最近畑を荒らしていた害獣のネグラを見つけた。使わなくなった物置にワラや枯葉を持ちこんで住処にしていた
早速番犬代わりのルカリオを連れて退治に行ったが、さすが
ヒヤリングポケモンというだけあってか、
あと少しの所で気配を察知されて逃げられてしまった。
とりあえずネグラだけでも破壊しとこうかと思い、物置の中に入ってみると藁をどかしてみると、中に小さなピンクの塊が
なんとあのタブンネが5匹も子供を産み育ててでいたのだ。隠しておいたから安心とでも思ったのか
「子供を育てるためにしかたなく作物を盗んでたんだなあ・・・許してやるか」などという仏心は俺には一切なく
元々鬼な心をさらに阿修羅に変えて糞ガキ5匹をボッシュートしてやる事にした
業務用の漬物桶に入れられて家に連れてこられたチビどもは状況が判ってないのか「ミッミッミッミッ!」とじゃれあっている
そのうち腹が減ったのか「ミーッ!ミーッ!」と大声で騒ぎ始めた。うるさいので蓋をして重石を載せてやる
このチビどもをブチ殺しても親が残ってればまた繁殖されてしまう可能性がある、
なんとか子供をおとりにして親をおびき寄せられないか・・・
色々方法を考えているうちに、納屋に幅2メートル×高さ1、5メートル×奥行き1メートルもある巨大な水槽があるのを思い出す
いい事を思いついた
翌日、使ってない畑に水槽を設置し、タブンネの糞ガキどもを入れてやる
蓋は鉄枠に有刺鉄線の網とアクリル板の2重構造の特製の物を錠前付きでセット
ついでにいうと、水槽は強力な水タイプのポケモンを飼育するためのもので、タブンネのタックルごときではビクともしない
あんまりすぐ死なれても面白くないのでペットボトルで作った水飲み器だけは設置しておく
せっかくだから観察日記を着けてみよう
一日目
眼を覚ました子害獣どもはミィミィと甘えるような声で鳴いている
するとどこからともなくあの親タブンネがやって来た。ミィミィという鳴き声はおそらくは親を呼ぶ声だろう
親タブンネは子供たちを見つけるとミィ!と嬉しそうな鳴き声をあげ、水槽に駆け寄っていく
子タブンネも親に会えてうれしいのか水槽の片側に集まってぴよんぴょんととび跳ねている
しかし厚さ3センチの強化ガラスの壁がタブンネ親子をしっかりと分かちている
水槽に顔と腹をべったりくっつけて中の子供をじっと見ている親タブンネ
するといきなり横になり、腹をガラスにくっつけたではないか
よく見ると普段は毛皮に隠れてて見えなかった6つのピンク色の乳首があるのが分かった
子タブンネ達はガラスごしの乳首を必死にペロペロと舐め、飲もうとしている
バカだこいつらw
しばらくすると親タブンネはガラスから離れ、水槽の周りをうろうろし始めた
何かに気付いたのか短い脚で必死にぴょんぴょんジャンプして上からの侵入を試みる
やっと水槽のワクに手をかけたと思ったら、「ミギッ!」という声を上げてドスンと尻もちをついた
有刺鉄線が役に立ったな
その後もタブンネは水槽の傍から離れず、暗くなると水槽にもたれかかって眠っていた
2日目
親タブンネは朝になると居なくなっていた、飯でも探しに行ったかな
水槽の中を覗いてみると糞尿まみれの中で汚くなったチビ共がすやすやと眠っている
普段なら親が糞を始末してくれるのだろうが水槽の中ではそうはいかない
