「ハッハ、ハッハッハ」
悪のカリスマは高らかに笑う。
嘲笑うではない。憐憫を差し向ける笑いでもない。
それは、子どもの失敗でも見て浮かべるような、『受け入れる』笑みだった。
「違うな。君は誤解している、『間違った世界』」
「……へえ? 聞かせてもらおうじゃないか、講釈を」
口角を吊り上げて、間違った世界は言葉を待つ。待つことを選択する。
「大丈夫、手は出さないよ。今の姿の、エヌアインの姿の、ルールに則る。ゲームをプレイする側としての、それは大前提だから、ね」
「時間は取らせんよ。なに、たかが1~2レスくらいの語らいだ」
「……メタはやめようよ。シリアスシリアス」
「書き手ロワはそういうものだと私は思うがね? 書き手として喋ってナンボだ」
「ははっ、ボクはエヌアイン、だけど?」
「なんでも良かろう。私もルガールではない。そもそも、だ。我々にあるのはキャラではない。書いたモノがあるという事実だけだ」
「それには同意するよ。だからこそボクらは幾重もの形を取れる。無形で、なにものでもない。だからこそなにかになりたいと、ボクはそう思うね。
悪のカリスマ、君は何になるつもりだ? 無形のまま、ただの誰でもない『支配者』になる意味はあるのか? ボクは、嫌だ」
「少々哲学的な質問になるがね」
聞いているのか、いないのか。そういうフリなのか、自分が喋りたいだけなのか。もったいぶった口調である。
「支配とは、何だと思うか?」
「君自身が言ってたじゃないか。初登場の71話で。『世界を手に入れる』って」
「言ったな。話が早くて助かる」
「ついでにこうも言った。『主催という立場に立つあの男を引きずりおろし、自分が支配する。そのための"仲間"を集うことにしよう』とも」
「記憶力の良いことだ」
「はッ、ボクを誰だと思ってる? 萬川集海で形作られた書き手だよ? コピー&ペーストもできる。……ま、あいして、くらわないと、だけどさ?」
「つまりこういうことか?
74話の描写で、貴様は私を見ていたとある。……即ち。貴様が見ていた話は一字一句コピペできるということかね?
結構便利な能力ではないか。ハッハ、解説役にもなれるぞ。どうだ、私の解説役には――、なりそうもないようだな」
「やだよそんなの。……それはボクがプレイヤーじゃない。ボクは、ボクが、遊びつくしたいのさ」
「まあそういう手合いだろうな。なれば想像通りだ。貴様を支配するには――ぶつかって、食らう。それでいいと」
「なに? それは――ッ!?」
敢えて一歩間合を外すことで、相手の場(プロット)から逃れる。それは萬川集海に記された【忍者】の技のひとつである。
ただの回避技というか、小細工に過ぎない。しかしそれでも先に手の内を明かす展開は、間違った世界にとっては痛烈な一打となる。
「【忍法】の一手は明かせたか。さて、貴様の手は残りいくつだ? もっとも相応しい、貴様そのものを表す技を私が取り込んでくれよう。それが"仲間"。それが、支配だ」
「――支配って、そういうことか! なるほど、取り込んで、見下ろす。確かに誤解していた。でも、ただ取り込まれるなんて、御免だね」
悪のカリスマの放った技は一瞬で距離を詰めた上で六回の連撃を放つ『バニシングラッシュ』。しかしそれは間違った世界にとってはただの接近戦攻撃だった。
間合を外せばなんということはない、ただの技だ。回避のダイスを振るまでもない。最低でも、最悪でも、二手。見せて貰わねば、
「【奥義】なんて見せられるわけがない。……ボクに、【奥義】を振らせてみせろよ?」
それは挑発。それは情報。あるとは知らせる。しかし見せるわけがない。自分の価値をそんなものと思われては、困る。
エヌアインの姿をしつつも、その立ち回りは紛れもなく、ゲームを愉しむ、一人の書き手だった。口角を吊り上げていることさえ、自身は気付いていない。
【奥義】。言い方は書き手によって様々だ。超必殺技、奥の手、何でもいい。
書き手としての最後の切り札。書き綴ってきたもの全てから生まれた、どの書き手もが持つ譲れないもの。それを取り込むというのなら。
「足りないな。一手じゃ、とても足りない。悪のカリスマ。お前は何手で、ボクを取り込める?」
勝敗など、端からどうでもいいのだ。殴られたから殴り返す。勝負を挑まれたのなら、受けるまで。
戦いを通して書き手同士の技を暴き合うなど……愉しい以外の、何であるというのか。
「何手か、だと? ハッハッハ、」
破顔一笑。
「次の書き手次第だ!」
【一日目・深夜 ???】
【悪のカリスマ(◆Ok1sMSayUQ)@PWBR】
【状態】健康
【外見】ルガール・バーンシュタイン@THE KING OF FIGHTERS
【装備】不明
【持物】基本支給品、不明支給品(1~3)
【思考】
基本:主催を撃破し、ロワを支配する。
1:間違えた世界@SLBRは私が取り込んでくれよう!(訳:必殺技よこせ)
【間違えた世界(◆MobiusZmZg)@Splendid Little B.R.】
【状態】嗅覚の麻痺(徐々に回復)
【外見】エヌアイン@エヌアイン完全世界
【装備】萬川集海@SLBR、イカサマのダイス@RPGロワ
【持物】基本支給品、不明支給品(0~1)
【思考】
基本:自分の打った手が面白い時間を作るのだと信じ、全力でこのゲームを遊ぶ。
1:悪のカリスマ@PWBRの挑戦を受け、何手引き出せるか試す。(訳:取り込む? やってみろよ)
※忍法『匂追』で、悪のカリスマ@PWBRの行動方針を知りました。コピペも可能な優れものです。
※間違えた世界の肉体を構成するのは、忍術秘伝『萬川集海』です。
巻物を肉や骨とし、『影』を操って他者を模倣することが可能ですが、能力の対象となるのは
彼がこれまでに愛して喰らった(執筆した)キャラクターに限られます。
最終更新:2013年06月12日 02:30