「・・・・・・・う~ん、でも私も勝手に部屋の掃除されたことあるけどなぁ」
「僕もあります・・あれは一応親切でやってくれたんだな、とは思いますけど・・」
出されたお菓子を頬張りながらマルー、エルクも苦笑いしながらお茶を啜っている。
二人ともジーベルの愚痴をきいて「ご愁傷様」と言いたげな表情を浮かべた。
「親切はともかくとして。鍵のかかった部屋に入るか普通?」
苦虫を噛み潰したような渋面でジーベルが唸った。
先ほどから、ようやく口を割った青年を囲みながら、彼の愚痴について話している。
どうやらギルドマスターである女アサシンが、勝手に自室に入ったことに腹を立てているらしい。
自分には店があって、ギルドのアジトでの共同生活などしていないから
無縁な悩みであるが、そこまで言うほど酷いのだろうか・・・
「リンファさんの親切というものを、私も一度体験してみたいですね」
「あれは知らなくて幸せな部類に入ると思いますよ、スラさん」
きっぱりはっきりとジーベルが言い切り、マルーとエルクも横でうんうんと頷いている。
そう言われると余計に知りたくなるのが人の常というものだ。
「部屋を片付けてくれるぐらい、いいと思いますけ・・」
「あま~い! スラさんは奴の恐ろしさを知らないからそう言えるんですっ!!」
「良くも悪くもパワフルだから~リン姉は」
「普通に片付けてくれれば、なんですよスラ師匠・・」
ポツリと零した疑問も言い終わらぬ内に、一斉に同じ反応が返ってきた。
なるほど、一言に掃除と言っても『綺麗』にかたすわけではないらしい。
それでもやはり、一度見てみたいという好奇心は残ったままだったけれど。
最終更新:2009年03月19日 22:32