「――と、いう話なんですよスラさん」
モロクの街にある鍛冶屋。仲間の鍛冶師が住んでいるところに
今日はラセツの姿がある。
「リンさんは寝落ちの女王だからねぇ」
「まぁ、それもひとつの個性ですよね」
仕事の合間合間にスラッシュが相槌をうつ。
あまり真面目に話をきいてくれているようにはみえない。
――と、思ったのだが
「リンさんが寝た時に部屋へ運んでるのって、ジル君だけなのかな?」
どうやら、話をちゃんときいていたようだ。
「私が知る限りでは、そうですね」
「ジル君からしかその愚痴をきかないしねぇ。苦労してそう」
手を動かしながら、そのまま会話を続ける。
「ジル君、人好さそうだしね」
「ですねぇ」
口元に手をあてて苦笑しながら、ラセツが同意する。
昨夜はなんだかんだ言いつつも、結局は引き受けてくれた。
その前の晩は、非力の師匠と、力はあるが女の子のマルーに
運んでもらうのは気がひけたのだろう。
「それに、うちで一番夜更かしさんなのがジルさんですから」
「あぁ、それじゃジル君が担当になるのもわかるね」
最後まで残っているので、否応なしに世話係りになってしまう。
放っておけずに、つい手を差し伸べてしまう。
最終更新:2009年01月26日 20:55