タブンネ大行軍

ある日、ヒウンシティで奇妙な事件が起きた。 砂まみれのタブンネの集団が、列を成してヒウンシティに進入してきたのだ。
十数匹はいるであろうタブンネ達は、目は虚ろで、長い間何も食べていないのか、ひどく弱っていた。 おそらくタブンネ達は野生ポケモンとの競争に破れ、安泰の地を求めここまで来たのだろう。
街を行き交う人々は、その奇妙な光景に驚きを隠せないでいた。 人々は道を譲るかのようにタブンネ達を避けている。
噴水のある広場についた時、千鳥足のタブンネ達は甘い香りに襲われた。
「ミィ…ミィ…ミィ?ミィミィ!」
匂いの元はクレープの出店だった。人々は、車の中にいる店員からクレープを受け取り、美味しそうに食べている。
それを見たタブンネ達は今までの疲れはどこへやら、出店に向かって一斉に走り出した。
「ミィミィ!ミィミィミィ!!」「ミィ~ミィミィ!」
車の周りに並んでいた人々に割り込み、店員に向かって両手を差し出し必死にミィミィと鳴き始めた。
一瞬の出来事に客は困惑の表情を浮かべ、足下で店員に必死に媚び、餌をねだるタブンネ達を凝視していた。 店員も完全に困ってしまい、1分ほどあたふたした後、一つのクレープをタブンネの集団にひょいと投げ入れた。
するとタブンネ達はクレープに群がり醜い争いを始めた。一匹のタブンネがクレープを取ると、他のタブンネ達がそのタブンネにのしかかりクレープを奪おうとする。それが何回も続いた。
やがて残ったのは砂と埃まみれになったグチャグチャのクレープだった。タブンネ達も傷だらけで、体力を消耗しただけだった。
「ミィィイイイイイ!!!!」
怒り狂ったタブンネが、クレープを持って唖然としていた少年に襲いかかった。 それを見た他のタブンネ達も、チャンスとばかりに少年を襲い始めた。
体中を足跡だらけにされクレープを奪われた少年は地面にひれ伏していた。 それを尻目に、タブンネ達はクレープに食らいつき、あっと言う間に食べてしまった。

イッシュ地方のとある森にタブンネさんの集落がありました。
その集落はイッシュ地方では有数の勢力を誇る群れです。
「ミッミッ!」「ミィミッミッミィ!」
どうやらこのタブンネさん達はヒウンシティに集団で突撃することを計画しているようです。
近年の大寒波による影響で主食の木の実が取れなくなっているのでしょう。
タブンネさんたちは大量の食べ物を求めて人間から略奪することを決めました。
そして作戦当日・・・
大量のタブンネさんたちは深夜にこっそりと橋を渡りヒウンシティにつきました
タブンネさんたちの生と死をかけた略奪作戦が幕を開けた・・・

「ミィィィィィィッーーー!」
ヒウンシティに着いたタブンネさんのリーダーは雄叫びをあげました。
興奮するあまりに大声を出してしまったのでしょう。
「うるせーぞ!この糞豚!」
一人の通りかかったサラリーマンが罵声を浴びせました。
どうやらよほどあの甲高い声が耳ざわりだったのでしょうか。
「何時だと思ってやがんだゴミ豚がぁ・・・」
サラリーマンがそう言ってタブンネの集団に近づいていくと
「ミィィィッ!」
何とタブンネのリーダーは口から火炎放射を吐いたのです
「ぎゃあああああっ!」
サラリーマンは瞬く間に燃え上がり、火だるまになってしまいました。
「ミィミィ!」「ミィィ!」
火が鎮火すると、タブンネ達はクロコゲになったサラリーマンを集団で取り囲み、荷物や衣服をあさりました
「ぐっ・・・やめろ・・・」
タブンネの集団に襲われ抵抗できないサラリーマンは掠れた声をあげるも、荷物や衣服をタブンネ達に取られてしまいました。
「ミッミッ!」
タブンネ達は物陰に逃げていきました。
一日目からこの収穫に大喜びのタブンネさん、日が昇った時にどんな悪行を見せてくれるのでしょうか。

