「?・・・おや、ジルくんじゃないですか」
仕事を終え店を閉めようと外に出ると、見知った顔がこちらにやってくるのが見えた。
長身の、茶髪の青年ジーベル、同じギルドのハンターだった。
なにやらブツブツと呟いているようだったが、自分に気づくと手を上げて話しかける。
「スラさんこんばんは、今仕舞いですか?」
「えぇ。ジルくんこそ、こんな時間に出歩くなんてどうしたんです?」
今の時間に見かけることは珍しかった。
普段ならギルドの仲間と一緒に夕餉をとっている頃だ。
これから冒険に行くという姿でもなかったが、不機嫌そうな顔ですぐにピンときた。
「はは~ん、また口喧嘩でもしたんですか?」
「別にそういうんじゃないですよ」
短く早口でそう返すと、怒ったように視線を逸らす。どうやら図星らしい。
毎度の事ながら飽きないなぁと、内心苦笑しながら青年をみれば、
今度は考え込んでいた。
答えが欲しいわけでなく、ただ愚痴を言う相手が欲しかった程度だと思うが
それでも何か言った方がよいかな?という気持ちにはなる。
さてどうしたものかと考え、ふと視線を動かすと・・・
今度は夕闇に紛れるように、通りを歩く一組の影が視界に入った。
よどみなくこちらへ歩を進めている所を見ると、何か用事があって来たのだろう。
向こうもこちらの姿に気づくと、小走りに駆け寄ってくる。
よく目を凝らしてみると――
「?・・・おや、エルクにまるっちじゃないですか」
「え? エルクにマルー?」
ジーベルも通りへと振り向くと、、見知った顔がこちらにやってくるのが見えた。
赤髪の少女マルーと金髪の少年エルク、同じギルドの騎士コンビだった。
最終更新:2009年02月20日 20:56