水槽にドンと蹴りを入れると、子タブンネがビクッと一斉に眼を覚ました
眼が半開きのまま辺りを見回し、またあのミィミィという母親を呼ぶ声で騒ぎ始める
身を隠して双眼鏡で観察してると、親タブンネが大慌てで戻ってきた
しかし戻ってきても何をするわけでもなく、両手をガラスにつけてトランペットを欲しがる黒人少年のように
ただただ自分の子供たちをじっと見ているだけであった
子タブンネ共はいつの間にか給水器から水を飲むことを覚えていた
我先にと争って給水器に群がる子タブンネたち、水だけでよくもまあこんなに元気が出るもんだ
そのあと子タブンネが糞をする瞬間を観察することができた、
一匹の子タブンネが四つん這いになって尻尾を上げたかと思うと
まるで薄い泥水のような液状の糞が肛門からシャーッと飛び出している
昨日したと思われる糞はかなりドロドロベタベタしたウンコ(いわゆる乳児のウンコ)だったので
明らかに栄養が足りなくなってきていると思われる
給水器の取り合いに負けた一番小さなタブンネが、フラフラとガラスの向こうにいる母親へ歩み寄っていく
そしてガラスの向こうの母親を涙目で見つめながらガラスをチロチロ舐め始めた
時折弱々しくミイミイと母親に甘えた声を出し、ガラスの向こうの母親にお乳をせがんでいる
母タブンネも一応は無駄だと分かっているらしいが、横向きに寝ころび授乳の体制をとる
涙を流しながら必死にガラスをチロチロし続けるチビタブンネ
こちらも涙を流しながらガラスに乳首を押しつける親タブンネ、こいつらにも涙ってもんがあるんだなw
外側のガラスにミルクが滴り落ちる、しかしそのミルクは、二度と子供たちの口に入る事は無いのだ
チビタブンネは深夜になってもガラスを舐めることを止めず、
母タブンネも眠らずにずっとガラスに乳を押し当てる体制のままであった
挿絵
3日目
朝起きて水槽を見に行ってみると、ガラスによりかかったまま一番小さなタブンネが死んでいた
カラカラに乾いたように毛づやが無くなり、舌を出したまま眼を閉じて動かなくなっている
死因はおそらく脱水症状、水はちゃんとやってたのに情けない奴だ
親タブンネはガラスに手を当てて力尽きたわが子を見つめて号泣している
泣きやんだかと思うと、母タブンネは豹変した
「ミ゙ーッ!!ミ゙ーッ!!」とうなり声(でも迫力ゼロ)を上げながらガラスをべしべしと殴り始めた
水槽を壊すかひっくり返すかしてでも子供を助けるつもりなんだろう
しかし厚さ3センチの強化ガラスでできた水槽はかなりの重量&強度で
中の子タブンネを音と振動で無意味に怖がらせるくらいの効果しかなかった
3時間ほどで叩くのをのをやめると、今度は水槽からとことこと離れていき、10メートルほどでぴたりと止まった
そして深呼吸をした後キッと水槽に狙いを定めると「ミィィィィィ!」と雄叫びを上げながら全速力で突進した
ズドン!というものすごい音がしたが水槽は全くの無傷だった・・・いや、壊れたものが一つだけある
給水器だ。壁にマジックテープで貼り付けただけの給水器は突進の衝撃でボトリと床に落ち、
中の水は子タブンネが垂れ流した糞尿と混じり合いただの汚水となってしまった
俺は水だけはお代わり自由にしてやろうと思っていたが気が変わった
お前らがこれから飲み食い出来るものは自分らの糞と小便だけだ!
