「向かう前に、これ確かめとくか…」

拡声器による呼びかけに応えて声のする方向へと向かおうとしていた仮面ツナイダー1号。
だが、拡声器を使った以上、そこに危険人物が集まって戦闘になる可能性が高い。
ゆえに彼は、ひとまず戦闘手段であるダブルドライバーがこのロワではどういう設定になっているのかを確かめることにした。


『やあ、もう一人のボク』
「その声は…ユーノか?」


ダブルドライバーを腰に装着した瞬間、聞こえてきたのはフィリップではなく幼い少年の声。
そう、仮面ツナイダーが変身ロワで初めて書いた話『Tの決意/少年の使命』にて、左翔太郎と共に登場したユーノ・スクライアだった。

「お前がフィリップの代わりか…まあ、ある意味納得だしキャラ的に違和感もないな」
『まあ、検索少年って共通点もあるからね』

元々この二人を組ませたのもユーノがフィリップとそういう共通点を持っているという理由だった。
ユーノにはあの話で検索魔法も使わせたしな。

「そういや、さっき『もう一人のボク』って言ってたが…」
『ああそうそう、このロワでのダブルドライバーのルールを説明しないとね。とりあえず僕のことは2号とでも呼んでよ。別にユーノ本人ってわけでもないし』
「あ、ああ。分かった2号」

そんなわけで、ユーノこと2号の説明が始まった。

『まずメモリだけど、こっちにはフィリップ用のメモリ…サイクロン、ヒート、ルナがある』
「こっちはジョーカーだけだ…他の参加者に支給されてんのかな」
『変身はうちのロワのフィリップと同じ要領でできるからいいんだけど…一つ気を付けてほしいことがあるんだ』
「ん?なんだ?」
『さっき言ったよね…僕はもう一人の君だって。このダブルドライバーは、僕たち仮面ツナイダーの半身で、君の肉体と一蓮托生なんだよ』
「ど、どういうことだよ!?」

どうやら変身ロワにはない書き手ロワ独自のルールがダブルドライバーには存在しているらしい。
戸惑いつつも、2号に対して尋ねる1号。


『つまり、君が死を迎えると、僕の魂も一緒に消えて、ダブルドライバーは消滅する仕様になってる。そして……』



『ダブルドライバーが破壊されると…僕の魂が消えるのと同時に、君の魂も消滅して死んでしまうんだ!』



「なあ!?それって……」
『まあ、わかりやすく言えばそのダブルドライバーはソウルジェムみたいなものってことかな。君の肉体は魔法少女じゃなく普通の人間のものだけど』
「なんだよその仕様!?いじめかよ!?ベルト破壊で死亡って、きつすぎるだろ!?」
『しかもベルトが破壊されなくても普通に死ぬ可能性もあるしね…』


自分に課せられた死亡条件に愕然とする1号。
言うなれば自分は、『やたらでかいソウルジェムを持ってて、それでいて肉体は魔法少女になっていない』状態なのだ。
あるいは、『1の目が死ぬと同時に2の目も対消滅する外道衆』なのだ。
ひどい、ひどすぎる。

『と、とにかく、このことは誰にも話さず、気づかれないようにしないと!』
「そ、そうだな…」
『あ、それとユーノと翔太郎は、ダブルドライバーを装着した状態だと、姿を入れ替えて肉体側とソウルメイト側を入れ替えることもできるみたいだよ!』
「それなら2号、お前俺と代わってくれよ…』
「そ、そんなこと言わないで元気出して…」


ともかく、先行きにとてつもない不安を感じながら、仮面ツナイダー1号はダブルドライバーを外して2号との通信を終えると、目的地へと向かった。





「おー!まさかいきなり同郷の書き手がやってきてくれるとは思わなかったよ!」

先ほど拡声器を使った一人の書き手、ヤレッシュサツリキュアはさっそくやってきた書き手が同じ変身ロワ書き手であることに歓声をあげた。

「スバルの姿で同郷…なんか嫌な予感がするが……まさか」

一方の拡声器の声に反応してやってきた書き手…仮面ツナイダーは顔をこわばらせている。


「うん!あたしはヤレッシュサツリキュアだよ!仮面ツナイダー1号君♪」



ズザザザザザザザザザ…



「ってなんで思いっきり後ろに下がってるの!?ひどいなあ」
「いや、んなこと言われたってしょうがねえだろ!」

ヤレッシュサツリキュア。
変身ロワにてもっとも参加者を殺している書き手であり、5人死亡話を2度も書いたまさに殺戮マシーン。
正直、彼女にだけは会いたくなかったというのが本音だ。

「言ったでしょ。あたしの行動方針は対主催だって」
「仮にそうだとしても、死亡話の権化みたいなあんたと一緒にいるのは、不吉すぎるぜ」
「やだなあ、拡声器に反応してここへ来といて死亡フラグ気にするなんて今更過ぎるよ」
「う、そりゃあそうだが…しかし……」