日が昇り、朝を迎えました、町の奥深くに巣を作り、そこを拠点に生活していくつもりでしょう。
ちなみにその元々の持ち主はヤブクロンたちの巣で、餌を取りにいっている親分のダストダスが居ないのをいいことに
ヤブクロン達の巣に夜襲を仕掛けて巣を横取りしたようです。
「ダス?」
どうやら親分のダストダスが帰ってきたようです。
「ミッミィ?」
呑気にも豚ケツを晒しながら寝ていたタブンネさんたちはその異臭で目覚めました。
「ダスーーー!」
周囲には子分のヤブクロンの死体が転がっていて、巣を強奪されたダストダスは怒りに燃えていました。
「ミィィィッ!」
リーダーのタブンネはサイコキネシスを繰り出し、ダストダスの動きを封じました。
なぜこのリーダータブンネはこんな高レベルの技が使えるかというと、このリーダータブンネは元々捨てタブンネであり
しかも個体値は5v、努力値もSとCに振られており技構成も強力な技で固めた強力なエリートタブンネだからです
「ダ・・ダス・・」
そしてダストダスの息の根を止め、そろそろ町に略奪しに行く時間になりました。
町にはすでに人間であふれ返っており、餌には困らない、そう思ったタブンネさんたちは町に出向く準備を始めました。

まずタブンネさんたちは5チームほどに分かれて行動することにしました、糞豚にしてはよく考えましたね。
リーダータブンネを中心にした集落の上層部で固めたチーム
父親タブンネを中心にしたチーム
後は対して力のないタブンネで固めた捨て駒チーム
といった感じに分かれました
「ミッミッ!」
そう鳴くと最後かもしれない挨拶を交わし町に飛び出して行きました。

「ミィミィ・・・」
捨て駒タブンネ達は途方に暮れていました。
何せ能なしの豚なので人間から略奪するやり方を実践できず戸惑っています。
町の郊外の人気が少ない公園でタブンネ達は一人で迷子になっている5、6歳の子供を見つけました。
「パパとママはどこに行っちゃったんだろう・・・」
この弱そうな子供ならいける!、そう思ったタブンネ達は子供にたいあたりを仕掛けました。
「いたっ!」
タブンネの体当たりを食らった子供は転んでしまいました。
「ミィィィ!ミッミッ!」
タブンネは集団で子供を取り囲み、そしておやつを奪い取ってしまいました。
「たぶんねはやさしいぽけもんのはずなのに・・・」
子供は泣き出してしまいました。
そしてその横でドヤ顔で勝ち誇るタブンネさんたち。
この捨て駒害獣に天罰は下るのか!?

「コラァー!うちの子供に何をするー!」
どうやら子供の父親が現れたようです。
「ミィッ!?」
父親は意地汚いタブンネの尻尾をつかみ地面に叩きつけました。
「ミギャッ!」
「この豚がァ!意地汚い手でうちの子供に触りやがって!」
そう言いながらタブンネを何回も地面に叩きつけた後、思い切り顔面パンチを喰らわせたようです。
「ミィッ!」「ミギャァァァッ!」
タブンネが殴られているのを見て他のタブンネ達は一目散に逃げ出してしまいました。
「ミィィィィ!!!!」
恐怖と絶望に駆られながら必死に逃げていく姿はとっても滑稽です。