良く見たら母タブンネが気絶していたので、サッと給水器を元の場所に設置してやる
早速一匹の子タブンネが給水器を舐め始めるが空になった給水器から水が出るはずもなく
給水器の先端のボールのカラカラという乾いた音が夜になっても悲しく響くのであった
4日目
子タブンネ達は隅に固まってグッタリしている、水が無いと予想以上に衰弱が早い
しかし「お水が飲みたいよう」という子タブンネの願いが天に通じたのか知らんが昼前から雨が降ってきた
上部に開けた空気穴から雨水がポタポタと垂れてくる。子タブンネ達はそれに群がり、我先に水を飲もうと上を向いて口を大きく開けながら
ピョンピョン跳ねまわっている
そんなに飲みたいのなら腹が破裂するほど飲ませてやろうじゃないか
俺は水槽の蓋を外し、アクリル板の一部を取りはずして(親が入るといけないから金網は残して)また元に戻した
天井に50センチ平米の四角い穴が空き、そこからガンガン雨水が入って来る
最初はそこから水を飲もうとしてた子タブンネ達だが濡れて寒いのに耐えきれなくなったのか、蓋がある方へ一斉に集まった
しかし雨水は水槽にガンガン入り込んで溜まっていき、とうとう子タブンネの腰当たりまで水がたまってしまう
子タブンネ達は必死に「ミィミィ」コールをしている、あのバカ親に何か出来るとも思えんが
意外と近くにいたのかすぐに小走りで来る親タブンネ、
「水槽の中に水がたまっている、このままでは子供がおぼれてしまう」という事は理解したようで、
大慌てで水槽の周りをぐるぐる回り始める、
そして、水槽の縁に手をかけ上に登ろうとするも有刺鉄線に驚いて再び尻もちをついてしまう
しかし今度は諦めない、手やお腹がが血まみれになるのも気にせず水槽の上部によじ登り
穴を見つけるとお腹から倒れかかり、自分のお腹で蓋をしてしまった
だがやはり相当の激痛らしく「ミッヒャアアアアアアア!!」と悲鳴を上げる、
有刺鉄線の網目から母タブンネの腹肉がむにゅりとはみ出し、さながらメロンパンのようだ
夜になっても雨は止まず、親タブンネは水槽の上でずっと蓋になっていた
夜の雨は冷たい、母タブンネもあのままじゃそう長くは持たないだろうな
5日目
朝になったら雨は止んでいた、しかし親タブンネは水槽の上で蓋になったままだった
もしかしたら昨日の雨に耐えきれなかったのか?と思ったら違う、ちゃんと生きている
しかも何やら子タブンネが母タブンネの腹の下に集まって、雨を飲むときのように上を向いて口を開けている
良く見るとタブンネの腹から白い液体が滴り落ちている。
なんと、金網に圧迫されて腹からお乳が絞り出されてるではないか
ごく少量ではあるが、乳を飲むことで元気を取り戻してしまっている子タブンネ
母タブンネも腹にトゲが刺さって痛いはずだが、母性が勝ったのか
子供にお乳を与えられたことが嬉しいらしく、笑みを浮かべている
なんということだ、これでは餓死させる事ができないではないか
ルカリオをけしかけて親タブンネをどかしてやろうとしたが、何故かルカリオが怯えて水槽に近づこうとしない
そんな臆病な奴ではないのにどうしたのだと思ったが理由はすぐに分かった
水槽の周りをグルグル回る大きな影、その主はムクホーク。近くの林に住み着いたものすごくレベルの高い獰猛な奴だ
ムクホークは旋回しながらタブンネ達を観察している、そして親タブンネが動けない事が分かったようだ
いきなり急降下し、親タブンネの背中に鋭い爪で掴みかかる、母タブンネは「ミギュッ!」と悲鳴を上げる
ムクホークは背中にしっかりと爪を食いこませ、大きな翼を羽ばたかせて親タブンネを持ち上げようとする
母タブンネは有刺鉄線を掴み必死で踏ん張ろうとするが、掌の血で滑ってしまい持ち上げられてしまった
