どうして侍として正しい道を歩めなかったのだろう。例え影武者としての使命を終えたとしても、人を守ることなんていくらでもできたというのに。 
もしもまた生まれ変われるのであれば、今度こそ誰かの為に戦いたかった。最期に一条薫を救ったように。 
そんな微かな願いを胸に抱くと同時に、志葉丈瑠の意識は光の中に飲み込まれていった。

(from 変身ロワイアル 106話「解放」)



「俺のこの姿は…志葉丈瑠か」

そうつぶやいたのは、変身ロワの一人の書き手…超光戦士カキテリオンだった。
彼の姿は、本人がたった今つぶやいたとおり、侍戦隊シンケンジャーの主人公、シンケンレッドこと志葉丈瑠のものだった。

「どう動くべきかは…この姿になった時点で、決まったようなもんだ」

これからのスタンスを考えるカキテリオンは、自分のこの姿…丈瑠について思いを馳せる。

彼の姿である志葉丈瑠は、参戦時期の関係で、自分の存在意義、生きる意味を失っていた。
そんな彼が唯一の居場所として求めたもの…それは剣の道に生きること。
ゆえに丈瑠は、人斬りとして殺し合いに乗り…外道となることを決意した。

つまり、彼カキテリオンも人斬りとして殺し合いに……


「乗るわけないだろ」


…話はまだ続く。
マーダーとしてスタンスを決めた丈瑠だったが、とある参加者によって本心を看破され、自分の行いの過ちに気づいたのだ。
ちなみにこの話はカキテリオンによって書かれた話であり、志葉丈瑠にとっての大きな転換点となった話なのである。
その後、過ちに気づいた丈瑠は、一人の参加者の命を救い、死亡した。

そして、死に行く中で丈瑠は一つの願いを心の中に秘めていた。


――もしもまた生まれ変われるのであれば、今度こそ誰かの為に戦いたかった。



「生まれ変われるなら、か…ある意味俺は、あいつの生まれ変わりだったりしてな」

丈瑠のこのセリフは、別の書き手の作品によるものだが、そんなことは関係ない。
自分だって…丈瑠の葛藤、決意、後悔…彼の様々な面を書いてきた。
思い入れがないはずなどない。
彼の最後の願いを無碍になど出来るはずなどない。


「志葉丈瑠……あんたの最期の願い…この俺が叶えてやるよ」


丈瑠の本当の願いは、人を斬ることではなかった。
自分に嘘をつき続けてきた。
そしてそれに気づいたときには手遅れだった。


「あんたを嘘つきにしない…嘘偽りない本当の願いを叶えさせる……これが俺のスタンスだ」


もしかしたら、この願い自体がパロロワメモリの副作用によるものなのかもしれない。
自分の意思がメモリによって歪められているのかもしれない。
だが、例えそうだったとしても、やはりこのスタンスは変えたくない。
自分の過ち、本当の願いを見つけた丈瑠のこの姿で…再びマーダーをやらせるというのはとても残酷だ。




カキテリオンは、デイバックから一つの支給品を取り出す。
志葉丈瑠の変身アイテム…ショドウフォンだ。

「そういや変身ロワの丈瑠は結局これを使うことはなかったんだよな…」

そんなアイテムを、こんな場所で使うことになるとは、なんともおかしな話だ。


「一筆奏上!」


その掛け声とともに、カキテリオンの姿は変わっていく。
それはロワで丈瑠が変身したメタル・ドーパントではない。
当然アヒルでもない。

「シンケンレッド、カキテリオン」

その姿は、間違いなく…シンケンジャーのリーダー、シンケンレッドのものであった。


「またの名を……贖罪代理人、超光戦士カキテリオン!」


志葉丈瑠の、嘘偽りなどない本当の願い。
それを受け継いだ一人の書き手が、決意を胸に立ち上がった。

【一日目・深夜/G-5 砂漠】

【超光戦士カキテリオン(◆7pf62HiyTE)@変身ロワイアル】
【状態】健康、シンケンレッドに変身中
【装備】ショドウフォン@変身ロワ
【持物】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】基本:志葉丈瑠の最期の願いを叶えるため、人を護る
1:殺し合いに乗っていない参加者を見つけ、保護する

※外見設定は志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャーです。

061:あの画像が今――――! ◆時系列順に読む 071:夢追いの男
068:それでも、台車は走り続ける ◆投下順に読む 070:ある少年の願いと祈り
超光戦士カキテリオン

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最終更新:2013年05月09日 22:04