ドン!
「ミィッ!?」
「あでっ!」
どうやら必死に逃げている最中に一人の男性とぶつかってしまったようですね。
「何やこの糞豚ァ!」
そう言うと男はタブンネに全力の蹴りをお見舞いしました
「ミヒィィィィィ!」
気持ちのいい音がして吹っ飛びましたねぇ、いやぁ愉快愉快。
「ミィィィッ!!!」
そうしている間にどうやら男は糞豚に囲まれていたようです
ホントにタブンネというのは弱い相手を集団でボコることしかできないんですねぇ、正に豚にふさわしい戦法です。
「ミッミッミッ!!」
一匹のタブンネが男に飛びかかりました、しかし男はすぐさまモンスターボールを取り出しポケモンを繰り出しました。
「出番や!ボーマンダ!」
モンスターボールから現れたボーマンダは男を乗せて宙に舞い上がりました
タブンネさんはこいつにも勝てないと思い、また逃げ出してしまいました、ワンパターンにもほどがある、さすが単細胞。
「調子に乗ってるタブンネには罰を与えないとなぁ・・・なぁボーマンダ?」
「グルルルゥ・・・」
ボーマンダが軽くうなずくと、男はボーマンダに流星群を命じました
「ミィィィィィ!」「ミヒィィィィ!」
必死に逃げるタブンネ、しかし・・・
「ミギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
バシュウゥゥ!と言う快音と共に薄汚い豚の断末魔が響き渡ります
ほぼ全てのタブンネに流星群が直撃し、タブンネは息絶えました
「ミィミィ・・・」
どうやら1匹だけゴキブリ並みの生命力で生き残っていたようです。
男に助けを求めましたが、頭を踏みつぶされ、息絶えてしまいました。
「マンダのりゅうせいぐんはつよい」
そう男は言うと、横たわっている屑肉を後にして町の中へ入って行きました。

「ミィミッ・・・」
必死に逃げるタブンネ達、そんな害獣達が行きついたのは町のゴミ捨て場でした。
「ミィ!」「ミッミッ!」
何とゴミ捨て場のゴミ袋には沢山のまだ食べられる残飯があるではありませんか!
「ミィミッミッミッ・・・♪」
必死に残飯を貪り食うタブンネ達、しかしそこに二人の男が現れたようです。
「来てるなぁ・・・今週も哀れなタブンネ達が」
「先輩、とっととこんな豚片づけて仕事終わらせましょうよ」
今日は水曜日、タブンネの日だったのです。
「ああ、そうだな・・・」
男達はタブンネに手をかけゴミ収集車に入れようとします
「ミィィィッ!」
タブンネさんは生意気にも男をひっかき始めたのです
男はそれにキレたのかタブンネにラリアットを与えました
「汚い手で触るな!豚!」
「ミギャァァァァァ!」
その光景を見て他のタブンネ達は恐怖のあまり固まってしまいました。
「先輩、そういえば今週からタブンネを回収するときには両耳と両手を切って収集車に入れろって言われてましたよ」
「そう言えばそうだったっけなぁ・・・めんどくせぇな…」
そしてタブンネたちの両手両耳の切断が終わると次々に男達はタブンネ達を収集車に入れていきました。
「ミィィィィィィッッッ!!!」「ミッミッ!」
豚の声が響く中、子タブンネ達はなぜか無事でした
怯えながらどうして自分たちは手と耳を切られないんだろうと不思議に思っていたら
「お前たちは明日回収してやるからな、楽しみに待ってろよ」
そう男が言いました、子タブンネの日は明日だからです
「それじゃあ先輩、行きましょうか」
もう一人の男がそう言うとミィミィと泣き叫ぶ子タブンネを尻目に収集車は去って行きました。


一方、食料を求めて町の港方面に到着した父親タブンネ達、子タブンネも一緒です。
父親タブンネ達が取った戦法はなんと物乞いをすることでした。
自分たちの可愛さによほど自信があるのでしょうか、それに子タブンネも一緒だと同情をして貰えるとでも思ったのでしょう。
「ミィミィ・・・」「ミィ・・・ミッ・・・」
わざとらしく道端に同情を誘う泣き声を上げて座り込むタブンネ達、その瞳はまさしく食べ物を下さいとでも言わんばかりの目でした。
「かわいそうに・・・」「ほら、オボンの実だよ」
なんと道行く通行人は媚びたタブンネ達に騙されたのか次々にタブンネに餌を与えるではありませんか。
世の中チョロいな、内心タブンネ達はそのようなことを思いながら餌を貰っていたそうです。

