけて手で洗い済みである、温泉汚すわけにもいけないしねー。
何?最も汚れやすい所?聞くな、というか判るだろうJK。聞くほうがいやらしいと言った。
まあ兎に角、少女はある程度身体も温まったところではあるのだし、立ち上がり湯船から上がろうとする。
尚周囲に誰もいないので、身体を覆うものは何も無い全裸である、というかそんなの気にする外見年齢でも無いしねー。
勢いよく立ち上がった事によって、体の表面を幾筋もの河が撫で、多少敏感になった肌にかすかなくすぐったさを感じながら、足を持ち上げて岩で出来た湯船を跨ぐ。
跨ぐ、とは言ったものの、温泉らしく湯船が洗い場よりも深い位置にあるので、結果としてよいしょ、と身体を持ち上げる事になる。
それゆえに全身から水滴が垂れ、少女の雫は弱い雨粒となって洗い場に降り注ぐ。
……そうして、渇きの大地に雨を降らせながら、木で出来た桶をとり、置いておいた手ぬぐいを手に取る。
本当なら贅沢にも湯船から直接湯をくんで身体を洗いたいところなのだけども、石鹸を置くところが無いので諦めた。
石鹸くらい適当に置いておいていいと思われるが、お風呂場での石鹸は凶器であるのでそれはいけない。
まあそういうわけで石鹸を手に取り、手ぬぐいにごしごしと擦り付ける。
そうして、ぬるぬると白く覆われた長い代物を、自身の身体に当てる。
まずは首、体の上から順番に洗うのは何となくだ。
本当ならば髪も洗いたい、というか髪の毛洗わないというのは微妙に我慢出来ないのだが、ある理由によりこの場にそう長居出来ないから仕方が無い。
乾かすのに時間掛かるし、湯冷めしやすくなるので、泣く泣く肩口程度の長さの銀色の髪を洗うことを諦める。
位置的な関係で頤付近まで白く染めながら、首を泡で覆い、次いで肩、僅かにお湯の溜まっていた窪みまで丁寧に撫でる。
無毛の腋の下にくすぐったさを感じながら、二の腕、腕、指の間まで丁寧に泡を付ける。 二の腕の柔らかさは胸と同等とか何処かで聞いたけれども、ぶっちゃけサイズの関係で二の腕の方が柔らかいorz
そして、その小高い丘、先端の赤いエリアから横に下り、僅かに肋骨の見えるわき腹、平原の中にポツリと窪んだ、僅かに雨粒の溜まったお臍。
そこまで降りたところでとって返し、多少猫背気味に丸まった背中を両の手で端を掴んだ手ぬぐいでゴシゴシと。
そうして、先ほど簡単に洗ったとは言え、やはり汗の溜まりやすい股の付け根をしっかりと荒い、お尻を割り開き、太ももへと至る。
というか二の腕よりも太ももの方が柔らかいし、重量感もあるような気がするのだけどその辺どうなのだろう?
などと適当に考えながら、ふくらはぎを経由して足の甲、裏、指の間まで丁寧に全身を白く染め上げていく。
そうした後、当然のように木桶に湯を張り、首の後ろから掛ける。 一度手が石鹸で滑って桶を足の上に落としたのは秘密だ。
白く覆われた全身を清浄な湯が流し、清めて行く……その様は春の山岳地帯の雪解けの様すら想起させる。
勢い付いていた所為で、頤にまで達した湯が、重力に従い垂れる。
それは偶然にも浅い胸の谷間、丘と丘との間に落ち、流れ、その先の窪みに溜まる。
元より限界に近い溜まりであった窪みの湧き水は、理に従い緩やかな平地を流れ、やがてその先の草木すら茂らぬ果てより、水滴となりて岩の洗い場へと下る。
だが、水滴であったのは、僅かな時間、次から次へと降り注ぐ奔流は、やがて大河となって白い大地を覆いつくす。
水滴は何時しか滝となり、大地の果ての先、逆さの谷にまでも重力に逆らい到達し、そこからもやはり滝となる。
そうして、幾筋もの滝が生まれ、台地を覆う白さを流し、その下の、白は白でも確かな息吹を感じる大地を完全にさらけ出す。
月明かりの下、水滴が僅かに反射させる裸身は、周囲の静けさを移し、
励起の少ない控えめな肉体は、活発さの変わりに静かさをしめし、
色の薄い身体と相まって、まるで夜の精であるかのような思いを生み出す。
その、可憐な唇が、僅かに開かれ……
「……くちん!」
……どうやら、寒かったようだ。
以上、省略したければ ここ をクリックしても意味はありません。
「ん~~~♪」
ご機嫌そうに、嬌声を上げる先程の少女。
最初とは違い、お尻がふにっとなるほどに全身を湯船に預け、リラックスしきっている。
「あったかい……ページの隅々まで染み渡る……♪」
言っている内容はイマイチ不明だが、温泉を満喫しているのだけは確かなようだ。
もう、ぐてーと、解けそうな感じでのんびりしている。
「うぅ、インクが……っ……滲んじゃうよぅ…………
ページがふやけて……歪んで張り付いて……んぁ♪……剥がれなくなっちゃうかも……
もう……最期の一文字にいたるまでドロドロになって……頭が壊れちゃいそうだよー♪」
…………解説をするなら、彼女はGR2(
ギャルゲロワ2nd)の書き手である。
GR2の書き手達は、元ネタはクトゥルー神話関連の、というかデモンベインの魔道書として統一されている。
その中でも、彼女は元ネタからして人間形態を取れるのであり……つまるところ彼女の本質は本なのだ。(他の書き手氏?さあ?)