自分より重い物を持ったまま上昇できるとは、聞きしに勝る凄まじい羽の力だ
母タブンネは絶望の表情で溢れんばかりの涙を浮かべ血まみれの手足を激しくじたばたさせて
「み゙ーっ!み゙ーっ!み゙ーっ!ビャアアアア!」と大声で騒ぎながらゆっくりと上昇していく
その視線はずっと水槽の中の子供たちに向けられていた
子タブンネ達は「ミィィ!ミィィ!」と騒ぎながら空に昇っていく母親に何とか追いすがろうと、必死でジャンプしている
やがてムクホークはタブンネを掴んだまま20mくらいの高さに達すると、そのままフラフラと林の方へ飛び去ってしまった
その隙にしっかりと蓋をしておく。その際に間近で見た子タブンネは、とてもいい表情をしていた
6日目
早朝、ムクホークの巣を覗いてみると親タブンネの残骸があった、
内臓だけを食べており、体は木の枝に串刺しにされていた。食べきれない獲物は干し肉にして保存するんだろう
その表情は苦痛と絶望に歪んでいる。
水槽のある休耕地へと戻ってみると、味を占めたのか昨日のムクホークが来ていて水槽にガンガンと蹴りを入れていた
その威力は親タブンネのものとは比べ物にならないほど凄まじく、重い水槽がドゴンドゴンと跳ねるほどだ
中の子タブンネは怯えきっており、水槽の隅に固まってプルプルと震えている
するとムクホークは水槽の固まってる側の面に回り、「ピュイー!!」と大声で鳴きながらガラスの向こうのタブンネを蹴りつける
子タブンネは恐れおののき、母親に助けを求めるミィミィ声で鳴きながら反対側に必死で逃げる。ずっとその繰り返しである
お前らのママはそのムクホークさんのお腹の中だってのw
夕方まで蹴り続けると、諦めたのかムクホークは蹴るのを止めた
手ぶらで返すのも可哀想だから、ポフィンを3つ投げてやる。ムクホークは子タブンネに見せつけるようにその場で美味しそうに完食した
これで明日も来てくれるだろうなw
ろくに物を食ってない状態で一日中走り回ってたもんだから子タブンネ達はヘトヘトになり、死んだように眠り始めた
暗くなってから懐中電灯を片手に見回りがてら水槽を見に行ってみると、青黒い宙に浮かぶボワボワしたものが水槽にワラワラと群がっていた
そのボワボワしたものは「きゅるるるるん!」「きゅるるるん!」と甲高い大きな声を上げながら水槽の中を覗いているようだった
水槽を懐中電灯で照らすとそのボワボワは一斉にサーッと水槽から離れて行った、一瞬だが大きな黄色い瞳と赤い玉が見えた
正体はムウマだった、中の子タブンネを見てみるとやっぱり隅っこに固まってプルプルと震え、ミィミィと弱弱しい声で鳴いていた
ムウマは恐怖が主食だという、密室の中で四方八方から金切声を聞かされ無数の大きな眼に覆われる恐怖は相当なものだろう
それが乳離れしてない赤ん坊ならなおさらだ、ムウマにとってはこれ以上ない御馳走なのかもしれない
水槽を照らすのを止めるとムウマ達は再び水槽を覆い尽くした。ムウマ達の金切声は朝まで止む事が無かった
あの様子じゃあ糞チビ共は一晩中眠る事ができなかっただろうなw
7日目
とりあえずムクホークのおかげで親タブンネの駆除は済ませたが、観察日記は続けよう
ガンガンとタチの悪いヤンキーのように水槽を蹴りまくっているムクホーク
ムウマと入れ替わりでこの調子だと中の子タブンネ達は一睡もできるはずもなく小さな掌できゅっと耳を掴んでがくがくと震えていた
双眼鏡で中の様子を詳しく確認してみると、なんと一匹のタブンネがうつぶせになって熟睡してるではないか
タブンネにしては太い奴だなと思ってよーく観察してみると、なんと寝てるのではなく死んでいるんだと分かった
乳児タブンネにとって眠らせてもらえない事というのは俺が考えてる以上にダメージがデカかったようだ