そんな中、媚を売り続けるタブンネさん、しかし1匹の媚豚の前に一人の青年が姿を現しました。
「ミィミィ・・・」
タブンネは他のタブンネと同様に可愛らしい鳴き声で助けを求めました。
「(これはタブンネ・・・大方町に居るのを見ると恐らく物乞いに来たのだろう・・・)」
そう青年は思うとタブンネに手を差し伸べました。
「おいで、タブンネ」
「ミッミッ!」
タブンネは嬉しそうな鳴き声を上げ、青年に抱きつきました。
「(随分面白そうな玩具が見つかったな・・・少しこの豚で遊んでやるか)」
タブンネを抱きかかえながら悪巧みをする青年、そして少し歩くと公園に着きました。
そこには大量のタブンネの残骸と泣きながら身を寄せ合っている子タブンネ達が居ました。
「ミィミィ!」
タブンネはその光景に驚きます、何せ自分たちの同胞の残骸が有ることに。
「ほう・・・」
青年はとあることを思いつきました。
「ミィ!ミィミィミッ・・・」
タブンネはとても自分達はかわいそうだよと言いたげな様子です。
「いや、タブンネちゃんはとても幸せだよ、こんなに沢山のおやつが食べられるなんて」
そう青年はタブンネの残骸を指さしながら言いました。
「ミィィィィィィ!?」
そう甲高い豚声を上げると、こんなものが食べられるか!と怒り始めました。
「いやぁ、とてもタブンネちゃんは幸せ者だなぁ」
青年は笑っています。
「ミッミッ!ミッミッ!」
タブンネは怒りながら帰ろうとしました、しかし・・・
「わがままだなぁ、タブンネちゃんは、お仕置きをしないと」
青年はそう言うと、キノガッサを繰り出し、そしてタブンネに向けてタネマシンガンを命じました
「ミギャァァァァッ!!!」
どうやら急所に当たったようですね。
「ミィミィ・・・」
タブンネは青年に土下座を始めました、当然青年は許しません。

必死になって許してもらおうと土下座を許してもらおうとするタブンネ。
しかし青年はタブンネの謝罪を無視してキノガッサで殴り続けます。
「いいサンドバッグだ」
青年は快楽の表情に満ちていました。
「ミガァァァァァァァァ!」
遂にタブンネは逆上してしまいました、青年とキノガッサに向かってすてみタックルを放ちます。
「無駄だ!ナットレイ!」
青年はモンスタボールからナットレイを繰り出しました。
タブンネはナットレイに激突してしまいました。
「ミギャァァァァァ!」
タブンネの体に鉄のトゲがぐさりと突き刺さる、すでにタブンネは血まみれだ。
「おい糞豚、そこでうずくまっている子豚たちを俺の気がすむまで殴れ、そうしたら命だけは助けてやる」
青年は恐怖に怯えうずくまっている子タブンネを指さした。
「ミッミッ!」
タブンネはイヤイヤと首を横に振る。
「キノガッサ!やどりぎのたねだ!」
タブンネの体にやどりぎのたねが植え付けられた。
「早くしないとお前まで死んじゃうぞー♪」
青年はタブンネにそう告げると、タブンネ

必死になって許してもらおうと土下座をしてを許してもらおうとするタブンネ。
しかし青年はタブンネの謝罪を無視してキノガッサで殴り続けます。
「いいサンドバッグだ」
青年は快楽の表情に満ちていました。
「ミガァァァァァァァァ!」
遂にタブンネは逆上してしまいました、青年とキノガッサに向かってすてみタックルを放ちます。
「無駄だ!ナットレイ!」
青年はモンスタボールからナットレイを繰り出しました。
タブンネはナットレイに激突してしまいました。
「ミギャァァァァァ!」
タブンネの体に鉄のトゲがぐさりと突き刺さる、すでにタブンネは血まみれだ。
「おい糞豚、そこでうずくまっている子豚たちを俺の気がすむまで殴れ、そうしたら命だけは助けてやる」
青年は恐怖に怯えうずくまっている子タブンネを指さした。
「ミッミッ!」
タブンネはイヤイヤと首を横に振る。
「キノガッサ!やどりぎのたねだ!」
タブンネの体にやどりぎのたねが植え付けられた。
「早くしないとお前まで死んじゃうぞー♪」
青年はタブンネにそう告げると、タブンネは子タブンネを殴り始めました。
「ミギャ!ミギャ!」「ミィィィィィィ!」
生き残るために必死に子タブンネを力いっぱいぶん殴るタブンネさん、その姿はとても哀れです。