なおも何かもごもごと言おうとしている1号に対して、サツリキュアはずんずんと近づく。
そして、彼の目の前まで近づくと、彼の目をじっと見つめていった。


「お願い♪ツナイダー君♪」
「うっ…!?」



「(な、なんだ…?サツリキュアから目が離せない…てか、むっちゃ心臓がドキドキしてる……)」

見つめられているだけで、ものすごく愛しさが湧いてくる。
ドキドキが、止まらない。

「ねえ…お願い」

サツリキュアはなおも懇願しながらツナイダー1号の体をギュッと抱きしめ、なおも見つめるのを止めない。
1号の心臓の鼓動はさらに激しくなり、顔は真っ赤になっていた。


「一緒にいて?」
「わ、ワカッタ…」


頭が沸騰しそうになりながら、1号はサツリキュアの懇願に了承の意を伝えた。


「本当に!?ありがとう!」

1号の言葉に、サツリキュアは嬉しそうに礼を言うと、1号から体を離した。

「じゃああたし、向こうから参加者がやってこないか見てるから、ツナイダー君はそっちから参加者が来ないかどうか見てて!」
「あ、ああ。分かった…」

1号の了承の言葉を聞くと、サツリキュアは踵を返して遠ざかっていく。



「(あ、あれ?さっきまですごいドキドキしてたのに…)」

サツリキュアが離れて数十秒後。
先ほどまであれほど感じていたサツリキュアへの愛しさが嘘のように消え去ってしまって戸惑う仮面ツナイダー1号の姿がそこにあった。


「(ま、まあ、とりあえず参加者が来るのをサツリキュアと待つとするか…)」


【一日目・深夜/E-5 街】


【仮面ツナイダー1号(◆OmtW54r7Tc)@変身ロワイアル】
【状態】健康、肉体(翔太郎)
【装備】ダブルドライバー+ジョーカーメモリ@変身ロワ
【持物】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】
基本:あまり前に出すぎず、繋ぎを担当する
0:ヤレッシュサツリキュアと他の参加者が来るのを待つ
1:繋ぎを担当する
2:ダブルドライバーの仕様ひどすぎるだろ…
3:さっきのサツリキュアへの感情はいったい…?
※外見設定は今現在は左翔太郎@仮面ライダーWで、ダブルドライバーのソウルサイドにあたるキャラはユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのはシリーズです。
 翔太郎とユーノは肉体側とソウルサイド側を自由に入れ替え可能です。(入れ替わりにはダブルドライバーを装着する必要あり)
 肉体側が死亡するとソウルサイド側の魂も消え、ダブルドライバーも消滅します。
 ダブルドライバーが破壊されると、肉体側とソウルサイド側双方の魂が消滅し、死にます。

「やったあ♪まずは一人確保!」

大量殺戮のための駒が手に入ったことに喜びの声をあげるヤレッシュサツリキュア。
この調子で参加者を集めて、大勢になったところを一気にたたけば、大量死亡の完成だ。
ちなみに数時間後、とある場所では33人もの参加者を一掃した参加者がいたりするのだが、彼女は知る由もない。
もしそのことを知れば、とてもうらやましがったに違いないだろう。

「ふふ、それにしてもツナイダー君、あんなに真っ赤になっちゃって、可愛いなあ♪外見の左翔太郎と同じで、女性に縁が薄いのかな?」

サツリキュアの外見であるスバル・ナカジマの変身ロワは、とてつもなく不幸だったが、その不幸の最大の要因はいわゆる『洗脳』であった。
ノーザにはソレワターセで洗脳され。
続いてアクマロにもソレワターセで洗脳された上に女傑族の腕輪の丸薬により偽りの恋心を植え付けられ。
溝呂木眞也には幻覚を見せつけられてやはり手駒にされた。
そんな洗脳だらけのロワ人生を送ってきたスバルの姿になったサツリキュアには、ある一つの能力が与えられていた。
その名も『魅惑の瞳』(チャーム・アイ)。
見つめた相手を虜にしてしまう能力である。
ただし、効果があるのは見つめている間だけという制限付きだが。
仮面ツナイダー1号がすぐに正常に戻ったのもそのためだ。
とはいえ、虜になっている間の記憶はどうやら使用者に残っているらしく、自分と一緒にいることを嫌がっていたツナイダー1号が離れる様子はない。
潜在意識で自分に離れたくない意志が働いているのだろう。


「(またあの能力でからかってあげるのも面白そうだけど…今は参加者を集めないとね♪)」


ヤレッシュサツリキュアは、わくわくした表情で新たな参加者を待ち続ける。



【ヤレッシュサツリキュア(◆LuuKRM2PEg)@変身ロワイアル】
【状態】健康
【装備】不明
【持物】基本支給品、拡声器、不明支給品0~2
【思考】
基本:参加者が大勢集まった所を皆殺し♪
1:参加者が集まるのを待つ
2:参加者が大勢集まるまでは対主催だろうとマーダーだろうと関係なく極力死なないように立ち回る
※外見はスバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはシリーズです
※魅惑の瞳(チャーム・アイ)の能力で、見つめた相手を見つめている間だけ虜にすることができます

086:非リレーロワとは、バトルロワイアルというよりも、むしろ死のロングウォークである ◆時系列順に読む 090:戦いとは、ぶっぱである。
088:End of World ◆投下順に読む 090:戦いとは、ぶっぱである。
007:種蒔き ヤレッシュサツリキュア
011:決意のT/繋ぎの使命 仮面ツナイダー1号

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最終更新:2013年06月08日 19:51