ムクホークにポフィンを渡して退散してもらい、今日はじっくり飢えと渇きに苦しむ子タブンネを堪能することにしよう
ムクホークが去ると子タブンネ達は眠りにつく、泥のように眠ってはいたが一時間ほどで眼を覚ました。
腹が減りすぎて眠れないのだろう。生き残った3匹の子タブンネはカラの給水器に集まる
もちろんいくら舐めても水は出ない。それでも舐めずにはいられないほど喉が乾いてるのだろう
やがて給水器を諦めると一匹の子タブンネがガラス面をチロチロ舐め始めた
ママの幻覚でも見てるのか?wと思ったが、どうやらガラス面についたわずかな結露を舐めっとってるようだ
なかなかしたたかな奴だ、しかしそんな物で水分が足りるわけがない、
結局子タブンネたちは背が届く範囲のガラス面を全て舐め尽くしてしまった後、母親を呼ぶミィミィ声で鳴き続けていた
お前らのママは既にカピカピのタブンネジャーキーだっての
空腹のあまり糞尿や兄弟の死体を食うかと楽しみに待ってたがまったく食べる気配が無い
まだ歯が一本も生えておらず水と母乳以外の物は身体が受け付けないらしい
ミィミィという声はだんだん大きくなっていきしまいには「ミ゙ィーッ!ミ゙ィーッ!」と喉をつぶすような濁った絶叫に変わっていった
さしものヒヤリングポケモンの聴力でもあの世から子供の声を聞き取ることは出来まいw
結局子タブンネ達は声が出なくなり、涙を流しながら口をパクパクさせるのみであった。
涙なんかで貴重な水分を失うとは相変わらずバカな奴だw
そして夜にはもちろんあのムウマパーティーが開催された
8日目
早朝、水槽を見に行ってみるとムウマが一匹残っていた
数が減った分食いそびれたのか「ムキュ~!ムキュ~!」と必死にタブンネを脅かしている
しかし、当のタブンネは3匹とも眼を見開き舌をベロンと出して失神していた
精神が限界に達しているらしい。これでは怖がるどころではない
そのムウマは他のムウマより一回り小さく、大きな眼がくりくりとした可愛いムウマだった
おそらくまだ子供なのだろう、ムウマは俺に気付くと積んでおいた藁の中へ隠れてしまった
その後ムクホークの住みかに行ってみると、親タブンネが皮と骨だけ残して綺麗に平らげられていた
こりゃあいいやと思い親タブンネの皮と巣骸骨を拝借した
そしてタブンネの毛皮をベースにぼろきれや藁を使って親タブンネ人形を制作
子タブンネが短い眠りについてる隙に水槽の傍に設置する
眼を覚ました子タブンネ達は驚いた表情をした、そしてよろよろと歩いて人形がある側のガラス面にへばりつく
ガラスを弱弱しく叩いたり引っ掻いたりしながら「フィィフィィ」と、かすれた声で必死に母親を呼ぶ
しかしこの母親が反応する訳は無い。頭の中にはボロきれが詰まってるんだから
5分くらいすると、藁の中からちびムウマが出てきた、ムウマは人形に近づき、匂いをかぐような仕草をすると
人形の乳首に吸いつき始めた。そう、この人形の中にはゴーストタイプ用のミルクを入れたペットボトルを仕掛けてあったのだ
蓋にストローが付いていて、先端がちょうど乳首の位置に来るようセットしている
チビムウマが親タブンネのおっぱいを美味しそうに吸ってるのを見て、子タブンネは愕然としている
それに気付いたチビムウマは子タブンネの方に振り返ると、ニヤッと笑ってまた乳を吸い始めた
こいつなかなかのワルだ
「なんでママがわるいやつにおっぱいをあげてるの・・・? ぼくはおなかがへってるのに・・・」
そう思ってるのだろうか、一番大きな子タブンネがガラスに手をついたまま涙とヨダレと汗と尿を大量に垂れ流しながらガクガク震えている
その表情はまさに絶望そのものだった、他の子タブンネは必死に「ピィピィ」と鳴き続け、母親を呼び戻そうと
無駄な努力をしている