そして、1時間ほど経った頃、青年はタブンネに子タブンネを殴るのをやめさせました。
「もう止めていいぞ、汚らわしい豚ども」
「ミッミッ・・・」
タブンネは安堵の表情を浮かべます、しかし、そこに青年はさらに追い打ちをかけるのでした。
「地獄でも幸せにな、やれ、ヨノワール」
青年はボールからヨノワールを出しました。
ズズズズ・・・
鈍い音がすると、ヨノワールの後ろに暗黒空間が現れました。
そして、ヨノワールはタブンネと子タブンネをつかみ、暗黒空間に連れて行こうとします。
「ミィィィィィィィ!」「ピィピィ!ピィピィ!」
泣き叫ぶタブンネ達、タブンネには野生のカンなのか、暗黒空間が何を意味しているのかが何となくわかってしまうのでした。
タブンネは必死になってヨノワールの手から逃げようとしますが、ヨノワールの握力は凄まじく、豚がどうにも出来るものではありませんでした。
「ミィィィィィ!ミィィィィィィ!」「ピィィィィィィィィィッ!」
そして、タブンネ達は暗黒空間に呑まれてしまいました。
害獣たちは、二度とこの世に戻ってくることはないでしょう、タブンネ。
「いいストレス解消になったな、行こうぜ皆!」
こうして、公園に居た捨て駒タブンネ達は全て善良な市民によって駆除されたのでした。



リーダータブンネ編
「ミッ!ミィィィィィィッ!」
リーダータブンネ達は街に出るととても興奮し、街中を見渡します、何せ初めての大都会です。
今までに小規模の村や、町などを襲撃して来たことはありますが、今回はスケールが違います。
「ミィミィ・・・」
さて何を奪おうか・・・そう考えていると、タブンネ達は甘い匂いを嗅ぎつけました。
「ミッミッ!」
甘い匂いのする方に行ってみると、そこでは美味しそうなヒウンアイスの屋台がありました。
「まだかなぁ」「とても美味そう!楽しみ!」
屋台の前には沢山の人間が並んでいました。
これだ!と思ったタブンネ達は我先にとヒウンアイスの屋台に突撃を開始しました。
「ミィミッミッ!!!」「ミガァァァァァ!!!」
タブンネ達は、行列を無視して屋台の店員にアイスをねだり始めました。
「こらこら、いくら可愛いからって割り込んじゃだめだぞ、タブンネちゃん」
店員はそう注意すると、タブンネを退かそうとしました。
「ミィィィッ!ミッ!!」
リーダータブンネは逆上し、冷凍ビームを店員に向かって放ちました。
「グブッ・・・」
冷凍ビームは店員の腹部に直撃し、店員はその場に横たわってしまいました。
「キャアアアアアア!」
屋台の周りは大パニック、その間にタブンネ達はアイスをたくさん抱えて一目散に逃げて行きました。

「ミヒヒヒヒッ!」
とても悪い顔で屋台から逃げていくタブンネ達、正に糞豚ポケモンです。
「ミィミィ~♪」
横たわる店員の前で店員を馬鹿にするように尻尾を振るリーダータブンネ。
そして、タブンネ達は街の物陰に逃げて行きました。
「ミッミッ!」「ミィ~!」
リーダータブンネは巣に戻り、仲間の帰りを待ちました。
しかし、いつまでたっても捨て駒タブンネの帰りはありません。
物乞いをしていた父親タブンネと子タブンネの姿はちらほらありましたが、捨て駒タブンネは一匹も帰ってきませんでした。
「ミッミッ・・・」
使えないやつらめ・・・とリーダータブンネは思いました。
「ミィミィ!ミィミィ!」
子タブンネが叫びました、どうやらお腹がすいているようですね。
リーダータブンネは子タブンネにアイスを与えました。
「ミィミッ♪」
幸せそうな表情でアイスをむさぼる子タブンネ。
「ムニャムニャ・・・ミィミィッ♪」
そして、今日は疲れてしまったのか子タブンネたちは寝てしまいました。
夜も更ける頃、リーダータブンネも寝床に着きました。
明日の夜には森へ帰ろう、そうリーダータブンネは考えていました。

