「また、かや」
司令は艦が沈むと自室にこもる。
誉められたものではなく、むしろ叱咤する文がたびたび送られて来ておる。
限界なのじゃな。そう感じる。
「あ、え、子日?」
わらわの妹を想ってくれるのは嬉しいのじゃが、見ていていたたまれないのう。
最初に失った艦だからじゃろうか子日を、あるいは若葉を呼ぶ。
「そうじゃ、子日じゃよ」
だからわらわはできる限りそう振る舞う。忘れさられる艦と比べればいかに幸せかなど問うまでもなかろう。
「ああ、子日、子日だ」
そう言ってわらわの胸に吸い付く。果たしてこやつが子日とねんごろだったのか知る術はない。
「ふふ、まるで赤子よの」
一心に吸い付く姿はまるで全てを投げ捨て幼子に戻っているようじゃ。
「よしよし、わらわがついておるからのう」
そう言ってそっと抱きしめる。
「ああ子日、あったかい」
もしこやつが子日と、あるいは若葉とそのコトに及んでおったら、わらわはそこまで真似できた自信はない。
じゃから、こうやって胸や唇を吸う行為で止まっておるのは安堵しておる。
ただ、たまに思うんじゃよ。
全て、諦めさせてやれたら、そのほうが楽になるんじゃなかろうかと。
こんな紛い物ではなく、御霊となった二人に会える方が幸せではなかろうかと。
そんな迷いがあったからじゃろうか。こやつが錯乱しておるのに気づけんかった。
小声でなんぞ話しとる思えば、若葉は現実じゃない、やと。笑えてくるのう、そんなのいつからじゃと思っとるんじゃ。
思えば此度初霜を失い、わらわはひとりになったのじゃな。
「子日! 何を」
こやつが下半身に血を集めておったことくらい気づいておる。
じゃから、長袴さえはいでしまえば、出来ることは分かっておった。
一つになるとわらわの秘所からは避けるような痛み。流石に無理があるようじゃの。
見れば、焦点の合わぬ虚ろな目をしておる。ちょうど良い。
「わらわが初春じゃ。よろしく頼みますぞ」
そう耳元で呟いた瞬間、跳ねた。
わらわを押し倒すような体位に変わりわらわの首筋に手がかかる。
「あ、あ、返せ返せ」
一体何をじゃと思えば子日を返せと叫んでおる。ああ、わらわも疲れた。
じゃから、手に力が入り息も出来ず、全身がおかしくなろうとも抗わん。
こういう時、なんと思えば良かったか、ああそうじゃ。
痛いぞ、じゃが悪くない。
これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
最終更新:2014年10月15日 03:01