チビムウマは腹いっぱいミルクを飲むと親タブンネをベッド代わりにして寝てしまった
9日目
例の一番大きな子タブンネが朝になっても水槽に両手のひらををくっつける姿勢でじっと親タブンネを見続けていた
ママを取られたのがよっぽど悔しかったんだろうなw
しかし良く見ると眼球は乾いて光を失い、少し白く濁っている
ガンガンと水槽に蹴りを入れてみても、他の2匹は飛び起きたがこいつはその姿勢崩さぬままころりと転がった
大きな子タブンネは立ったまま死んでいた。悔しさのあまり、なけなしの水分が外に飛び出てしまったのだろう
立ったまま死んだからこいつは弁慶と名付けよう
昨日はムウマ達が来なかった。母タブンネの人形にカカシの効果があったのだろう
死してなお子供を守るとはなかなか立派な奴だ、よってガラス越しの面会を許そう
親タブンネ(人形)を水槽に押し付けると生き残った2匹の子タブンネたちがのそのそと汚物の上を這いずって来た
そしてガラスに向かってペロペロ・・・ ではなくて頬をむぎゅっとガラスに押し付けてきた
最初は安らかな顔をしていたがだんだんと青ざめていき、突然「ピィィ!」と悲鳴をあげるとガラスから離れてしまった
どうやら子タブンネは耳の触覚で母の心音を聞こうとしていたようだ
高い聴覚に加えてガラスは音を良く通すのでガラス越しに聞いてもタブンネにとって特に問題は無いのだろう
もちろん母タブンネの人形にもちろん心臓は無い、何の音も聞こえない
心臓の音が聞こえない、心臓が動かない、それが示す意味とは。
生まれたてのタブンネにとっても本能で分かる事だった
そして、この時初めて子タブンネ達は母親の死を理解したのだろう。気づくの遅せえよw
その後子タブンネ達は母親の方を見る事は無かった。人形に背を向けて背中を丸めて床に座っている
ミルクを飲んだチビムウマが「むきゅるん!」と満足そうな鳴き声を出して子タブンネ達にウインクを飛ばしても
何の反応もせず、ただただじっと座っているだけだった。鳴く事も、壁を舐める事もしない
結局夜になっても何もせず、丸くなって動かないままだった
10日目(普通エンド)
なぜか夢の中に4匹の子タブンネが出てきた
足元に駆け寄ってきて抱きついたりすり寄ってきたりでウザかったので踏みつぶしていたら朝になって目が覚めた
気になって見に行ってみると水槽のタブンネは一匹が横向きに倒れて死んでいる
もう一匹の子タブンネは仰向けに寝そべって小さな両手で手で弱々しく泳ぐように宙を掻いていた
時折、今にも消えそうなか細い声で「フィィ…」と鳴き、口をチュパチュパ鳴らしている
ママの幻覚でも見てるんだろうなw、死んだと分かってもママから離れられないとは哀れな奴w
8時くらいになると久しぶりにムクホークがやってきてタブンネの水槽を蹴り始める
しかし最後の子タブンネは何の反応も示さず、ただ虚ろな目で天井を見上げて、宙を掻きつづけるだけだった
ムクホークは飽きたのか蹴るのを止めると、中の子タブンネを鋭い視線で見つめる
こんな死にかけにはもう攻撃する必要もないということか
最後の子タブンネは全てを奪われた、食べ物も、水も、安らかな眠りも母親も
皆で寄り添ってお互いを暖め合った兄弟たちはもう冷たくなってピクリとも動かない
子タブンネは宙を掻くのをやめるとブルブルと震えだした。いよいよ最後の時が来たのだ
小さな胸が弱々しく伸縮しているのだけが子タブンネが今生きているという最後の印である
「フィ…」と最後に小さな声で鳴くと、子タブンネは静かに目を閉じた
子タブンネは今この瞬間に命を失ったのだ、俺は言い知れぬ感動を胸に感じていた
午後は水槽の掃除だ、軍手をしてから糞チビ共の亡骸を取り出し、まだ新しい奴はムクホークにあげた
糞が乾燥して床にこびりついていたので、水を入れてふやけるのを待つことにした