リーダータブンネ達は朝になると、スーパーマーケットに向かって歩き始めました。
「ミッミッ!」「ミィミィ!」「ミィミッミッ!」
今日は何と残ったタブンネたちによる総力戦のようですね。
そんな中、街中ではタブンネ達の噂が飛び交っていました。
「タブンネに気をつけろ!」「あのかわいいタブンネが害獣だったなんて・・・」
街中は厳戒態勢、特にリーダータブンネはお札付きみたいですね
「このタブンネは…」
リーダータブンネの写真を見て、一人の青年が何かを思い出したように言いました。
「耳にある少し目立つ傷、間違いない」
どうやらこの青年はリーダータブンネの元トレーナーのようです。
「昨日少しタブンネ達を可愛がってやったが、あいつの手下だったわけか…」
「ちょうどいい、あの糞豚を始末してやるか、糞豚は経験値だけは高いしな、いいトレーニングになるだろう。」
青年はそう言うと、ふと何かを思い出しました。
「おっと、今日は友人のお見舞いに行く用が有ったんだ、糞豚狩りはそのあとだ」
青年は急いで病院に向かいました。

「すまんな、遅くなって」
青年は友人に送れたことを謝罪しました。
「いやいや、大丈夫だよ」
友人はそう言うと、青年が質問をしてきました。
「しかしなんで全身を火傷したんだ?」
青年がそう聞くと、友人はこう答えました。
「タブンネにやられたんだ、クソッ、あの贅肉だけが取り柄の糞豚のくせに…」
友人はとても悔しそうに答えました。
「タブンネだと!まさかそのタブンネ、耳に目立つけがをしていなかったか?」
青年はさらに友人に質問をしました。
「ああ、そんな感じだったような…」
友人はそう答えました。
「おのれ糞豚、もう許さん…」
青年は怒りに燃えていました。
「そんなこともあろうかと、今日は害獣狩りのスペシャリストを呼んでおいたんだ、よかったら君も手伝ってくれないか」
友人はそう言うと指パッチンを鳴らし、合図を出した。
ガラガラッ!
ドアが開くと、一人の男が現れました。
「どうも、Mですわぁ…」
Mと名乗った男は友人に狩猟対象を確認してきた。
「このタブンネというポケモンで宜しいでしょうか」
Mはタブンネの写真を友人に見せつけた。
「ああ、憎たらしい顔してるだろ、このポケモン」
友人はそう言うと、青年を指さしこう言いました。
「こいつはおれの親友、とても腕利きのトレーナーだ」
「よろしく」
Mは青年の方を見ると、青年に挨拶をしました。
「ああ、よろしく頼む」
青年は挨拶を返すと、Mと共にタブンネ狩りに出かけました。
「よろしく頼むぞ、二人とも」
友人はそう言うと、二人を見送りました。

「ところでタブンネはどちらにいるのですか?」
青年はMに聞きました。
「さっきスーパーマーケットの近くで見かけましたわぁ…」
Mはそう答えました。
「あ、あれは!」
青年たちがスーパーマーケットに着くと、そこには20匹ほどのタブンネがいました。
「ミィミィ!ミィミィ!」
タブンネ達は、店の前を桃色の贅肉で塞いでいます。
「ミッ!ミッミィ!」
どうやらタブンネ達は店員に食べ物を要求しているようですね。
「どうしましょうか、このポケモン…」
店員は困った様子でタブンネを見ていました。
「少しかわいそうだけど、力ずくでどいてもらうしか…」
もう一人の店員がそう言うと、タブンネを退かそうとしました。
「ミィィィィィィィ!」
リーダータブンネが逆上し、店員に冷凍ビームを発射しました。
「ギャアアアアアア!」
店員に冷凍ビームが炸裂すると、タブンネ達は店のドアから一斉に店の中に入って行きました。
「ミィィィッ!ミッミッ!」
店の中は大パニック、タブンネ達は食料めがけて猛突進。
「まずい!あいつら食料を…」
青年はそう言うと、店の中に突撃していきました。
「タブンネ狩りの始まりですわぁ…」
こうして、人間対タブンネの戦いが始まった。
最終更新:2014年07月21日 16:52