「じゃあ、ここに荷物を置いて。」
「ああ、分かった。」
私は新しく引っ越してきたサヤカ。前に他の住人とトラブルがあり新しいマンションに引っ越した。そのマンションはなぜか家賃が普通十万円だが三万円で安く綺麗なところだから私はすぐにそこを選んだ。
「しっかしよ、大丈夫なのか?家賃三万円のマンションなんて。」
幼馴染のキョウスケが言う。
「なーに言ってんの。得じゃない。」
「そうじゃなくてさ、怪しくないか?いくらなんでも設備がよく綺麗だなんて。」
しかも…とキョウスケは言う。
「絶対怪しいだろ。最初から家具が置かれているのも。」
「あーもう!!そんなにケチつけないでよ!住めば都というでしょ。」
「…まあ、そうだといいんだけど。」
その後キョウスケは私の荷物の手伝いをした後帰って行った。
私はその後周りを見渡すことにした。私が借りたこの部屋は3LDKで一人暮らしの私には十分過ぎる所だ。
その後、順番に見て行った。キッチン、お風呂場、トイレ、二つの部屋と見ていく。そして最後の部屋であろう子供の部屋らしきところで変なのを見つけた。
「前に住んでいた家族の写真?」
家族の写真だ。父母に男の子にタブンネが写っていた。しかし顔だけが削れているものだ。
前の家族の忘れ物かと思いそれほど深く気にしないでその部屋を出た。
「そういえば挨拶してなかった。」
私はそのことに気づき挨拶に行くことにした。
「ごめんください。今日新しく410号室に引っ越してきたサヤカですが…。」
インターホンを押してから言うと眼鏡をかけた大人しそうな男の人が現れた。だが、なんだか驚き顏を含めた表情で。
「…410号室に引っ越して来たサヤカちゃんだね。よろしく。」
それだけ言い男の人は閉めた。
「…変なの。」
そう思い次の人の所に挨拶をしに行った。その後も男の人と同じような表情をするものと冷たい態度をされてばっかりでうんざりする目にあった。
…一体何なんだろうか?そう思ったが、部屋に戻りお風呂を掃除したときにまたしても奇妙なことが起きた。
「何これ?髪の毛…?」
そう人の髪の毛が詰まっていたのだ。それも人のだけじゃないピンク色の毛も混ざっていたのだ。
「…気持ち悪!!」
私はそれらをトイレに流した。気持ち悪さや疑問を頭の中で思いながら次の日の準備をしてから寝た。
次の日の朝、私は昨日の奇妙な出来事が頭の中によぎっていたが直ぐに切り替えてバイト先に向かった。私は夕方までライモンシティの遊園地の従業員としてアルバイトをした後、夜の九時までショップでアルバイトをしている。
そして遊園地のバイトを終えショップでアルバイトをしているときキョウスケが買いに来た。
「なあ、サヤカ。」
「ん、何?バイト中だから手短にね。」
「あの部屋どうだった?」
「うん、良かったよ景色もいいしバイト先近いし設備も整ってるから。」
ただ…と私は言う。
「あの部屋、朝起きたときにカーテンを開けても暗かったんだよね。しかも他の部屋の人も様子が可笑しいしあとは…」
「おい!サヤカ喋ってるな!」
そこで私は店長に遮られた。
「すいませんでした…じゃあキョウスケまた別の日に言うね。」
「ああ…分かった。じゃあな。バイト頑張れよ。」
そう言いキョウスケは帰った。
その後バイトが終わって帰ったが、自分の部屋に着いたときふと気づいた。自分の部屋の所だけ明かりが薄暗い。まるでそこだけ明かりを寄せ付けないような感じで。
そして夕食も食べて寝てる最中に起きた。
ーー
私は目を覚ました。覚ましたとき周りと自分がおかしいことに気がついた。
『(何これ…!?)」
自分の姿がタブンネになっていた。周りにもタブンネが十四匹。自分を含めて十五匹居た。私は自分の状況に驚いて声をあげようとしたが動くことが出来なかった。
ガチャ
自分の状況に困惑している中部屋に男が入って来た。男を見たとき他のタブンネは一斉に怯え始めた。男は手にハサミを持っていた。そして私を掴みそのハサミで右目を刺した…!!
『ミギャア!!ミギィ!!ビャ!!ギャ!!』
私は痛くて絶叫をあげたが、声が出なかった…!!
まるで自分が他の生き物に入りこんでその生き物の体験をしているような感じに…!!
グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ
男は狂ったように奇声をあげて刺し続けた。やがて刺し終えたと同時に真っ赤な光景から真っ暗になった。
ーー
「はっ…!!」
私は目を覚ました。慌てて周りを確認したが、自分の部屋だった。
「…夢?」
酷い悪夢を見た。とにかく私は見た夢を頭の中で振り払いバイトに向かった。
その日から毎晩悪夢を見るようになった。しかも同じ夢じゃない。ミキサー、バットを使ってでのリンチ、硫酸を使ってでの拷問など様々な方法で拷問を受ける夢を見るようになった。
やがてバイト先でミスばかりを起こすようになり社長にクビまでは言われなかったが、「体の方を優先しろ。だから、一ヶ月来なくていい。」と言われ途方に暮れて帰っているときにライブキャスターから連絡が来た。
「ああ、もしもし?」
『もしもしサヤカ?元気?』
母親からだった。私は二週間ぶりに母親と連絡が取れて嬉しい気持ちになったが、次の言葉に私は凍りついた。
『あのね、真面目な話だけど、……お父さんが事故にあったの。』
「え…?」
藪から棒だった。私は驚いてしょうがなかった。あんなに私に献身的で自慢の父親が事故にあってしまったなんて。
だが、幸い死に至らず足を折れてしまうだけですんだが、もう二度と治らないと宣告を受けたことを伝えられたことを言われた。
そしてまた連絡が来た。
今度は高校のときの担任が病気で死んだ。友人が駅のホームで自殺した。
と連絡が来た。
踏んだり蹴ったりだった。
そしてまたしても連絡が来た。だけど、もう見たくなかった。私はしつこくなり続けるライブキャスターを無視して家に帰ろうとしたが、画面を見たらキョウスケの番号だったので仕方なく出た。
「…何?」
『もしもし?少しあってなかったから連絡したくてしたが、どうしたんだ?何かあったのか?』
私はこれまでのことを話した。
『…そうか。大変だったな。…話が変わって申し訳ないが、聞いてくれるか?』
真剣そうな表情で言った。
「うん、いいよ。」
『お前の家の荷物の手伝いをしたあの日さ、部屋を出ようとした時さこっそりどの部屋かこっそり見たんだよ。だけどさ、写真がある子供部屋らしき所を見たときさ、なんか誰かに覗かれている感じがしたんだよ。』
『だけど、お前と俺の二人しかいなかった。お前は別の部屋にいたからありえなかった。それからさ、広くて設備もよく綺麗な部屋は十万円もするのにお前の部屋だけ三万円。お前と俺しかいないのに誰かに見られたような視線の二つを結びつけて調べたんだよ。』
『そうしたらよあそこの部屋は…昔な自殺があった見たいなんだ。』
「…はあ?」
最終更新:2015年02月20日 17:22