その間にムクホークとチビムウマに「うちの子になるか?」と聞くと快く了承してくれた
ムクホークは昼に、ムウマは夜に見回りをしてもらおう
洗い終わった水槽はそのままここに設置しておき、子タブンネ少年院として活用することにしよう
10日目(愛護エンド)
なぜか夢の中にクレセリアが出てきた
クレセリアは悲しそうな顔をして「ひどいことはもうやめて、やさしい心をわけてあげるから、あの子を助けてあげて・・・」
と話るかけてきた、気が付いたら朝になって目が覚めた
気になって見に行ってみると水槽のタブンネは一匹が横向きに倒れて死んでいる
もう一匹の子タブンネは仰向けに寝そべって小さな両手で手で弱々しく泳ぐように宙を掻いていた
時折、今にも消えそうなか細い声で「フィィ…」と鳴き、口をチュパチュパ鳴らしている
蓋を開けて子タブンネを掴んでみるとキュッと抱きついてきて、チュウチュウと指先をしゃぶり始めた
水槽を見下ろせば4匹の子タブンネたちが悲しい目をしながら息絶えている
思えば酷い事をしたもんだ。 畑を荒らしたのは母タブンネで、子タブンネには何の罪もなかったのに
首にかけてあったタオルで最後の子タブンネを包み、家に連れ帰る
そして急いで妖精グループ用のミルクを作って哺乳瓶で与えてみる
小さな手のひらでもう放すもんかと言わんばかりに哺乳瓶を必死に掴み、ゴクゴクと飲み始めた
そして母親の毛皮で作ったお布団の中で4時間もぐっすり眠ると、すぐに元気を取り戻した
最後まで生き残っていただけあってさすがの生命力だ
反動で甘えん坊になったのか
家の何処に行ってもミィミィと鳴きながらチビムウマと一緒に俺の後ろをチョコチョコとついてくる
危ないのでひも付きの布の袋に入れておんぶしてやる事に
すると子タブンネは袋越しに俺の背中をギュッと掴みながら袋の中ですやすやと眠り始めた
まだまだ手のかかる年頃、その分可愛さもひとしおだ。あれほど憎たらしく思えたのが嘘のように
俺が子タブンネから奪った全ての物を俺が補ってやろう、俺はそう決意するのだった
10日目(外道エンド)
なぜか夢の中にランドロスが出てきた
ランドロスは俺に「畑を荒らす極悪害獣は、一族郎党もっと苦しめて殺すべきなんじゃ!」
と熱く語りかける。気が付いたら朝になって目が覚めた
気になって見に行ってみると水槽のタブンネは一匹が横向きに倒れて死んでいる
もう一匹の子タブンネは仰向けに寝そべって小さな両手で手で弱々しく泳ぐように宙を掻いていた
時折、今にも消えそうなか細い声で「フィィ…」と鳴き、口をチュパチュパ鳴らしている
俺はムクホークとムウマを呼び寄せると、ある事を指示した
まず、ムクホークに親タブンネを食った時の事を思い出させ、
次にムウマがそれを
テレパシーでタブンネに伝える
やらせたら成功したらしく既に幻覚を見てるっぽいタブンネは「ピヒャァァァァァ!!」と悲鳴をあげた
何しろ、目の前で血まみれの母親が内臓をほじくり出されて惨殺されるのだからな
叫び過ぎて声が出なくなった子タブンネは「ケホッ、ケホッ」と小さく咳き込み
首を振りながら手足をじたばたさせている
俺はトングで子タブンネを掴み、バケツの水につけてバシャバシャと洗って、ムクホークに差し出した
ムクホークと目が合うと子タブンネはぐったりしたまま絶望的な表情をして、激しく震えだした
逃げようにも体は動かない、叫ぼうにも声は出ない、まさに絶望そのものだ
そしてムクホークの嘴は子タブンネの腹に振りおろされ、ヒモのような腸をぐいぐいと引っぱり出され
子タブンネは苦悶と絶望の表情で息絶えたのだった
俺はムクホークの食い残しを水槽に戻すと、「子タブンネ捨て場」の看板を立て
その場を去るのだった
最終更新:2014年06月22日 22:03