元ネタと成った魔道書自体はGR2に出ていないのに、何故彼女は本なのかというと、それは名簿を見れば判る。
まあ名簿とか支給されていないけど兎に角見るとだ、彼女だけ元ネタの名前そのままである。
まあ書いた人が変え忘れたのだが、それによって殆どそのまんまの存在としてここにいる。
一応、GR2に出てくる深優・グリーアのような外見なのだが、かなり幼い。
元々肌の色とか髪の色とか似てるので、髪の毛が短くなっただけにしか見えなかったりする。
まあ兎に角、短めな銀の髪に赤と緑の色違いの瞳な少女は、そういうわけで常人とは微妙に異なる快感の表現なのだ。
尚一応魔道書なのでお湯くらいではどうにもなりませんがまあそれはさておき……
「あふ…んぐ………いあいあ♪」
思わず唄が零れ落ちてしまうほどに、気持ちがいい。
唄は歌であり、詩である。
神に奉げる祝詞であり、言霊である。
そう、その歌声は、禁じられた存在を呼び覚ます。
もとよりそのために編まれた存在。
記されたか、アンドロイドとして鋳造されたにせよ、元に成ったものは同じ力を持つ。
彼女はその力を、
「あう、ダメーー……」
使用しなかった。
元に成ったアレと違い、自分は蛸は好きだが、触手は嫌いなのだ。
ついでに、呼んでしまうと折角の温泉が台無しになってしまう。
温泉の中にトラップとして仕込んで置く分には後でサービスシーン担当の人が引っかかってくれそうではあるが、今やると多分被害は自分に来る。
「あ……うー……いあいあ……だ、ごーん、だごん♪…・・・」
ああ、だがこれにどうして耐えられようか……
その口からまるで誘われるかのような響きが漏れる。
というか既に名前読んでしまっているがこの程度では呼べない、制限というものである、
だれも制限とかあるとは言っては居ないが今決めた。
ああ、だが、それもどれだけ持つだろうか?
彼女の口から詠み上げられる祝詞はますます高まり、周囲には異界が満ちていく。
そうして、もはや臨界を迎えたその時、
突如として、少女の口から声が止まる。
それと同時に、周囲の動きも全てなくなり、その場には彫像のように動かない少女一人。
音もなく
凍るような空間で
突如、少女の首が折れた。
顔が、湯に浸かり、
「あう、けほけほ……死ぬかと思った・・・…」
温泉につかりながらうっかり眠ってしまい、危うく溺れそうになる。
温泉に数多に存在するトラップの中でも最も恐ろしい、年に何人か引っかかるという罠だ。
進むも地獄、留まるも地獄の罠の中、何とか無難な所に落ち着いたようだ。
……さて、彼女は何故温泉に入っているのか、無論、理由はある。
入りたいから、というのも大きな理由ではあるのだが、正直生還とか出来る気がしない。
基本的に、ロワの生還率というのはあんまり高く無い。
知る限りだと、アニロワ1stが生還率10%と中々高いが、最高でもその程度。
まあ原作からして5%程度ではあるし、しかも最近はメイオウ大笑いな生存者一人とか、倍プッシュして全滅なんてのもある訳で、
自分は特に特徴も無い地味な書き手だし、まあ確実に生還とか無理。
何でまあ、無論殺されそうになれば逃げるし、安全そうな人を見たら情報交換くらいはするけども、そんだけ。
支給品の確認すらしておらず、向こうで衣服と一緒に籠に放り込んである。
ちなみに元ネタ道理チャイナである、故に下着は無い。
はいてなくてはえてない、正直文句を言いたい、とりあえず何処かで下着はゲットする。
まあ、そんな事はどうでもいい。
というか今回のMAPが日本列島でなければ髪も洗って六時間くらい温泉に浸かっていたいところなのだが、そうも行かない。
何しろ、日本列島である、言い換えれば温泉列島である。
彼女は割りと温泉が好きだ。
GR2でも二回くらい書いた。
書き手にとって眼精疲労と肩こりは職業病である。
ならば、『温泉巡り』をするしか無い。
現在地は群馬の草津。
東に向かい日光、鬼怒川、那須あたりを巡り東北地方から北海道に向かうか……
西に向かい、万座、木曽、白骨等々を経由して近畿、四国、九州を目指すか……
どちらにせよ、凄く楽しそうである♪
こんなこと言っているとズガンされそうではあるけども楽に死ねるならまあそれはそれで……もう温泉入ったし。
というか具体例は避けるけどロワだと少女はひどい目に会いやすいらしいしむしろ御免蒙る、そうなっても書き手な以上フラグ的に自害はしないけど……
まあ、兎に角、草津の湯は満喫したし、別にお医者様にも治せない病は抱えていないので、そろそろ出て移動しよう、
そう思い立ち上がろうとして……
「にゃっ!?」
温泉最期の刺客、滑りやすい湯船に引っかかり、それはもう盛大に水しぶきを上げたのだった。
(尚、今作中一度も名前が出てこないのは仕様です、何故ならタイトル忘れの人として名高いから)
【1日目 深夜/群馬 草津温泉周辺】
【
ルルイエ異本@ギャルゲロワ2nd】
【状態】健康、裸、髪濡れた
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1~3、チャイナ服(下着無し)
【思考】
基本思考:温泉巡りをする。(西か東か)
0:とりあえず髪濡れたので洗って乾かす。
1:ついでに地域の名産品とかもあると嬉しい。
2:ズガンされるならそれはそれで……
【備考】
※外見は幼い深優・グリーア@舞hime運命の系統樹(オッドアイ)です。
※何か蛸みたいなの呼べるかもしれませんし呼べないかもしれません。
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最終更新:2009年06月12日 21:54